野外採集した虫を産卵させてみよう!【オオクワガタ編】材産卵&菌床産卵セット方法の紹介!
野外採集(昆虫採集)した虫を産卵させてみよう!シリーズの第3回目。
今回は「オオクワガタ」の産卵セットの方法をご紹介して見たいと思います。
簡単に「オオクワガタ」と言ってしまいましたが、オオクワガタは採集困難なクワガタとしても有名です。実際私自身も25年以上クワガタ野外採集をしていますが、オオクワガタを野外で採集出来たのは数えるほどしかありません。
野外採集してきた個体も、飼育個体も産卵方法は同じですので、これからオオクワガタを産卵させようと思われている方の参考になれれば幸いです。
【飼育種】
和名:国産オオクワガタ
学名:Dorcus hopei binoduosus
産地:日本国
オオクワガタの場合、2つのセット方法があります。
①材を使用して産卵セットを行う方法
②菌床に産卵させる方法(菌床産卵セット方法)
です。
産卵セッティングは人それぞれお好みがあるのでしょうから、両方のやり方をご紹介したいと思います。
<産卵セット時の方法>
★材を使用して産卵セットを組む場合★
【産卵に使用するマット&材】マット+材2本程度
【産卵に使用するケース】クリーンケースM~L程度
【産卵管理温度】25℃前後
【水分量(湿度)】多からず少なからず
【セット方法】
ケース底面を固くつめ、材を入れ、その回りは柔らかく詰める。
上部2~3cmほどは柔らかくマットを入れる。
材の頭が出るようにセット。
産卵セットは図示すると以下のような感じで組みます。(参考例です)
では画像と共にセット方法の手順をご紹介したいと思います。
<手順>
材の皮は剥かない方もいらっしゃると思います。自然界では当然皮などは剥けていないので、より自然のままのセットをお好みの方はそのままセットするというやり方もありだと思います。
あくまで私のやり方ですが、私は材を水に浸す時、そこまで長い時間はかけません。
目安は水に浸している途中で材を取り出し、実際に持ってみて、重量的に十分に水分が含まれているかどうかをみて判断します。
実際に手に取って水分の染み込み具合を確認します。
これは感覚的なものなので、どれ位とご紹介するのはとても難しいです。
もし敢えて時間的に言うならば、早くて5分、長くても10分位といったところでしょうか。
これも私的にはあまり時間はかけません。
元々長く水に浸していませんので、陰干しもごくわずかの時間です。
敢えて時間的に言うならばやはり5~10分程度でしょうか。
次にマットを準備します。
マットをケース底面に固く5cmほど詰めます。
国産オオクワガタは材産みが主体なのでマットは基本的には何でもOKです。
針葉樹のマットでもOKですが、もし万が一幼虫が材よりこぼれ落ちた事態を考えて幼虫がスムーズに食可能な発酵マットが無難です。きのこMat 、くわMat 、完熟Mat 、黒土MatどれでもOKです。
次に材を入れ、回りにマットを軽く詰めます。
この画像で使用しているのはクヌギ材2本です。少し柔らかめの材です。
ゼリーと生体を入れて完成。
真上からの画像です。
このようにマットをそこまで深く詰める必要はありません。
いわゆる「転がし産卵」で十分です。
★菌床に産卵させる方法★
(菌床産卵セット方法)
【使用したケース】クリーンケースLサイズ
【使用した菌床】Basicクヌギブロックまるまる1個
【周りを埋め込んだマット】
きのこMat 、くわMat 、完熟Mat 、黒土MatどれでもOK
【水分量】菌床はそのまま、マットは少し水分少なめ
【設定温度】25℃前後
産卵セットは以下のような感じで組みます。(参考例です)
まずケースを用意します。このケースはクリーンケースLサイズです。
次にケース底面にマットを入れます。底2~3cm程度敷き詰めます。
次に袋から出した菌糸ブロックを丸ごと入れます。
ケースに入りきらない場合は菌糸ブロックを削って入れてもOKです。
今回の場合産卵種がオオクワですので完全に埋めきる必要はありません。
半分か1/3程度でOKです。
ゼリー、生体♂♀を入れます。
フタをして完成です。
上記が産卵の手順です。
参考までにですが、2008年度に菌床産卵セットを8セット組んだ時の結果をご紹介させて頂きます。
【割り出した幼虫の一部】
①幼虫31頭
②幼虫29頭
③幼虫12頭
④幼虫48頭
⑤幼虫41頭
⑥幼虫5頭
⑦幼虫33頭
⑧幼虫22頭
この時は8♀セットで合計221頭
1セットあたりの平均27頭
2008年度のセット時には上記のような結果が得られました。この時は爆産で、全てのセットで産卵を確認し、とても良く産んでくれたのを覚えています。
また今弊社にはお手軽に菌床産卵セットが出来る「オオクワガタ専用:産卵初めてセット」という商品もありますので、菌床産卵の組み方が苦手だ、面倒だと思われる方はこちらを使用してみるのも良いかと思います。
通常国産オオクワガタは材産卵が主流ですが、菌床産卵することで利点もあります。
【菌床産卵の利点】
・セットが楽(産卵木の柔らかさや加水の手間が要らない)
・割り出しが楽(産卵木の割り出し時のように幼虫を潰すことも少なく、また手で楽に割り出せる)
・若令幼虫に最初から菌糸を摂取させられる(大型作出に有効)。
菌床産卵の利点は何と言っても割り出しの楽さ、それと若令幼虫より菌糸を与える事が出来るという利点です。 ただ産卵数に関しては材産みの方が若干多い場合もあるような気もします。ただ過去には40頭近く産んだ例もあるので、どっちが良いとは一概には言えないのも事実です。
如何でしたでしょうか?上記が私:Shihoの国産オオクワガタの飼育方法です。オオクワガタの産卵セット時の管理温度は可能ならば25℃前後程度が望ましいので、少し気温が低くなってくる場合は温度対策などをして調整してあげて下さいませ。
是非一度産卵セットを組み、幼虫飼育を挑戦してみて下さいませ。(^^)
※この方法はあくまでも私:Shihoの産卵セットの組み方です。やり方は人それぞれですので、あくまでご参考程度にご覧頂けますと幸いです。m〈_ _)m※
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2015年10月13日
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使用したアイテム
Basicシリーズ(菌糸ビン・菌床ブロック), Basicプロテインゼリー(昆虫ゼリー), きのこMat(昆虫マット・発酵マット), 完熟Mat(昆虫マット・発酵マット), 産卵木, 飼育ケース, 黒土マット(昆虫マット・発酵マット)
先日は、色々ご教示有り難うございました。 今期の産卵挑戦ですが、1例目の月夜野からのオオクワガタ失敗の後、2例目の久留米産オオクワガタの産卵・孵化には成功しました!幼虫11頭と少なめでしたが、先ずはちょっと安心。交配から割り出しまでの詳細は、10月5日付の産卵DBにアップしてあります。 プリンカップで保管して、月夜野からの800cc菌糸ビン到着を待って再度移転しました。その際、1頭が上手くプリンカップの菌床に潜れなかったのか、★になっていましたが、その他の個体は元気です。2・3か月後の菌糸ビン交換が楽しみです。 昨日10月12日は、更に3)2例目とは別の久留米産オオクワガタ、4)ミヤマクワガタWD、5)ヤマトサビクワガタ、の割り出しを一気に行いました。 結果は…、全部失敗!うーん、とても残念です。 3)の♀は、一回産卵床で6週間置いてからもう一度別の産卵床に入れていたのですが、直ぐに★に成ってしまっています。個体が弱かったのか。ペアリング期間が2・3日を少なかったのも敗因かも知れません。 4)の♂は大変元気で食欲旺盛、、♀はほとんど姿を見せず、持ち腹の可能性も高かったので大いに期待していたのですが、全然ダメでした。マットの水分過多だったのと、途中で♂が♀を食してしまった可能性もあります(羽が落ちていて、割り出ししたら外殻の残骸だけ発見)。♂は相変わらず元気ですが、♀が手に入らないので、今期は見送りかな。来期に、改めてWDペアを入手するしかないのでしょうか。 5)は、ずっと消息を絶っていたので★になっているかと思って割り出しを行ったところ、産卵木内部に♂♀仲良く同居していました。期待をもって調べたのですが、材にもマットにも幼虫や卵らしき姿は確認できず。幼虫や卵の大きさがわからないので、見落としの可能性もあるため、材とマットの残骸は一応保管してあります。 失敗の原因で思い当たるのは、2015年1月・2月羽化で成熟度が足りなかったかもしれないのと、産卵床の水分がやや過多だったこと、温度管理を23℃前後にしたのがいけなかった?ペアリング不足は、狭い産卵木内部で折り重なるように同居していたので、その後でもいくらでも機会はあったはずです。 たまたま、更に♂1頭♀3頭を入手したので、保冷・保温庫「冷やし虫家」を使って温度設定を変えた状態で、もう一度♂1頭に♀2頭ずつのペアを組んで交配してみようと思います。何かアドバイスいただけると嬉しいです。 以前ご相談した「クワガタの森」計画ですが、着々と進行中です。 別荘管理サポート会社を通して地元の植木屋さんに見積もりを出してもらったところ、ニレ・クヌギ・ナラ・ヤナギいずれも軽井沢で生育可能でした。今度の週末、業者の人に来てもらって現地で植樹する地点を決めて、発注予定です。 植樹は来春ですが、今年の秋の内に、植える予定の樹木を土から掘り出して「根切り」という作業を行うと、植樹した際に根付きが良くなるそうです。ですので先に木を決める必要があり、直径30㎝くらいで数mくらいの高さのクヌギとハルニレを2本くらいずつお願いしようかと思います。重機を入れての大掛かりな作業になり、費用もそれなりにかかりますが、楽しみです。 後はクワガタ君たちが来てくれるかなあ。洞があったり節くれだって樹液が染み出すような木は売っていないようです。調べたら、洞は枝が落ちたところに雑菌が繁殖して長年かけて侵食してできるようなので、自分で幹に傷をつけて樹液が出るようにするくらいかな。自分の家の木だからやっても問題はない? ヤマトサビクワガタは再挑戦の意向なので、何かまたご教示頂けると幸いです。 また、折に触れて、御報告やコメントさせていただきます。 今後とも宜しくお願い致します。
Comment by Puffin — 2015年10月13日 @ 8:44 PM
Puffin さん いつもレスありがとうございます。 久留米産オオクワガタの産卵・孵化おめでとうございます。 10月5日付の産卵DBも既に拝見しておりまして、「良かった成功したんだな」と思っていた所でした。今後の幼虫飼育も頑張って下さいね。 ミヤマクワガタの産卵、♀の★は残念でしたね。 ミヤマの♂は意外と気性が荒い個体もいますので、WDならば♀のみの産卵セットでも良かったかもしれませんね。 今現在も山には時々採集に行くのですが、ミヤマの♂ならばたまに見かけることがありますが、♀は全然見かけません。 おそらく今頃は持てる力を振り絞って産卵活動を全うしようとしているのでしょう。 ヤマトサビクワガタですが、今年の1月羽化ならばギリギリ産んでも良さそうな感じもするのですが、今年は既に越冬体勢に入ってしまったのかもしれません。 成虫でかなり長生きする虫ですので、オオクワガタと同じような感覚で扱えば良いかと思います。 ただオオクワと違うのは元々の生息地が徳之島なので、極度の気温での越冬はあまり良くないかもしれません。 あくまで目安ですが、15度以下にはしない方が良いかもしれませんね。 越冬を体験した後ならば、スイッチが入り、来春には熟成もかなって沢山産んでくれるのではないでしょうか? こちらもまたの朗報を期待しております。 最後に別荘での「クワガタの森」計画の件ですが、ハルニレ、クヌギ、コナラ、ヤナギ、が育つということ、完璧じゃないですか~。良かったですね! 洞の件ですが、ミヤマ、ノコギリ、カブト、を主として集めたいならば洞にはほとんど入らないので大丈夫だと思います。 Puffin さんのお望みのクワガタシャワーも洞は必要とはしませんしね。 洞に入るのはコクワガタ、ヒラタクワガタ、オオクワガタですが、コクワガタとヒラタクワガタは樹皮裏にも結構入りますので樹皮裏狙いでも良いかもしれません。スジクワガタも洞に入っているのはあまり見かけません。 樹皮裏を沢山作りたい場合は、ハルニレよりもクヌギの方が良いと思います。ハルニレでも勿論洞も樹皮裏も出来るのですが、クヌギの方が樹皮の厚み(コルク層)があり、樹皮裏が出来やすい傾向にあると思います。 実際私が野外採集のフィールドで見かけた樹皮裏もクヌギの木の方が多かったです。 あとは、そこにボクトウガやコウモリガなどの幼虫が住み穴を開けて樹皮裏やウロを作ってくれるのを待つだけです。 オオクワガタやヒラタクワガタの大型が入ることで有名な「台場クヌギ」などは人為的な木の伐採を繰り返していびつな形が自然に形成されて出来ていくものらしいです。 個人所有の木でしたら、大きな盆栽と思えばある程度の手を加えることをしても良いのではないでしょうか? ただ洞も毎年形を変えていってしまいます。昨年あった洞が今年行ってみると完全に塞がってしまっていたということは本当によくあります。 洞や樹皮裏は木にとってはあくまでも傷の一つなので、木としては塞ごうとしてしまうのでしょう。のんびり自然に任せて出来るのを楽しみにしていても良いかもしれませんね。 それにしても「クワガタの森」いいですね~。本当にうらやましい限りです。 数年経過してある程度形になって来ましたら、是非ご紹介下さいませ。 月夜野きのこ園宛の直メールで、画像などのご紹介もOKですよ。 私も楽しみにお待ちしております。 飼育日記担当:Shiho
Comment by tsukiyono — 2015年10月13日 @ 9:45 PM