ダイオウヒラタの飼育【幼虫飼育&ペアリング方法&産卵方法】

今回はダイオウヒラタクワガタの飼育方法についてご紹介してみたいと思います。

 

「ダイオウヒラタクワガタ」

 

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【参考画像:ダイオウヒラタクワガタ♂83mm】

 

【飼育種】
和名:ダイオウヒラタクワガタ
学名:Dorcus bucephalus
産地:ジャワ島(東部、西部)

 

 ダイオウヒラタ、ジャワ島の特産種。
アゴ先端が内側に湾曲し、体幅も大きい。スマトラオオヒラタなどのオオヒラタ種(titanus)とは異なる。

東部産と西部産で、両アゴを合わせた際に形状が異なるとされるが、ジャワ島中央部にも生息しているので、あくまで目安的に考えるのが良いかもしれません。

東部産:両顎を閉じた時、合わせた所が平行になる。
西部産:両顎を閉じた時、合わせた所が少し山型になる。

 

ではまずは幼虫飼育の方法からご紹介して見たいと思います。

 

<幼虫飼育方法>

【使用にお勧めのエサ】
菌糸、きのこマット、くわマット
【マット飼育の場合に使用した容器】
800~1100cc程度
【菌糸飼育の場合】
1100cc菌糸ボトル2本、もしくは1100cc~1400ccの2本
【えさ交換回数】
途中1回(菌糸劣化等の場合は除く)
【設定管理温度】
20~25℃前後
【羽化までにかかる時間:菌糸の場合】
♂:初令投入して約10~12ヶ月程度
♀:初令投入して約6~8ヶ月程度
※♂と♀、羽化体長によって誤差あり※

 

幼虫飼育は菌糸ビン、マットどちらでも大きく育ってくれます。菌糸ビン飼育に比べると若干時間はかかりますがマットでも大きくなってくれます。菌糸 飼育の場合は管理温度、性別、その幼虫の大きさにもよりますが、投入より6~12ヶ月程度で羽化してくれています。

 

次に産卵方法についてご紹介したいと思います。
まずはペアリング方法からご紹介します。

 

<ペアリング方法>

成虫個体を入手した場合、産卵をさせるには交尾が必要です。
入手した個体がWD、いわゆる野外採集個体であれば、既に野外で交尾を完了している傾向が強いです。

私の場合、WD個体ならばまずはWD♀のみで産卵セットを組みます。人間の管理下での♂♀のペアリングは危険を伴います。狭い環境で交尾をするわけですが、♀が嫌がった場合狭いケースの中では逃げようがありません。

ダイオウヒラタは気性も荒いので、♀が交尾を拒否すると攻撃していまい、最悪の場合には♀を殺してしまうこともあります。それゆえ、極力ペアリングさせる期間は最小にとどめたいので、個体がワイルドものならば、まずは♀の持ち腹に期待して産卵セットを組みます。

 

もし産卵セットを組んだ後、

・♀が産卵に集中しない。
・いつまでもマット上を徘徊している。
・固めたマット産卵の場合にいつまでもケース側面や底面に卵が見えてこない。

というようなことが見られるようならば、その場合は一度産卵セットを解除して♂がいれば♂と再交尾させると良いと思います。

 

もし入手した個体がブリード(養殖)ものの場合、あくまで私の場合ですが、

♂♀共に後食開始~約3ヶ月程度熟成させるようにしています。

熟成後、♂♀を小型のケースに入れてペアリングさせます。

ペアリングには自分の目の前でさせる【ハンドペアリング】と一定期間同居させる【同居ペアリング】方法があります。

ダイオウヒラタはなかなか人間の目の前では交尾することが少ないので、私はいつも【同居ペアリング】を行っています。

 

 

<産卵方法>

 ペアリングが完了したらいよいよ産卵セットを組みます。

産卵方法ですが、

①マットのみで産卵セットを行う方法
②材を使用して産卵セットを行う方法

 

があります。

産卵セッティングは人それぞれお好みがあるのでしょうから、両方のやり方をご紹介したいと思います。

 

<産卵セット時の方法>

 

★マットのみで産卵セットを行う場合★

 
【お勧めのマット】
くわマット、完熟マット、黒土マット
【お勧めの容器】
クリーンケースM~L程度
【水分量】
手で握って土団子が出来て、なおかつ水が染み出ない程度
【マットの詰め方】
ケース底面7割程度固く詰めて上部3センチはフンワリと。
【設定温度】
25℃前後

 

産卵セット時の参考画像がありますのでご紹介します。

 

まずは産卵セットに使用するケースを準備。
今回はクリーンケースを使用します。
IMGP7733

 

マットを大きなケースに出します。
お勧めはくわマット、完熟マット、もしくは黒土マット。
IMGP7700

 

ケース底面を固めていきます。
IMGP7706

固く詰めたマットの上にフンワリとマットを敷きます。
IMGP7707

 

転倒防止のハスクチップを入れます。
IMGP7708

 

ゼリーを入れます。
IMGP7710

 

 

親となる♀(下記は本土ヒラタクワガタ♀参考画像)を入れます。

IMGP7717

 
 
 

クリーンケース使用の場合は間に新聞紙を挟んでセット完了
IMGP7724

 

 

セット方法を図示するとこのような感じです。
matsanranset

 

 

 

★材を使用して産卵セットを組む場合★

 

【お勧めのマット】
くわマット、完熟マット、黒土マット
【お勧めの材】
コナラ、クヌギ、レイシ、カワラなど
【お勧めの容器】
クリーンケースM~L
【産卵管理温度】
25℃前後
【水分量(湿度)】
多からず少なからず
【セット方法】
ケース底面を固くつめ、材を入れ、その回りも固く詰める。
上部2~3cmほどは柔らかくマットを入れる。
少し材の頭が出るようにセット。

 

まずは使用する材を用意。
こちらはクヌギ材になります。
IMGP7730

 

次に材の皮を剥きます。
IMGP7731

材の皮は剥かない方もいらっしゃると思います。自然界では当然皮などは剥けていないので、より自然のままのセットをお好みの方はそのままセットするというやり方もありだと思います。

 

材を水に浸します。
IMGP7736

あくまで私のやり方ですが、私は材を水に浸す時、そこまで長い時間はかけません。

目安は水に浸している途中で材を取り出し、実際に持ってみて、重量的に十分に水分が含まれているかどうかをみて判断します。

 

IMGP7737

実際に手に取って水分の染み込み具合を確認します。

これは感覚的なものなので、どれ位とご紹介するのはとても難しいです。

もし敢えて時間的に言うならば、早くて5分、長くても10分位といったところでしょうか。

 

水から出した材を縦に置き、陰干しします。
IMGP7739

これも私的にはあまり時間はかけません。
元々長く水に浸していませんので、陰干しもごくわずかの時間です。
敢えて時間的に言うならばやはり5~10分程度でしょうか。

 

次にマットを準備します。

IMGP7740

今回は材に産ませるようにセッティングしますので、マットはある程度なんでも可能ですが、幼虫が材から出て来て、こぼれ落ちてしまった場合、マットでも食せるように敢えて発酵マットを使用します。

お勧めは、完熟マット、黒土マットです。

 

材を入れます。今回は2本のクヌギ材です。

IMGP7742

 

材の周りをマットで埋め込みます。
IMGP7744

 

上から見た画像
IMGP7745

マット産みの傾向も強い種類では、材の横より下の隙間もマットを固く詰めると良い傾向があります。材に気に入らなればマットにも産んでくれますので・・・。

 

後は上に転倒防止のハスクチップを敷きます。
IMGP7746

 

ゼリーを入れます。
IMGP7748

 

後は親♀を入れフタをします。
IMGP7755
この時はコバエシャッターを使用してみました。

 

 

セット方法を図示すると以下の様な感じです。
(※図では2本の材は平行セットになっていますが、Tの字でセットでも構いません。)
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産卵セッティングに関しては上記の2パターンの内のいずれかでセットを組めば大丈夫だと思います。

私の場合は主にマットのみの産卵で行っていました。
ただ他の人に聞いてみると材を入れた方が良いという方もいらっしゃいました。その場合、材は柔らかめの材を使用する事をお勧めします。

 

 

次に産卵セットを組んだ後、今度はいつその幼虫の割り出し作業を行ったら良いのかについてご紹介してみたいと思います。

 

<割り出し、幼虫取り出しの時期>

 

基本的にはケース側面や底面に幼虫が見え始めてからになります。

卵や幼虫が1~2頭見え始めたからといってで早期に割り出してしまうと、まだ産む気がある♀の産卵活動を一旦ストップさせてしまうことがあるのであまり好ましくありません。

 

※以下の画像は本土ヒラタクワガタのマット産卵時の様子です。ダイオウヒラタの場合も状況的には変わらないので参考程度に見て下さいませ。

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側面から見た様子(※マットのみ産卵の場合)

 

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底面から見た様子(※マットのみ産卵の場合)

 

上記画像は「マットのみの産卵」で産まれた幼虫達の画像ですが、上の数位見えてきたら、大成功!もう十分割り出しても大丈夫です。

あくまで私の場合になりますが、「マットのみの産卵セット」の場合、大体産卵セット開始して、約1ヶ月半~2ヶ月程度を目安に割り出すようにしています。

 

「材を使用したセットで産卵セットを組んだ場合」は、ケース側面などに幼虫が見えていれば、それを目安にすれば良いのですが、材に産卵していた場合は材に入り込んでしまっているので外側からは幼虫が確認出来ません。

その場合は2ヶ月ほどして一度材を掘り起こしてみ て下さい。材に産卵の形跡があればそのまま割り出しを行ってもよいと思います。

 

ただし飼育ケース内の環境が急激に悪化したり、ケース側面や底面にまったく卵や幼虫が見られなかったり、♀が全く潜る気配を見せずマット上面を徘徊ばかりしている時は話は別になります。

♀がなかなかマットに潜る行動をしなかったり、何回かセットしても全く産まない場合は、♂がいるならば再交尾をさせた方が良い場合もあると思います。そのあたりは状況を見て臨機応変に対応してあげて下さいませ。

 

いかがでしたでしょうか?
上記が私のダイオウヒラタクワガタの飼育方法です。

ダイオウヒラタクワガタの産卵セット時の管理温度は可能ならば25℃前後程度が望ましいです。少し気温が低くなってくる場合は温度対策などをして調整してあげて下さいませ。

とても格好の良いダイオウヒラタクワガタ。是非機会がございましたら挑戦してみて下さいませ。(^^)

 

※この方法はあくまでも私:Shihoが行っている方法です。やり方は人それぞれですので、あくまでご参考程度にご覧頂けますと幸いです。m〈_ _)m※

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4 Comments »

  1. Comment by ABC — 2017年7月27日 @ 7:20 PM

  2. Comment by tsukiyono — 2017年7月28日 @ 4:46 PM

  3. Comment by 現場 — 2017年8月21日 @ 1:01 PM

  4. Comment by tsukiyono — 2017年8月21日 @ 1:46 PM

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