毎年この季節になると、子供さんや、初心者の皆様より以下のような質問をよくお聞きします。

 

クワガタムシが全然動かなくなりました。死んでしまったのでしょうか?

 

なるほど、確かにこの手の質問はよくあります。
確かに大切に飼育していたクワガタムシが突然動かなくなったら、それは心配ですよね。

しかしその動かなくなったクワガタムシは本当に死んでしまったのでしょうか?中には本当に死んでしまった個体もあるでしょうが、ちょっとお待ち下さい。土に還してやる前にもう一度よく調べてみましょう。

 

実はクワガタムシの習性の一つとして「疑死」、いわゆる「死んだふり」というものがあります。実際死んだふりをしているクワガタの画像がありますのでご紹介したいと思います。

 

※画像をクリックすると拡大して鮮明に見られます※

 

【国産オオクワガタ♂の死んだふり】

オオクワ♂表裏死んだふり

上記画像は「国産オオクワガタの♂」です。
手足をしっかりと折りたたみ小さくまとまっています。

 

 

【本土ヒラタクワガタ♀の死んだふり】

上記画像は「本土ヒラタクワガタの♀」です。
こちらも手足全て引っ込ませ、触覚まで折りたたんでいます。

 

いかがでしょうか?皆様がおっしゃっていた「動かない、死んでしまった」の意見は上記画像のような個体を言っているのではないでしょうか?

 

だとしたら答えは「ノー」です。

 

これは立派なクワガタムシの防衛反応で、この様な姿勢を取っているのは逆に元気の証とも言えます。

 

野外でのクワガタムシの天敵には様々なものがあります。代表例として鳥(カラスなど)が挙げられます。鳥は枝に乗り移りクワガタムシを捕まえ捕食します。

この時クワガタムシ達は鳥がとまった枝の振動を感知して、すぐに手足を引っ込めて丸まり地面にわざと落下します。そうして落下した後は丸まった状態でしばらく死んだふりをして動かず、敵からの発見を遅らせます。

人間がクワガタ採集をする時に樹を蹴ってすぐに落ちてくるのは、「振動を感じたら敵から身を守るために落下しする。そして落下後は動かずじっとやり過ごす」そういった防衛本能があるからだと言われています。

なるほど、すごいですよね。そう聞くとなるほどと思ってしまいます。

 

それゆえ、飼育下で人間がクワガタムシを触ろうとすると、「敵が来た」と思いこみ手足を引っ込めて、あたかも死んだように見せかけてしまう事が多いのです。

死んだふりをする個体は実はとても元気で警戒心が強いクワガタムシだと言えるでしょう。

ショップさんで購入する時にもこういった「死んだふり」をする個体を目安に選ぶと間違いは少ないと思います。

 

 

でも動かくなった虫の全てが本当に「死んだふり」をしているのでしょうか?

中には違って本当に死んでいる個体もいるかもしれません。
そういった時にはいくつかチェックしてみてもらいたい事があります。
画像&映像がありますのでご参考にして頂ければ幸いです。

 

★★アゴの間に何かを挟ませる★★


文字通りアゴに何か挟ませてやります。
♀ならばつまようじとか、♂ならばティッシュを丸めたものとかです。生きていれば抵抗しようと力強く挟んできます。死んでいれば勿論反応はありません。

 


①顎にそっとつまようじを近づけます。

 


②瞬間的に挟みました。

 


③元気な個体はこんなにしても放しません。

 


⑤あまりの強さにつまようじを折ってしまいました。

 

短時間ですが、動画での様子も撮影しました。参考にしてみて下さい。

※ヒラタクワガタ♀のアゴ部分にご注目下さいませ。

 

 

★★触覚を触ってみる★★


触覚を指でそっと触ってみましょう。
生きていればすぐに反応し触覚を動かします。動く速度が速いほど元気な証拠です。死んでいれば勿論反応はしません。


触覚にそっと触れてみる。元気ならばすぐに触覚を引っ込めます。

短時間ですが、動画での様子も撮影しました。参考にしてみて下さい。

※ヒラタクワガタ♀の右の触覚にご注目下さいませ。一瞬の出来事ですのでよく注意してご覧下さいませ。

 

 

★★頭と胴体の首の部分を少し動かしてみる★★


生きている虫ならば力強く首はあまり動かいものですが、死んだ虫は首の部分がグラグラしていて力がありません。弱ってきている場合も力強さが無くなってきます。

 


元気な個体ならばこのように頭と背中の間はしっかりと隙間なく固まっています。

 

 


こちらは死んでいる個体。頭と胴体の隙間が多く、グラグラしています。

 

 

★★手足が伸びきっていているかチェックする★★


死んでしまった虫は手足が伸びきった状態になっている事が多いです。触ったり、引っ張ったりしても元に戻ろうとしない(反射がない)場合は、おそらく死んでいる確率が高いでしょう。


死んでいるヒラタクワガタ♀。
足が伸びきっていて、引っ張っても戻りません。
また補足ですが、死んでいるとよく口髭が出たままにもなることが多いです。

 

 

上記のポイントをチェックして見て全て当てはまるようでしたら、残念ですがその虫は死亡していると言えます。全てではないけど、何点かが当てはまる場合は、完全に死んではないですが、弱ってきていると言えるでしょう。

 

如何でしたでしょうか?上記が私流ではありますが、私が虫が死んだとき&弱ってきているかどうかを判断する時によくチェックする項目です。勿論他にも判断する基準となるものが存在すると思います。あくまでご参考程度に見て頂ければ幸いです。

 

皆さんも「クワガタムシが死んでしまった、土に還してあげよう」と思う前に、是非一度きちんとチェックしてみませんか?(^^)

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