オオクワガタの産卵:夏に採集したオオクワガタを産卵させてみよう 2018年度版
【産卵させてみようシリーズ】の第5回目。
今回は「オオクワガタ」の産卵セットの方法をご紹介して見たいと思います。
※この記事は昨年もほぼ同じ内容で掲載させて頂いております。今年より産卵を初めてする方も多くいらっしゃいますので改めて掲載させて頂きました。記事内容&画像が重複しますことをご了承下さいませ※
野外採集してきた個体も、飼育個体も産卵方法は同じですので、オオクワガタを産卵させようと思われている方の参考になれれば幸いです。
【参考画像:国産オオクワガタ♂57.3mm】
(2018/8月採集天然個体)
【参考画像:国産オオクワガタ♂42.6mm】
(2018/9/26採集天然個体:佐賀のkazu氏採集)
【飼育種】
和名:国産オオクワガタ
学名:Dorcus hopei binodulosus
産地:日本国
オオクワガタの場合、2つのセット方法があります。
①材を使用して産卵セットを行う方法
②菌床に産卵させる方法(菌床産卵セット方法)
産卵セッティングは人それぞれお好みがあるのでしょうから、両方のやり方をご紹介したいと思います。
<産卵セット時の方法>
★材を使用して産卵セットを組む場合★
【産卵に使用するマット&材】
マット+材2本程度
【産卵に使用するケース】
クリーンケースM~L程度
【底面&材の周りに埋め込むマット】
きのこMat 、完熟Mat (お勧め)
【産卵管理温度】
25~27℃前後
【水分量(湿度)】
多からず少なからず
【セット方法】
ケース底面を固くつめ、材を入れ、その回りは柔らかく詰める。
上部2~3cmほどは柔らかくマットを入れる。
材の頭が出るようにセット。
産卵セットは図示すると以下のような感じで組みます。(参考例です)
では画像と共にセット方法の手順をご紹介したいと思います。
<手順>
まずは使用する材を用意。
下記画像はクヌギ材になります。
オオクワガタを産卵させる材の場合、あくまで私が選ぶ基準は、少しは柔らかいが、しっかりと身の詰まった材を選ぶようにしています。
オオクワガタ♀は身体ごと穿孔して産む事があるので、あまりにも柔らかい材だとすぐにバラバラになってしまう為です。
柔らかいがしっかりとした材を選ぶ
材の皮は剥かない方もいらっしゃると思います。自然界では当然皮などは剥けていないので、より自然のままのセットをお好みの方はそのままセットするというやり方もありだと思います。
あくまで私のやり方ですが、私は材を水に浸す時、そこまで長い時間はかけません。
目安は水に浸している途中で材を取り出し、実際に持ってみて、重量的に十分に水分が含まれているかどうかをみて判断します。
実際に手に取って水分の染み込み具合を確認します。
これは感覚的なものなので、どれ位とご紹介するのはとても難しいです。
もし敢えて時間的に言うならば、早くて5分、長くても10分位といったところでしょうか。
これも私的にはあまり時間はかけません。
元々長く水に浸していませんので、陰干しもごくわずかの時間です。
敢えて時間的に言うならばやはり5~10分程度でしょうか。
次にマットを準備します。
マットをケース底面に固く5cmほど詰めます。
国産オオクワガタは材産みが主体なのでマットは基本的には何でもOKです。
針葉樹のマットでもOKですが、もし万が一幼虫が材よりこぼれ落ちた事態を考えて幼虫がスムーズに食可能な発酵マットが無難です。きのこMat 、完熟Mat 、など、どれでもOKです。
次に材を入れ、回りにマットを軽く詰めます。
この画像で使用しているのはクヌギ材2本です。少し柔らかめの材です。
ゼリーと生体を入れて完成。
真上からの画像です。
このようにマットをそこまで深く詰める必要はありません。
いわゆる「転がし産卵」で十分です。
★★菌床に産卵させる方法★★
(菌床産卵セット方法)
【使用したケース】
クリーンケースLサイズ
【使用した菌床】
Basicクヌギブロックまるまる1個
【周りを埋め込んだマット】
きのこMat 、完熟Mat どれでもOK
【水分量】
菌床はそのまま、マットは少し水分少なめ
【設定温度】
25~27℃前後
産卵セットは以下のような感じで組みます。(参考例です)
まずケースを用意します。このケースはクリーンケースLサイズです。
次にケース底面にマットを入れます。底2~3cm程度敷き詰めます。
次に袋から出した菌糸ブロックを丸ごと入れます。
ケースに入りきらない場合は菌糸ブロックを削って入れてもOKです。
周りをほんの少しマットで埋め込みます。
今回の場合産卵種がオオクワですので完全に埋めきる必要はありません。
半分か1/3程度でOKです。
ゼリー、生体♂♀を入れます。
フタをして完成です。
上記が産卵の手順です。
参考までにですが、2008年度に菌床産卵セットを8セット組んだ時の結果をご紹介させて頂きます。
【割り出した幼虫の一部】
①幼虫31頭
②幼虫29頭
③幼虫12頭
④幼虫48頭
⑤幼虫41頭
⑥幼虫5頭
⑦幼虫33頭
⑧幼虫22頭
この時は8♀セットで合計221頭
1セットあたりの平均27頭
2008年度のセット時には上記のような結果が得られました。この時は爆産で、全てのセットで産卵を確認し、とても良く産んでくれたのを覚えています。
また今弊社にはお手軽に菌床産卵セットが出来る「オオクワガタ専用:産卵初めてセット」という商品もありますので、菌床産卵の組み方が苦手だ、面倒だと思われる方はこちらを使用してみるのも良いかと思います。
通常国産オオクワガタは材産卵が主流ですが、菌床産卵することで利点もあります。
【菌床産卵の利点】
・セットが楽(産卵木の柔らかさや加水の手間が要らない)
・割り出しが楽(産卵木の割り出し時のように幼虫を潰すことも少なく、また手で楽に割り出せる)
・若令幼虫に最初から菌糸を摂取させられる(大型作出に有効)。
菌床産卵の利点は何と言っても割り出しの楽さ、それと若令幼虫より菌糸を与える事が出来るという利点です。 ただ産卵数に関しては材産みの方が若干多い場合もあるような気もします。ただ過去には40頭近く産んだ例もあるので、どっちが良いとは一概には言えないのも事実です。
【今の時期から産卵させたい方へ】
今からの時期は外気温もすでにかなり低くなってくるので国産オオクワガタが越冬体勢に入ってくることが考えられます。
勿論そのまま越冬させて来年の春以降目覚めてから産卵させても良いですが、どうしても今から産卵させたい方は、管理温度を少し高め(28℃前後)にし、湿度も高めにキープして、♀に「あっ、まだ夏だ、産める!」と錯覚させるような環境づくりをしてみると良いと思います。
こうすることによって、産卵のスイッチが入ることも少なくありません。すでに越冬体勢に入っている個体や今から産ませようと思っている方に試してみるのも手だと思います。
如何でしたでしょうか?
上記が私:Shihoの国産オオクワガタの飼育方法です。
是非一度産卵セットを組み、幼虫飼育を挑戦してみて下さいませ。(^^)
※この方法はあくまでも私:Shihoの産卵セットの組み方です。やり方は人それぞれですので、あくまでご参考程度にご覧頂けますと幸いです。m〈_ _)m※
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2018年12月3日
カテゴリー
使用したアイテム
Basicシリーズ(菌糸ビン・菌床ブロック), Basicプロテインゼリー(昆虫ゼリー), Elementシリーズ(菌糸ビン・菌床ブロック), きのこMat(昆虫マット・発酵マット), 完熟Mat(昆虫マット・発酵マット), 産卵木, 飼育ケース
質問です。
材を使った産卵セットを組んだんですが加水はほとんどしていないのに湿気がひどくカビが発生したりします。
また、ヘラヘラの幼虫の飼育容器にキノコ、大量のトビムシ、白カビ?も発生していてマットも再発酵しているわけではないんですが酸っぱい匂いがします
人体や幼虫に悪影響があるか分かりませんが見ていて気持ちのいいものではないので簡単にできる湿気を減らしたりする方法があったら教えてほしいです。
長文失礼しました
Comment by おむ — 2019年8月20日 @ 6:49 PM
おむさん
レスありがとうございます。
この時期は湿度が高めなので、きのこやカビにとっては天国のようなもので、おそらく浮遊菌による付着発生が原因ではないかと思われます。
またトビムシやダニ、線虫などの雑虫はそういった環境が大好きなので、どこからとなく集まって来てしまいます。
材にカビが生えるのもおっしゃるように湿度が高い可能性が考えられます。
これは湿度を減らせない場合は仕方ないですが、少しでもカビを防ぎたい場合は、一旦バクテリア材(バクテリア材とはあらかじめマットなどに材を漬け込んで、ならしてから使用する材のこと。この時マットに幼虫の糞などを入れて作ると更に効果が上がります)を作るなどをして対策を練ると良いかと思います。
完全にとはいかないまでもバクテリア材を作ることで多少のカビは軽減されるかと考えます。
湿度に至ってはクワガタ、カブトムシ飼育にとってはある程度の湿度はとても重要だと考えます。
しかしどうしても湿度を軽減させたいと思うならば、管理する部屋に除湿機器や、除湿剤などを置いたり、エアコンの除湿を使うなどの方法しかちょっと思いつきません。
また雑虫に関しては、ケース下にダニ除けシートを置く、ケース内に至っては薄めた木酢液を軽くスプレーする、またケースや容器も木酢液でふき取るなどの対策を行うと外から集まってくるダニやトビムシ等の雑虫も軽減させる可能性はあると思います。
マットは再発酵すると酸っぱい匂いがするようになりますが、再発酵していないのにそのような匂いが発生るするということは、あくまで推測ですがもしかしたら既にマットが劣化しているのか、もしくはしかかっているのかもしれません。
マットが劣化している場合は入れている生体にも良くないので早めの交換をする方が良いかとは思います。
雑虫やきのこ、カビが発生する環境は我々人間にとっては不快な環境かもしれませんが、クワガタやカブトムシなどは野外ではそういった場所に多く生息しております。
人間の快適な環境に近づけようとすると、逆にクワガタ達の快適な環境から遠ざけてしまう可能性がありますので適度な環境づくりが重要になってくるかと思われます。
これはあくまでも私:Shiho個人のやり方や、考え方ですので、おむさん本人や他の方の考え方とはまた異なる可能性もございます。
あくまでご参考程度に聞いて頂き、ご賛同頂ければ参考にして頂き、ご無理なようでしたら聞き流して頂けければ幸いです。
宜しくお願い致します。
飼育日記担当:Shiho
Comment by tsukiyono — 2019年8月21日 @ 8:10 AM
丁寧に教えて頂きありがとうございます。
湿度を下げれば大体の問題は解決できそうなんですね!
部屋の温度は26℃で湿度は70%近くまで上がっていたのでまずは部屋の湿度から下げてみます。
産卵セットは湿度やカビが原因で失敗してしまいました。もう一度組むのでバクテリア材を作ってみようと思います!
Comment by おむ — 2019年8月22日 @ 3:55 AM