パラワンオオヒラタクワガタの飼育【幼虫飼育&産卵方法】【Shiho的見解:2021年度版】
今回はパラワンオオヒラタクワガタの飼育方法をご紹介したいと思います。
【参考画像:パラワンオオヒラタクワガタ♂】
【飼育種】
和名:パラワンオオヒラタクワガタ
学名:Dorcus titanus palawanicus
産地:フィリピン産飼育種】
ヒラタ種の中でも世界最大となるオオヒラタ、パラワンオオヒラタクワガタ。
その大きさは格別で、110㎜を超える個体はド迫力満点です!
野外品での入荷は時折あるものの少ないですが、飼育品での流通は多い種く、飼育も産卵、幼虫飼育共に容易な種です。
それでは私個人のやり方ではございますが、幼虫飼育方法と産卵方法をご紹介してみたいと思います。
★★幼虫飼育★★
【お勧めのエサ】
菌糸、きのこマット
【マット飼育の場合に使用する容器】
♂800~1400程度
【菌糸飼育の場合】
♂1100~1400㏄~1400㏄の3本程度
♀1100~1100(もしくは800でも可)の2本程度
※菌糸ビンの劣化、幼虫の食いによってはもう一本必要とする場合もあります※
【設定管理温度】
20~25℃前後
【羽化までにかかる時間:菌糸の場合】
♂:初令投入して約10~12ヶ月程度
♀:初令投入して約6~8ヶ月程度
※あくまで目安です。♂♀、管理環境(管理温度、飼育するエサ等)、亜種の違いによって個体差があります※
幼虫飼育はとても容易な種だと感じてます。
菌糸(Basicでもelementでも可)でもOK。
マットでも弊社のマットでは、きのこマットでよく育ってくれます。
管理温度は20~25℃程度 で管理。夏場の高温と冬場の極度の低温には注意が必要です。
超大型を作出させるために成長期である3令時には2000㏄以上の容量のある菌糸ビンに投入する方もいらっしゃいます。
では次に産卵セット方法についてご紹介してみたいと思います。
産卵セットはマットのみで産卵させるやり方と、材を入れたセット方法の2パターンがあると考えます。
★★産卵方法★★
<マットのみを使用した産卵方法>
【産卵に使用するお勧めマット】
完熟マット、黒土マット
【産卵に使用するケース】
クリーンケースM~l程度
【産卵管理温度】
25℃前後
【水分量(湿度)】
多からず少なからず
【セット方法】
ケース底面を深さ7割位で固く詰める。
残りの1割程度はフンワリと。
セット方法を画像付きでご紹介します。
産卵セットに使用するケースの準備。
今回はクリーンケースを使用します。
クリーンケース使用の場合は間に新聞紙を挟んでセット完了
セット方法を図示するとこのような感じです。
次に材を使用した産卵セット方法のご紹介です。
<材を使用して産卵セットを組む場合>
【お勧めのマット】
完熟マット、黒土マット
【お勧めの材】
コナラ、クヌギ、レイシ、カワラなど
【お勧めの容器】
クリーンケースM~l程度
【産卵管理温度】
25℃前後
【水分量(湿度)】
多からず少なからず
【セット方法】
ケース底面を固くつめ、材を入れ、その回りも固く詰める。
上部2~3cmほどは柔らかくマットを入れる。
少し材の頭が出るようにセット。
セット方法の具体例をご紹介してみます。
まずは使用する材を用意。
こちらはクヌギ材になります。
少し柔らかめの材がお勧めです。
材の皮は剥かない方もいらっしゃると思います。自然界では当然皮などは剥けていないので、より自然のままのセットをお好みの方はそのままセットするというやり方もありだと思います。
あくまで私のやり方ですが、私は材を水に浸す時、そこまで長い時間はかけません。
目安は水に浸している途中で材を取り出し、実際に持ってみて、重量的に十分に水分が含まれているかどうかをみて判断します。
実際に手に取って水分の染み込み具合を確認します。
これは感覚的なものなので、どれ位とご紹介するのはとても難しいです。
もし敢えて時間的に言うならば、あくまで私のやり方になりますが、早くて5分、長くても10分位といったところでしょうか。
これも私的にはあまり時間はかけません。
元々長く水に浸していませんので、陰干しもごくわずかの時間です。
敢えて時間的に言うならばやはり5~10分程度でしょうか。
次にマットを準備します。
今回は材に産ませるようにセッティングしますので、マットはある程度なんでも可能ですが、幼虫が材から出て来て、こぼれ落ちてしまった場合、マットでも食せるように敢えて発酵マットを使用します。
弊社のマットでのお勧めは、完熟マット、黒土マット。
材を入れます。今回は2本のクヌギ材です。
マット産みの傾向も強い種類では、材の横より下の隙間もマットを固く詰めると良い傾向があります。材に気に入らなればマットにも産んでくれますので・・・。
後は親♀を入れフタをします。
今回はコバエシャッターを使用してみました。
セット方法を図示すると以下の様な感じです。
(※図では2本の材は平行セットになっていますが、Tの字でセットでも構いません。)
産卵セッティングに関しては上記の2パターンのいずれかでセットを組めば大丈夫だと思います。
私は主にマットのみの産卵で行っていましたが、材を入れてのセットも有効です。
♀によは個体差があり、はマット産みを好む個体、材産みを好む個体がいるようです。
材を入れて産卵させる場合、材は柔らかめの材を使用する事をお勧めします。
特別難しい種ではないと感じています。
皆さんも是非飼育に挑戦してみては如何でしょうか?(^^)
※ この日記で紹介したやり方や考え方はあくまで私:Shiho個人の考え方によるもので、それを押し付けるものではございません。あくまでご参考程度にご覧頂ければ幸いです ※
※ この飼育日記では過去にも同じ種類について飼育方法をご紹介しておりますが、過去で取り上げたデータと新しく公開したデータとでは、エサの種類、管理温度、羽化までにかかる日数などに差異が見られる場合がございます。
これは飼育をやりながら、私個人のやり方や考え方が変化しているということですので、今現時点での私のやり方や考え方を参考にして頂くならば、一番最新の日付のデータをご参考にして頂けますと幸いです。ご了承下さいませ m(_ _)m ※
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2021年1月7日
カテゴリー
使用したアイテム
Basicシリーズ(菌糸ビン・菌床ブロック), Basicプロテインゼリー(昆虫ゼリー), きのこMat(昆虫マット・発酵マット), 完熟Mat(昆虫マット・発酵マット), 産卵木, 飼育ケース, 黒土マット(昆虫マット・発酵マット)
産卵セットに使用するマットは、きのこマットでも良いでしょうか?
Comment by Totti — 2021年5月15日 @ 9:35 AM
Totti さん
レスありがとうございます。
あくまで私個人のやり方&考え方ですが、パラワンオオヒラタの場合ならきのこマットでも産卵は可能です。
ただ、より多く産卵数を得たい場合や、♀が好みやすいマットとしては、より熟度の高い完熟マットや黒土マットの方が産卵数が多い傾向が見受けられました。
やり方はひとそれぞれですのでご参考程度にして頂ければ幸いです。
飼育日記担当:Shiho
Comment by tsukiyono — 2021年5月18日 @ 8:34 AM
パラワンオオヒラタの蛹化に関してです。
オスの幼虫で昨年2月購入。5月に蛹室を作り前蛹で約半月。
900ccの菌糸ボトルに終令後期でくぬぎマットに交換。
巨大な幼虫というのはわかりましたが、そのボトルに作った蛹室が定規で12cmくらいの長さ。
ほぼ端から端まで作った感じです。この大きさの場合、足りるのか足りないのかわかりません。人工蛹室を作って移した方がいいのかアドバイスお願いします。
Comment by やまたか — 2021年5月18日 @ 4:33 PM
やまたかさん
レスありがとうございます。
蛹の両端がボトル側面で切れていなければ、そのままでも大丈夫ではないかと思いますが、どうしても心配ならば人工蛹室に移した方が無難かもしれません。
あくまで私個人の考え方ですのでご参考程度にして頂ければ幸いです。
飼育日記担当:Shiho
Comment by tsukiyono — 2021年5月21日 @ 1:13 AM
アドバイスありがとうございます。
端から端まで一杯一杯で切れてる感じもあり、蛹の大きさを外から見る限り大丈夫かなぁと思えたり。
微妙な感じです。
大アゴを伸ばしてお尻が縮むこと考えればセーフと見えるし。
もう少し大きな菌糸ボトルに入れておけば良かったと後悔します。
でも、久しぶりに大型が見れそうで楽しみです。
Comment by やまたか — 2021年5月24日 @ 3:10 PM
先日、ある動画のヒラタの産卵を暴くというものを見てました。
その中に某のクワガタはメスばかり、またはオスばかりという意見があると話されてて、それの回答は23度前後は雌雄半々。温度が高くなればメスばかり。
細胞分裂中に雌雄分かれるから。と断言されてました。
実際はどうなんだろ?と考えます。
23度前後がキーワードなら、産みわけが出きるのかな?と。
ただ、やはり人の領域でなく神の領域でもあり、本当に産み分け出来るのか疑問でもあります。
虫を飼育してるだけの私には全くわかりません。
シホさんはどう思われますか?
本当なら世界で発表されるほどの話かと思います。
Comment by やまたか — 2021年5月30日 @ 11:35 AM
やまたか さん
レスありがとうございます。
ほぉ~、それは凄いお話ですね。
確かにその論理で意図的に産み分けが出来れば、ブリード計画も立てやすくなりますので画期的だと思います。
まだまだこのクワカブ業界も未知な部分も多いので、そういったことが少しづつでも解明されていければとても面白いですね。貴重なお話ありがとうございました。
飼育日記担当:Shiho
Comment by tsukiyono — 2021年5月31日 @ 3:51 AM
こんにちは。
先日、パラワンの羽化がありました。
まだ赤みのある状態です。
見える限りでは羽根パカでかなり酷いように思えます。ずんぐりした菌糸ボトル900が小さかったのか、蛹室は全体の半分の大きさで作られており、ボトルが狭かったのでしょうか?
また、程度にも依るでしょうが、見た目10cm超える様な大きさで開いてるところが1cm近いです。それだと活動できてもペアリングは難しいでしょうか?ペアリング可能なメスが待っており残念です。人工部屋に移すべきだったと後悔してます。羽化不全で星になると更に生き物に対し申し訳ない気持ちです。
早くペアリングしてオスが星になる前に、と考えると、9月、10月辺りが狙い目でしょうか?
最後に大きなものほど不全のリスクがあるのでしょうか?
アドバイスよろしくお願いします。
Comment by やまたか — 2021年6月22日 @ 3:56 PM
やまたかさん
レスありがとうございます。
羽化日がつい先日(6月中~下旬程度)ということならば、後食開始するのに早くても1ヵ月半~2か月程度になると考えます。
そうなると、その時点で早くても8月初~中旬ですので、そこから熟成期間を考えることになると思います。
あくまで私のやり方&考え方ですが、私だとパラワンオオヒラタでしたら、後食開始してから約3~4か月は期間をおきますので、私のやり方だと、早くても11月初旬位になってしまうと考えます。
私はじっくり派で、確実に熟成を待ってから交配させる派ですので試したことはありませんが、人によっては後食を開始したら、すぐにでも交配させるという方もいらっしゃいます。
大きなものの羽化不全・・・確かにギネスクラスになると羽化不全が多くなる傾向は強くなってくると考えます。
あくまで私個人のやり方&考え方ですので、ご参考程度にして頂ければ幸いです。
飼育日記担当:Shiho
Comment by tsukiyono — 2021年6月23日 @ 8:22 AM