国産ヒラタクワガタを産卵させてみよう!
先日よりご紹介している【産卵させてみようシリーズ】の第3回目。
今回は「国産ヒラタクワガタ」の産卵セットの方法をご紹介して見たいと思います。
※この記事は昨年もほぼ同じ内容で掲載させて頂いております。今年より産卵を初めてする方も多くいらっしゃいますので改めて掲載させて頂きました。記事内容&画像が重複しますことをご了承下さいませ※
※ヒラタクワガタには沢山の亜種:ツシマヒラタやスジブトヒラタ等:がありますが、産卵方法に関しましては全て今回ご紹介するセット方法で産卵が可能です※
【飼育種】
和名:ヒラタクワガタ
学名:Dorcus titanus
ヒラタクワガタの場合、2つのセット方法があります。
①マットのみで産卵セットを行う方法
②材を使用して産卵セットを行う方法
です。
産卵セッティングは人それぞれお好みがあるのでしょうから、両方のやり方をご紹介したいと思います。
<産卵セット時の方法>
※野外品の♀を利用した産卵セットのご紹介になります※
★マットのみで産卵セットを行う場合★
【累代】
天然ものWD♀を使用
【お勧めのマット】
くわマット、完熟マット
【お勧めの容器】
クリーンケースM~L程度
【水分量】
手で握って土団子が出来て、なおかつ水が染み出ない程度
【マットの詰め方】
ケース底面7割程度固く詰めて上部3cmはフンワリと。
【設定温度】
25~27℃前後
今回はつい最近セットを組んだばかりの様子の画像がありますので、それと共に合わせてご紹介して見たいと思います。
まずは産卵セットに使用するケースを準備。
今回はクリーンケースを使用します。
マットを大きなケースに出します。
お勧めは完熟マット、もしくは黒土マット。
★材を使用して産卵セットを組む場合★
【お勧めのマット】
くわマット、完熟マット、黒土マット
【お勧めの材】
コナラ、クヌギ、レイシ、カワラなど
【お勧めの容器】
クリーンケースM~L
【産卵管理温度】
25~27℃前後
【水分量(湿度)】
多からず少なからず
【セット方法】
ケース底面を固くつめ、材を入れ、その回りも固く詰める。
上部2~3cmほどは柔らかくマットを入れる。
少し材の頭が出るようにセット。
材の皮は剥かない方もいらっしゃると思います。自然界では当然皮などは剥けていないので、より自然のままのセットをお好みの方はそのままセットするというやり方もありだと思います。
あくまで私のやり方ですが、私は材を水に浸す時、そこまで長い時間はかけません。
目安は水に浸している途中で材を取り出し、実際に持ってみて、重量的に十分に水分が含まれているかどうかをみて判断します。
実際に手に取って水分の染み込み具合を確認します。
これは感覚的なものなので、どれ位とご紹介するのはとても難しいです。
もし敢えて時間的に言うならば、早くて5分、長くても10分位といったところでしょうか。
これも私的にはあまり時間はかけません。
元々長く水に浸していませんので、陰干しもごくわずかの時間です。
敢えて時間的に言うならばやはり5~10分程度でしょうか。
次にマットを準備します。
今回は材に産ませるようにセッティングしますので、マットはある程度なんでも可能ですが、幼虫が材から出て来て、こぼれ落ちてしまった場合、マットでも食せるように敢えて発酵マットを使用します。
お勧めは、くわマット、完熟マットです。
材を入れます。今回は2本のクヌギ材です。
マット産みの傾向も強い種類では、材の横より下の隙間もマットを固く詰めると良い傾向があります。材に気に入らなればマットにも産んでくれますので・・・。
後は親♀を入れフタをします。
今回はコバエシャッターを使用してみました。
セット方法を図示すると以下の様な感じです。
(※図では2本の材は平行セットになっていますが、Tの字でセットでも構いません。)
産卵セッティングに関しては上記の2パターンの内のいずれかでセットを組めば大丈夫だと思います。
私の場合は主にマットのみの産卵で行っていました。
ただ他の人に聞いてみると材を入れた方が良いという方もいらっしゃいました。その場合、材は柔らかめの材を使用する事をお勧めします。
次に産卵セットを組んだ後、今度はいつその幼虫の割り出し作業を行ったら良いのかについてご紹介してみたいと思います。
<割り出し、幼虫取り出しの時期>
基本的にはケース側面や底面に幼虫が見え始めてからになります。
卵や幼虫が1~2頭見え始めたからといってで早期に割り出してしまうと、まだ産む気がある♀の産卵活動を一旦ストップさせてしまうことがあるのであまり好ましくありません。
上記画像は「マットのみの産卵」で産まれた幼虫達の画像ですが、上の数位見えてきたら、大成功!もう十分割り出しても大丈夫です。
あくまで私の場合になりますが、「マットのみの産卵セット」の場合、大体産卵セット開始して、約1ヶ月半~2ヶ月程度を目安に割り出すようにしています。
「材を使用したセットで産卵セットを組んだ場合」は、ケース側面などに幼虫が見えていれば、それを目安にすれば良いのですが、材に産卵していた場合は材に入り込んでしまっているので外側からは幼虫が確認出来ません。
その場合は2ヶ月ほどして一度材を掘り起こしてみ て下さい。材に産卵の形跡があればそのまま割り出しを行ってもよいと思います。
ただし飼育ケース内の環境が急激に悪化したり、ケース側面や底面にまったく卵や幼虫が見られなかったり、♀が全く潜る気配を見せずマット上面を徘徊ばかりしている時は話は別になります。
今回は野外ものの♀はほぼ交尾が終了していると言っても過言ではないので、♀の持ち腹を期待して、そのまま♀のみを産卵セットに入れるやり方をご紹介しました。
しかし、♀がなかなかマットに潜る行動をしなかったり、何回かセットしても全く産まない場合は、♂がいるならば再交尾をさせた方が良い場合もあると思います。そのあたりは状況を見て臨機応変に対応してあげて下さいませ。
下の画像は過去に行ったヒラタクワガタ産卵セット割り出し風景です。
いかがでしたでしょうか?
上記が私のヒラタクワガタの産卵セットの組み方です。
ヒラタクワガタの産卵セット時の管理温度は可能ならば25~27℃前後程度が望ましいので、少し気温が低くなってくる場合は温度対策などをして調整してあげて下さいませ。
是非一度産卵セットを組み、幼虫飼育を挑戦してみて下さいませ。(^^)
※この方法はあくまでも私:Shihoの産卵セットの組み方です。やり方は人それぞれですので、あくまでご参考程度にご覧頂けますと幸いです。m〈_ _)m※
9 Comments »
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こんにちは!
質問があります。
国産ヒラタクワガタ❲本土❳の産卵セットに関してです。
親虫は共にひと冬越したもの。
1回目のセットは100均のプラケースミニ。
2回目のセットは100均パンケース。
共にマットのみ。
最初は5月半ばにセット。ひと月ほどしてばらしました。
2本目は6月半ばにセット。ひと月でばらしました。
そして、どちらも産卵を確認。
2セット目は幼虫が居ました。
しかし、2セット共に卵や幼虫が消える。
1本目のマットを再確認すると、2令初期が1頭。
2セット目は何も見つからず土を戻しました。夏の終わりにばらす予定。
考えられるのは容器が小さい。メスが産卵の際、潰してる。暴くのが早い。という風に思ってます。しほさんはどう思われますか?セットを暴くと幼虫がポロポロ落ちてくるというのがありません。何がいけないのでしょうか?
常温飼育で押し入れに置いて、温度は28~30度です。
次ぎに繋げれる数だけ採れればいいかな。という考えもありますが、久々に爆産を見たいし悩ましいです。
Comment by やまたか — 2021年7月20日 @ 10:42 AM
やまたかさん
レスありがとうございます。
あくまで私個人での考え方になりますが、
産卵を確認して、なおかつ幼虫の孵化まで確認したのが消えているのであれば、私ならば以下の事を疑います。
・管理温度高によるマットの再発酵による死亡
・親♀が食してしまった。いわゆる子食い。
・ヒラタ系に特にかかりやすい「ブヨブヨ病」にかかってしまい死亡して消滅してしまった。
まず上記の事が頭に浮かびます。
ちなにみマットはどの種類のマットを使用したのでしょうか?
黒土マットや完熟マットならば、再発酵はしにくいですが、もしきのこマットでセットしているならば、もう少し管理温度を低くしないと再発酵がしやすくなってしまう可能性があります。
一旦発酵が起こると、内部温度は軽く40~50℃程度にまで上がってしまう可能性がありますのでとっても注意が必要です。
あとは子食い・・・。こちらもドルクス系にはよく見られます。
管理ケースが狭ければ狭いほど親♀と幼虫の出逢う確率は高くなり、そのせいで親♀が子幼虫を食してしまうパターンです。
そして、最後にウィルス性のブヨブヨ病・・・。
こちらは発生原因が何なのかはよくは分かっておりませんが、ひとたびはっせいすればほとんどの幼虫はアメ色に身体が透けていき、やがてほぼ確実に死亡してしまいます。。
上記が私が考えられる理由の一部です。
考え方は人それぞれですので、勿論これ以外の原因はあるとは思います。。
あくまで私個人の考え方として、ご参考程度にして頂ければ幸いです。
飼育日記担当:Shiho
Comment by tsukiyono — 2021年7月21日 @ 9:18 AM
マットはベーシックなきのこマットです。
自分の中の可能性はメスが潰した、子食い。が有力かなとお話を聞き思いました。
あとはやはりケースが小さいのかなぁと。。。
パンケースは3.5Lほどです。今あるケースの中で大きいのが高20×巾25×横15です。それに朽ち木1本入れて幼虫採集してみようと思います。
アドバイスありがとうございます。参考にして秋までにまた累代出来る程度の幼虫が取れるようにしてみます。
生き物相手なので本当に難しいです。
しほさん初め、ブリーダーの方々は凄いと感じます!
Comment by やまたか — 2021年7月21日 @ 4:46 PM
やまたかさん
レスありがとうございます。
そうですか、無事幼虫が取れると良いですね。頑張って下さいませ。
朗報が聞けることをお待ちしておりますm(__)m
飼育日記担当:Shiho
Comment by tsukiyono — 2021年7月23日 @ 11:22 AM
セット割り出しました。
結果ボウズです。
ただ、見落としの卵があるかもしれないので、土はケースに入れて保管してます。
またまた前回のシホさんの仰る通りの子食いなのかもしれません。
難しいですね。
今年のクワカブブリードは終了です。
ヒラタクワガタメスは後ろ足のフセツが両方なくなりご苦労様でした、という感じです。本来ならマットのみでなく材も入れた方が良かったのでしょうか?
材は余りに固くて入れるのをやめました。
来年は国産オオクワガタ、群馬コクワWD1、トクノシマノコギリ、本土ノコギリと、今冬を越す新成虫ばかり。来年が楽しみです。
ケースは100均で見つけた20Lのコンテナで材を数本入れて飼育予定です。
ヒラタは本当に残念でした。。。
色々お話が聞けて楽しかったです!有難うございます。
Comment by やまたか — 2021年8月16日 @ 9:27 PM
やまたかさん
レスありがとうございます。
そうでしたか、それは残念でしたね。。。
今季は残念でしたが、また是非来季もチャレンジ頑張って下さいませ!
挑戦を続けることで、虫達の色んなパターンが分かるようになってくると思いますし、それもまた面白さの一つだと思います。
こちらこそ色んなお話が聞けて楽しかったです。
今後ともどうぞよろしくお願い申し上げますm(__)m
飼育日記担当:Shiho
Comment by tsukiyono — 2021年8月17日 @ 5:34 AM
こんばんは。
昨年羽化したツシマヒラタ筆頭にを4月初旬に産卵木3本埋め込み、割り出しをしてみました。
結果は材から22頭。
土からは0
スジブトは材から3。土からは1。
サキシマヒラタはメスが齧った痕はあるものの0。
念のため埋め戻し放置。
オオクワガタは4本から5頭。
御社で一昨年前に購入した群馬コクワが材4本をかなり齧るものの、まだ割り出せず、メスを除いた状態で放置。結果が楽しみです。
サキシマヒラタはメスが材の下で星になってたので、他のクワガタは2セット目に入っていただきました。
ツシマは後ろ足のふせつを欠損。マットで産むのか上を徘徊してます。
人それぞれ違いますが、ツシマの22頭は爆産なのでしょうか?
スジブト、オオクワガタが4~5は少ない気もしますが、そういうものなのでしょうか?
因みに、コナラの標準的なサイズです。硬さは割り出しの時、で割れるくらい柔らかくなってました。
加水はたらいに水を張り、断面を下に吸わせました。ケースは100均の靴ケースです。材は3~4本入ります。
Comment by やまたか — 2022年5月30日 @ 9:06 PM
やまたか様
レスありがとうございます。
産卵数については、それぞれの環境や使用する材料(管理温度、湿度、マットの種類、材の種類&本数、材の状態、ケースの大きさ等)、そして個体差などがあり一概にどれ位産むという確定的なものは人によって様々だと思います。
私の過去の経験から申し上げると、よく産んだな~と思う時は、
オオクワ:40~50頭程
ツシマ:40~50頭程
スジブト:30~40頭程
サキシマヒラタ:40~50程度
程が採れていたと記憶しております。。
ただ、これは良く産卵したと思う時であって、どの種も時には全く産卵しなかったということも沢山経験しております。
この中ではスジブトが一番産みにくい傾向にあると個人的に感じていますが、これも個体差やその時の環境にも差があるので一概には言えないと思います。
あくまでご参考程度にして頂ければ幸いです。
飼育日記担当:Shiho
Comment by tsukiyono — 2022年5月31日 @ 6:05 AM
おはようございます。
どれも40前後は凄いです。
私は何とか累代が出来る感じなので良かったと言うところです。
ありがとうございます。参考に致します!
Comment by やまたか — 2022年5月31日 @ 10:17 AM