先日、お客様とお話している時に♂と♀の交尾時期のタイミングについてご質問がありました。

この手の質問は結構よくあります。

以前もこの日記でご紹介しましたが、今回は再度ご紹介してみたいと思います。

 

【交配中のゴロファ・ピサロ】

 

クワガタ、カブトムシを飼育していて、同じ兄弟同士の配合で次世代を作出しようとする際に、♂と♀の交尾可能なタイミングが合わず、繁殖が難しくなってしまったケースが良くあります。

 

♂と♀の羽化のタイミングが同時期に合致しない事、そのことを私達は

 

羽化ズレ(うかずれ)

 

と呼んでいます。

今回はその羽化ズレをいかに少しでも防止するか、あくまでも私:Shihoの個人的な考え方&やり方では御座いますが、その対策方法等をちょっとご紹介してみたいと思います。

※ この内容は過去の日記でもご紹介しております。文章が重複しますことをあらかじめご了承下さいますようお願い申し上げます※

 

 

ブリードもの(養殖もの)においては、同じ環境&エサで飼育した場合、♀が♂よりもかなり早くに羽化してしてしまう場合があります。

特に♂が大型に成長するようなものについてはかなりのズレが生じるようです。(例:オオヒラタクワガタやヘラクレス等)

この場合の対策・・と言ってよいのか分かりませんが、私は以下の方法をとることがあります。

 

①温度差のメリハリをつける事

 

幼虫飼育時、♂♀の判別が出来るようになったら♂と♀の飼育環境の温度設定に差をつけるというやり方です。

 

♂を高めの温度の所に置き、♀を低めの所に置く

 

【具体例】
オオクワガタ♂:25℃管理
オオクワガタ♀:20℃管理

 

幼虫飼育の場合、管理温度の変化をつけることによって、幼虫の成長曲線は多少なりとも変わってくる傾向があります。

この方法を取ると、高温の場所に置いた幼虫は早く成長し、低めの幼虫はじっくりと時間をかけて成長し羽化する傾向があります。

この成長のスピードを利用したのがこの方法です。

 

 

飼育部屋1

※置き方によっては上と下の部分でかなり差が出る場合もある

 

 

※ 温室内でも上の方、ヒーターに近い部分などでは差が出ることも

 

 

しかしこれにはデメリットも存在します。
♂を高温でいち早く羽化を急がせた場合、♂の羽化体長はそこまで伸びません。あくまで繁殖専用の♂を作るという意味合いが強くなるような気がします。

体長よりもまずは次世代へのバトンタッチを優先を考えている方には良いかもしれません。

 

②孵化日の違う♂♀で繁殖を考える

 

早くに孵化した♂幼虫と、遅くに孵化した♀幼虫で羽化までの時間の差を合わせる

 

【具体例】
♂幼虫:1月に孵化~10月に羽化
♀幼虫:4月に孵化~10月に羽化

 

このような感じです。
これは同種であれば別血統(違う親♀)でもよいですが、その場合アウトラインブリードになってしまいます。

血の混濁などを考えると、本来はアウトラインブリードの方が望ましいのですが、同じ親♀(インラインブリード)でやるとすれば、産卵のセット時期をずらし、1回目の産卵セットと2回目の産卵セットの時期をずらすと良いでしょう。

ただ同じ親♀だと寿命もありますので寿命の短いものだと時間をずらした再セット方法は結構厳しい場合がありますので飼育する種類によっては注意が必要です。例を挙げると、パプキン等がそれに当てはまると言えるでしょう。

 

 

③♂♀幼虫を同じ容器内で羽化させる(多頭飼育)

 

 国産カブトムシ幼虫飼育方法

※多頭飼育とは一つのケースで複数の幼虫を育てる事

 

これは昔から言われている方法のひとつですが、幼虫は複数での多頭飼育の場合、近くの幼虫が蛹化の準備を始めると、それに反応して自分も蛹化の準備を始めるという説です。

幼虫同士が同じ容器内で会話とは違う違う信号を出し羽化を合わせているとい説があります。

 

私もこの方法をやってみた事がありますが、正直実際には上手くいくものと、いかないもの、結果的にはバラバラでした。

しかも残念だったのは羽化時期が合った♂はかなり小型ばかりが羽化してしまい、ボリュームのある♂を求めるにはちょっと厳しい結果になりました。

 

上記の結果を見て思ったのは、本当は♂♀幼虫が信号を出して羽化を合わせているのではなく、小型の♂ばかり羽化してしまうから偶然にも♀との羽化時期が合ってしまうのではないかということでした。

この件に関してははっきりとしたことは断言出来ないという事が正直な感想です。

 

如何でしたでしょうか?
今回羽化ズレ対策の具体案として、3つのやり方を書きました。

正直なところ、上記のやり方を実践すれば、絶対うまくいくとは言い切れません。あくまで私が行っているやり方ですので、ご参考程度に聞いていただれば幸いです。

 

また本当ならば同血統、同兄弟同士の交配、いわゆるインラインブリードはあまりお勧め出来ません。

好みの形を子孫にも維持(遺伝)させる為にはインラインブリードはとても有効な手段ですが、近親交配なので血が濃くなってしまうというリスクがあります。

 

同血統同兄弟同士で累代を重ねていくと、どんどん血が濃くなりますので、蛹化不全、羽化不全、産卵数減少などといった障害が次第に多くなってきます。

健康をまず第一に考えるならば異血統、異兄弟同士のアウトラインブリードが無難といえるのではないでしょうか。

ご参考程度に聞いて頂ければ幸いです。

 

※ 今回ご紹介したやり方や考え方はあくまでも私:Shiho個人の見解であって絶対にこうだというわけでは御座いません。やり方は人それぞれですので、あくまでもご参考程度に読んでいただければ幸いです。ご了承下さいませ。

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