交尾について
今日は、先日の日記内でカシンさんから質問があった「交尾」について色々と一緒に考えてみたいと思います。
【ヒルスシロカブトの交尾光景】
※下に書いていますが、このパターンはAパターンです。
【カシンさんからの質問】
>質問があるのですが、クワガタ「アンテ」の交尾って普通何分ぐらいなのでしょうか?。産卵レポートなどを見ていると、良くハンドペアリングと書いてありますが・・・。我が家のアンテF2ペア「ラオス産」も交尾させたのですが、2~3秒交尾?しては離れる・・の行動を数回繰り返す程度です。これは交尾成立?不成立?なのでしょうか?。「私はクワガタは初心者です」 いかがなものでしょうか?。
カシンさん、いつも興味深い質問ありがとうございます。(^^)
交尾・・・・繁殖を目的としたブリードにはこの交尾は欠かせないものですね。
ハンドペアリングですが、わたしの場合、やり方は2パターンに分かれます。
【Aタイプ:♂を♀の後から重なるように置くタイプ】
カブトを例にとってみると♀の上に後ろ側からそっと♂を乗せます。
背中の部分からフェロモンが出ていると言われているので、私は♂の口あたりを♀の小循板の辺りに置く世にします。そうすると♂が♀のフェロモンを嗅いでやがて触覚をピクピク盛んに動かし始めたら交尾開始の兆しありと見ています。
このタイプのハンドペアリングははカブト類でよく使いますが、クワガタでもニジイロやギラファ、オウゴンオニといった比較的体高のあるものに関しては上手くいく場合が多いです。
ただしカブト類でもサイカブト等の足の短いタイプは直ぐ転んでしまってなかなか上手くいかない場合が多いです。
このAタイプの交尾は一度交尾をしてしまうと時間的にも結構長く交尾をしてくれる場合が多いです。
【Bタイプ:♂を♀とクロス(十字)になるように重ねて置くタイプ】
この方法は、主にドルクス系、オオクワ、アンテ、ヒラタに良く使います。
こちらはフェロモンを感知したあと、お尻同士を斜め「V」のような感じで合わせて交尾を始めます。
このタイプはAタイプと違って交尾時間も比較的短く、しかもかなり神経質な所が多いのでちょっとした振動や刺激で交尾を直ぐに止めたりします。
上記から見てみると、カシンさんの御質問のあったアンテはBタイプの部類に入ります。
私はBタイプの生体の場合、個人的にはあまりハンドペアリングはしません。3~5日同居させ、自然に交尾を持っていくパターンです。
ただこの場合♂が大型であったり、♂♀の相性が合わない場合は危険性を伴いますので、ちょくちょくのチェックが必要になります。人によっては♂のアゴを縛ったりなどの工夫をしている場合も多いです。
色々と長く書きましたが、カシンさんの御質問「短い時間での交尾は成立か不成立か?」
私的考えで言えば、ドルクス系だったらそのパターンは・・・う~ん微妙です。1回の時間が短くても数度交尾していれば私は良いとしますが、2~3秒はちょっと短い気もしますが・・。出来れば最低でも3~5分は欲しい所ですね。
実際、ハンドペアリングをよく遂行するカブト類に至っても長く交尾をしたからと言って全く産卵しないものもあります。かといってほんの数分しただけでも十分に産卵してくれる♀もいました。
私的に考えると交尾は決して時間(どれ位長く交尾時間をもてたか)だけで成功の有無は言えないと思うんです。その他にも♂♀お互いの熟成、相性、タイミング、生まれ持った身体的機能、色々と考えられる要因はあります。
それと、このカシンさんのアンテのデータですが、
>言い忘れました・・。♂は羽化後5ヶ月、♀は羽化後7ヶ月経過してます。
この熟成ならばひとまずは合格点だと思います。
♂5ヶ月というのは私のやり方ではギリギリのラインです。強いて言えばちょっと早いかな・・・という感じです。私はアンテをブリードする場合、♂♀ともに最低でも10ヶ月程度は寝かせます。半年程度でもよいとよく聞きますが、私はこちらの方が結果が良かったので以後その程度は熟成を置いています。
私的考えで言えば♂が若すぎて交尾の意欲がまだ十分ではなかったのかもしれません。あくまで推測になってしまいますが・・・。
最後はいつも曖昧な言い方になってしまいますが、これも解明されていないゆえの見解です。なかなか難しい所です。この交尾のやり方や考え方はあくまで参考として聞いて頂ければ幸いです。(^^)
7 Comments »
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アンタエウス…最高です!私の場合は、羽化した最大個体を同じケースに仕切り付きで管理します。おそらくフェロモンが効くのか、交尾可能な時期にはスムーズに成功してますよ!
Comment by クロムシ — 2008年3月18日 @ 2:00 AM
この場を借りてShihoさんとカシンさんにご意見賜りたいのですが、サタンとネプチューンは同じ環境で良いのでしょうか?
Comment by クロムシ — 2008年3月18日 @ 2:32 AM
shiho様、いつも飼育日記に取り上げて頂き感謝です。ありがとうございます。 そうですかぁ~と言う事は交尾不成立の可能性、大!!ですね・・。 とても参考になりましたよ!。 このアンテペアですが親のF1ペアは産卵セットに同居だけで、幼虫が40頭採れました。「諦めていたのでハンドペアリングはしませんでした」 ちなみにこのF1ペア、同じ♀で他社マットときのこマット、2つのセットで実験しました。 結果、他社マット、幼虫2頭、きのこマット幼虫38頭でした。「産卵木は入れてません」 きのこマット、やはり質が良いですね。選んで良かったです!。 クロムシさん、アドバイスありがとうです!。 質問の件ですが、サタン、ネプはまだブリード経験がありません。が・・ 私の飼育仲間は低温飼育に専念すれば、かなり良い結果が出るようですよ。 あまり詳しくないのでshiho様にお任せします。
Comment by カシン — 2008年3月18日 @ 4:30 AM
クロムシさん レスありとうございます。 サタンとネプですが、同じ環境の飼育で問題ないと思います。 カシンさんの言うとおり低温飼育で産卵&幼虫飼育ともに良い結果が出ているようです。頑張って下さいね。(^^) カシンさん こちらこそいつも貴重な質問ありがとうございます。 アンテ沢山幼虫が取れて良かったですね。頑張って大型羽化させてくださいませ。(^^)
Comment by shiho — 2008年3月18日 @ 11:07 PM
こんにちは。 やや遅い話題ですが,交尾に至るまでの期間について申し上げます。 個体の大きさによって,成熟までの期間は大きく変化します。 アンタエウスの場合ですと,私の経験と実験値に寄りますと 雄で最短2ヶ月,最長17ヶ月の期間を必要としていました。 ヒマラヤ系よりもインドシナ系の方が成熟は早いです。 また,小さい個体で高温で管理している個体ほど成熟が早いです。 乾燥気味,床マットが少ない状態で管理している方が早いです。 つまり,「仕方なく活動せざるを得ない」環境だと成熟も早まります。 ただし,個体の寿命に大きく関係しますので,「次世代につながなくてはならない」火急の事態にあるときに行うのみ,という方が正しいです。 一般的に,蛹室で成虫になった後は自然状態で管理し,自力で出てきて後食する頃が成熟だとされています。 たしかにそれは成熟した状態に間違いはありませんが,その後雄の体力養成を行うことで,強い精子を作ることが出来,その性質も安定します。 累代はF5程度が限度ということが取り上げられておりましたが,このように成熟を間違いなく安定にすれば,強い個体が生まれ,立派な遺伝子を残す点で優れるために,累代はもう少し深くできるようです。 アンタエウスが多産するには,成熟度のほかに,何よりも産卵環境の静けさと広さが大事です。 成熟していない場合,無精卵が多くなるほか,有精卵が孵化しても強い個体に育ちにくいです。この点からも成熟は大事です。 結論を言いますと,雄は一般的に10ヶ月も有れば大丈夫。 雌はゆっくりと寝かせた後に,体力付けの食事期間をとることが大事ですが,これは成熟させながら体力を付ける,ということなのです。合わせて14ヶ月程度が適ですが,個体差が激しいです。「産む気」を感じたらそこが適期。触覚の動きが変わります。地面をなで回します。 雌は,予め作った産卵セットの中で寝かせて,成熟させて,そのまま産ませるのがよいです。産卵木は腐るので,実際に産ませるときに入れます。マットにはその個体の幼虫時代の糞がまじると最適のようです。 あとは,素材を間違えなければ平均的にみて125卵程度産卵します。 参考までに,我が家では最低86,最高212卵産卵しましたよ。
Comment by 匿名 — 2008年3月21日 @ 12:08 AM
匿名さん 私も参考になりました。 経験に基づいた実績のあるコメントありがとうございました。 これからもよろしくお願い致します。(^^)
Comment by shiho — 2008年3月21日 @ 7:57 PM
皆様、貴重な意見をありがとうございます。とても参考になります。 本日、産卵セットのケースの底面を見たところ、卵が2個確認できました!!。有精卵かどうかは分かりませんが、これで一安心です。 匿名様、shiho様、今後の参考になるアドバイスありがとうございました。
Comment by カシン — 2008年3月23日 @ 5:35 AM