「インラインブリード」と「アウトラインブリード」のメリット&デメリット
先日、累代飼育の限界について私的な考えをご紹介しました。
私の過去の具体例を挙げ、それに基づいて私の考え方を書いてみたのですが、初心者の方々にとってはあまり内容が分からない部分もあったかもしれません。
今回はちょっと順序が逆になってしまうようで今更ですが、インラインブリードとアウトラインブリードについて簡単に分かりやすくご紹介してみたいと思います。
【インラインブリード】
同種による同血統の同兄弟同士♂♀の配合で次世代を作ること
<メリット>
兄弟がゆえ、遺伝子が似通っており、体型や体長が遺伝する確率が高くなる。
大型や良型&極太個体の特徴を、子孫に受け継がせたい時には非常に有効とされる。
良型のホペイ:インラインブリードだと形も遺伝しやすくなる
<デメリット>
兄弟同士の配合がゆえ、血が濃くなってしまい、蛹化不全、羽化不全、奇形、産卵数減少などの障害が出やすくなる。累代を重ねれば重ねるほど、この現象は顕著に表れてくる傾向が強くなる場合がある。
羽化不全により羽が割れてしまったヒルスシロカブト、すべての個体が血の障害だけとは限らないが、インラインブリードで累代を重ねていくことにより、その確率は多くなっていく傾向が強くなっていく。
【アウトラインブリード】
同種による異血統どうしの♂♀の配合で次世代を作ること
<メリット>
異血統ゆえ、血の障害が起こりにくくなり、蛹化不全、羽化不全、奇形、産卵数減少などの障害が出にくくなる。
健康な個体を作出するにはこの方法が一番有効だとされている。
<デメリット>
血の入れ替えによって、全く別の親の遺伝子同士が配合されるので、どちらかの親片方の特徴を持った個体が出にくくなってしまう。
気に入った親個体の型を子に伝えようとしても、片方の伴侶が別血統ならば、親の型を受け継ぐ力は1/2となり、確率は下がってしまう。
アウトラインブリードを続ければ続けるほど健康的にはなるが、型を子孫に伝える力は弱くなってしまう。
如何でしたでしょうか?
インラインブリードとアウトラインブリード、どちらにもメリット、デメリットがあります。
健康な個体をと考えるならば、間違いなくアウトラインブリードですが、実際は親の型を子供にも伝えたい、飼育している虫が1ペアしかいない、等の理由でインラインブリードの方が多く行われている傾向があります。
なかなか難しい問題かとは思いますが、血が絶えてしまっては意味が無くなってしまいますので、適度なインラインブリードを行った後にはアウトラインブリードによって血の入れ替えを行うのが無難かと考えます。
※ここでご紹介させて頂いた考え方や飼育方法はあくまで私Shiho個人のやり方&考え方であってそれを押し付けるものでは御座いません。あくまでもご参考程度にご覧頂ければ幸いです。よろしくお願い申し上げます。
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2016年5月12日
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インラインブリード、個体の特徴を強化するには有効ですよね。 今自宅にいる愛犬もさすがに兄弟ではないですが、ある程度祖先に同血統の血を入れていますし、競走馬ではよく「奇跡の血量」というのがあって、4代前祖先(6.25%の血量)と3代前祖先(12.5%の血量)が共通の馬となる「4×3のインブリード」のときの血量は6.25%+12.5%=18.75%となり、これを特に「奇跡の血量」と呼ぶそうです。昆虫も、このくらいの血量が妥当なのかな。 今のところ、DBにアップしたように昨年のブリードでは、久留米産オオクワガタ2頭とも♀だったので、次世代もアウトブリードになりますが、ゆくゆくはインブリードの最適血量を実験してみようと思います。 さて、今回はクワガタではなくカブトムシに関して、質問があります。 ヘラクレス・ヘラクレスの幼虫3頭も飼育しております。 昨年12月21日割り出しで、初令の状態で1月9日に我が家に到着。最初の1か月は、860ccプリンカップで飼育してから、2月10日よりコバエシャッター小に移して飼育、5月13日にマット交換しました。その際の体重ですが、10.2g・10,0g・6.8g。 ヘラヘラと聞くと「超大型」というイメージですが、ニジイロクワガタの3令幼虫よりも小さいのです。 ヘラヘラは1年から2年幼虫期間がある、と聞くのですが、この時期(孵化後約5か月)はこんなものでしょうか? 飼育は、クワガタ専用部屋にてエアコン管理で21~23℃前後(30年以上前の機種なので設定温度通りにならず。14日に新機種購入してあげましたのでこれからは正確な温度設定が可能になります)、マットはきのこマットを使用しています。 もし、少な過ぎるようでしたら、何か対策はないものか、ご教示頂けると幸いです。 宜しくお願い致します。
Comment by Puffin — 2016年5月15日 @ 8:06 PM
Puffinさん レスありがとうございます。 競走馬、奇跡の血量ですね、私も競走馬大好きなので良く存じ上げています。 確かにそれ固有の特徴を出すにはインラインブリードは必要不可欠なのでしょうね。難しい問題ですよね。 さて、今回のヘラクレスのご質問ですが、1/9初令で、現時点5/中旬の時点で、そのグラム数だと、そこだけ聞くと確かに小さい気がします。 12/21割り出しということですので、通常(25℃管理位)ならば、おおよそですが、2月上旬位で2令になり、遅くとも3月下旬位までには3令初期くらいになっている頃だと考えます。 3令になると食欲もとても旺盛になりますので、3月下旬位より3令に突入したとしても、今の時点(5月中旬)で既に3令を1か月半程度経過しているということになるような感じですので、確かにそのグラム数は少し少ない気がします。20グラム以上はあってもよいのではないかと考えてしまいます。 ただし、上記の流れは25℃前後で管理した場合のおおよそのデータですので、これよりも管理温度が低ければ、全体的にもう少し成長が遅くなる可能性があります。 Puffinさんの管理温度が21~23℃ということは全体的に少し低温管理気味になりますので、もしかするとそのせいもあって発育が遅れているのかもしれません。 だとすると、10グラムというのはもしかすると適量なのかもしれません。(6グラムの方は少しかなり小さい気もしますが・・・) とりあえず、今後の様子を見守り、1ヶ月位後に再度体重を計測してみては如何でしょうか? その時に体重が増えていれば良し、あまりにも伸びていない、もしくは減っていれば、何かしら他に原因があるのかもしれません。 あまりお役に立つアドバイスではありませんが、ご参考にして頂ければ幸いです。 よろしくお願い申し上げます。 飼育日記担当:Shiho
Comment by tsukiyono — 2016年5月16日 @ 11:35 AM
レス有り難うございます。 マットが合わない、ということは無いと思うので、やはり温度ですか。 夕方帰宅して、早速「冷やし虫家」25℃設定の中に入れました。新エアコンは設置が後日になるので、それまで待たずに少しでも早く良い環境に移そうと。 同じ温度で、アルキデスヒラタ・アトラスオオカブト・国産カブトなどが普通に産卵し幼虫が成長していたので、大丈夫かとタカをくくっていました。 やっぱり手抜きしてはいけない、ということですね。良い教訓になりました。犠牲になったヘラヘラたちが復活して元気に成長してくれると良いのですが。 今後とも宜しくご指導下さい。
Comment by Puffin — 2016年5月17日 @ 12:14 AM
Puffinさん レスありがとうございます。 いえいえ、Puffin さんのやり方は間違ってはいないですよ。 大型個体を作出される方は、ほとんどの方が低温飼育で管理してる事が多いです。 その際の管理温度は20℃前後なので、もしPuffin さんが大型のヘラクレスを羽化させたいと思っているならば、その管理温度で間違っていないと思います。 上のレスで私が紹介した25℃管理の方法は大型作成ではなく、比較的早く羽化させたい場合にこの管理温度で設定しています。 25℃位の温度で管理すると、♂は大体1年~1年2~3ヶ月程度。♀は11ヶ月~1年程度で羽化してくれることが多いです。 体長に関してもやはり幼虫期間が短かったせいか、♂は大体130~140㎜UPで羽化することが多かったです。 Puffin さんの管理温度は少し低めなので、個体差等を考慮すると、もしかしたら、それ位のペースで育っていった方が大型個体が羽化してくれる可能性があるかもしれません。 今回説明が足りなかったようで、大変失礼致しました。 上記データはあくまでも私がやった一データですので、血統や個体差により前後することがあると思いますので、あくまで参考程度に聞いて頂ければ幸いです。 また何かございましたらご質問頂ければ幸いです。 飼育日記担当:Shiho
Comment by tsukiyono — 2016年5月17日 @ 9:37 AM