ヒラタクワガタの産卵:夏に採集したヒラタクワガタを産卵させてみよう 【2021年度版】
「夏に採集したクワガタを産卵させてみようシリーズ」、今回は「ヒラタクワガタ」の産卵セット方法をご紹介してみたいと思います。
※この記事は昨年もほぼ同じ内容で掲載させて頂いております。今年より産卵を初めてする方も多くいらっしゃいますので改めて掲載させて頂きました。記事内容&画像が重複しますことをご了承下さいませ※
※ヒラタクワガタには沢山の亜種:ツシマヒラタやスジブトヒラタ等:がありますが、産卵方法に関しましては全て今回ご紹介するセット方法で産卵が可能です※
【飼育種】
和名:ヒラタクワガタ
学名:Dorcus titanus
ヒラタクワガタの場合、2つのセット方法があります。
①マットのみで産卵セットを行う方法
②材を使用して産卵セットを行う方法
です。
産卵セッティングは人それぞれお好みがあるのでしょうから、両方のやり方をご紹介したいと思います。
<産卵セット時の方法>
※野外品の♀を利用した産卵セットのご紹介になります※
★マットのみで産卵セットを行う場合★
【累代】
天然ものWD♀を使用
【お勧めのマット】
完熟マット
【お勧めの容器】
クリーンケースM~L程度
【水分量】
手で握って土団子が出来て、なおかつ水が染み出ない程度
【マットの詰め方】
ケース底面7割程度固く詰めて上部3cmはフンワリと。
【設定温度】
25~27℃前後
<セット手順>
まずは産卵セットに使用するケースを準備。
今回はクリーンケースを使用します。
マットを大きなケースに出します。
お勧めは完熟マット。
ケース底面を固めていきます。
固く詰めたマットの上にフンワリとマットを敷きます。
転倒防止のハスクチップを入れます。
ゼリーを入れます。
親となる♀(下記はヒラタクワガタ♀参考画像)を入れます。
クリーンケース使用の場合は間に新聞紙を挟んでセット完了
セット方法を図示するとこのような感じです。
★材を使用して産卵セットを組む場合★
【お勧めのマット】
完熟マット
【お勧めの材】
コナラ、クヌギ、レイシ、カワラなど
【お勧めの容器】
クリーンケースM~L
【産卵管理温度】
25~27℃前後
【水分量(湿度)】
多からず少なからず
<セット方法>
ケース底面を固くつめ、材を入れ、その回りも固く詰める。上部2~3cmほどは柔らかくマットを入れる。少し材の頭が出るようにセット。
まずは使用する材を用意。こちらはクヌギ材になります。
次に材の皮を剥きます。
材の皮は剥かない方もいらっしゃると思います。自然界では当然皮などは剥けていないので、より自然のままのセットをお好みの方はそのままセットするというやり方もありだと思います。
材を水に浸します。
あくまで私のやり方ですが、私は材を水に浸す時、そこまで長い時間はかけません。目安は水に浸している途中で材を取り出し、実際に持ってみて、重量的に十分に水分が含まれているかどうかをみて判断します。
実際に手に取って水分の染み込み具合を確認します。これは感覚的なものなので、どれ位とご紹介するのはとても難しいです。もし敢えて時間的に言うならば、早くて5分、長くても10分位といったところでしょうか。
水から出した材を縦に置き、陰干しします。
これも私的にはあまり時間はかけません。元々長く水に浸していませんので、陰干しもごくわずかの時間です。敢えて時間的に言うならばやはり5~10分程度でしょうか。
次にマットを準備します。
今回は材に産ませるようにセッティングしますので、マットはある程度なんでも可能ですが、幼虫が材から出て来て、こぼれ落ちてしまった場合、マットでも食せるように敢えて発酵マットを使用します。
お勧めは完熟マットです。
材を入れます。今回は2本のクヌギ材です。
材の周りをマットで埋め込みます。
上から見た画像
マット産みの傾向も強い種類では、材の横より下の隙間もマットを固く詰めると良い傾向があります。材に気に入らなればマットにも産んでくれますので・・・。
後は上に転倒防止のハスクチップを敷きます。
ゼリーを入れます。
後は親♀を入れフタをします。
セット方法を図示すると以下の様な感じです。(※図では2本の材は平行セットになっていますが、Tの字でセットでも構いません。)
産卵セッティングに関しては上記の2パターンの内のいずれかでセットを組めば大丈夫だと思います。
私の場合は主にマットのみの産卵で行っていました。ただ他の人に聞いてみると材を入れた方が良いという方もいらっしゃいました。その場合、材は柔らかめの材を使用する事をお勧めします。
次に産卵セットを組んだ後、今度はいつその幼虫の割り出し作業を行ったら良いのかについてご紹介してみたいと思います。
<割り出し、幼虫取り出しの時期>
基本的にはケース側面や底面に幼虫が見え始めてからになります。卵や幼虫が1~2頭見え始めたからといってで早期に割り出してしまうと、まだ産む気がある♀の産卵活動を一旦ストップさせてしまうことがあるのであまり好ましくありません。
側面から見た様子(※マットのみ産卵の場合)
底面から見た様子(※マットのみ産卵の場合)
上記画像は「マットのみの産卵」で産まれた幼虫達の画像ですが、上の数位見えてきたら、大成功!もう十分割り出しても大丈夫です。
あくまで私の場合になりますが、「マットのみの産卵セット」の場合、大体産卵セット開始して、約1ヶ月半~2ヶ月程度を目安に割り出すようにしています。
「材を使用したセットで産卵セットを組んだ場合」は、ケース側面などに幼虫が見えていれば、それを目安にすれば良いのですが、材に産卵していた場合は材に入り込んでしまっているので外側からは幼虫が確認出来ません。
その場合は2ヶ月ほどして一度材を掘り起こしてみて下さい。材に産卵の形跡があればそのまま割り出しを行ってもよいと思います。
ただし飼育ケース内の環境が急激に悪化したり、ケース側面や底面にまったく卵や幼虫が見られなかったり、♀が全く潜る気配を見せずマット上面を徘徊ばかりしている時は話は別になります。
今回は野外ものの♀はほぼ交尾が終了していると言っても過言ではないので、♀の持ち腹を期待して、そのまま♀のみを産卵セットに入れるやり方をご紹介しました。
しかし、♀がなかなかマットに潜る行動をしなかったり、何回かセットしても全く産まない場合は、♂がいるならば再交尾をさせた方が良い場合もあると思います。そのあたりは状況を見て臨機応変に対応してあげて下さいませ。
下の画像は過去に行ったヒラタクワガタ産卵セット割り出し風景です。
いかがでしたでしょうか?上記が私のヒラタクワガタの産卵セットの組み方です。ちなみに先日ご紹介したヒラタクワガタ産卵セット(途中経過)のセット方法は「マットのみ産卵」の方で行いました。
ヒラタクワガタの産卵セット時の管理温度は可能ならば25~27℃前後程度が望ましいので、少し気温が低くなってくる場合は温度対策などをして調整してあげて下さいませ。是非一度産卵セットを組み、幼虫飼育を挑戦してみて下さいませ。(^^)
※この方法はあくまでも私:Shihoの産卵セットの組み方です。やり方は人それぞれですので、あくまでご参考程度にご覧頂けますと幸いです。m〈_ _)m※
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2021年8月4日
カテゴリー
使用したアイテム
Basicプロテインゼリー(昆虫ゼリー), きのこMat(昆虫マット・発酵マット), 完熟Mat(昆虫マット・発酵マット), 産卵木, 飼育ケース, 黒土マット(昆虫マット・発酵マット)
6月に採集したヒラタクワガタのメスは持腹の可能性ありますか?
Comment by シメジ — 2021年8月5日 @ 2:54 PM
シメジさん
レスありがとうございます。
あくまで私個人の考え方ではありますが、野外採集した個体は既に持ち腹の可能性は高いと思います。どうしても確実性を増したいのであれば、追いがけするのもアリだと思います。
ご参考程度にして頂ければ幸いです。
飼育日記担当:Shiho
Comment by tsukiyono — 2021年8月6日 @ 12:19 PM
毎年地元産のヒラタをブリードしてます。
月夜野さんのE-Blockを使わせて頂いていますが、少し気になった事があります。
ヒラタやノコギリ等の根食い系のクワガタ用に菌糸を使う場合、ボトルへの詰め替えの際に加水した方が良いのでしょうか?
マット飼育は水分多めが良いと聞いたので…
何かアドバイスがあれば宜しくお願いします。
Comment by S.I — 2021年8月6日 @ 9:19 PM
昨日、栃木県某所にてオオクワガタ♂をゲットしました。クヌギの穴の深くに逃げてしまったので、棒等を使って採取しましたが、体を傷だらけにしてしまいましたしかも少し羽が開いてしまって……捕まえたのは良いのですが、下手くそ過ぎました…とりあえず個体は元気なのですが…採取歴19年、初めて♂を取りました。メスは1度取ったのですが。
62mmの大歯でした。綺麗なまま取ったのたら大喜びですが、喜んでいいのやら、悪いのやら複雑です…
Comment by てつ — 2021年8月8日 @ 8:53 AM
S.I さん
レスありがとうございます。
確かに根食い系などの種については、柔らかめ(水分量が多少多めめ)の方が向いているとの考え方もあります。
昔は弊社でもヒラタなど向けに水分量の多い380菌床というものを販売していたこともあるのですが、今現在は生産はしておりません。
今現在ある弊社の菌床の中では、ヒラタ系に合うのはE-Blockだと私個人的にはそう思っております。
加水すると、柔らかくなる部分もあるかもしれませんが、加水後の再発酵、オガの劣化スピード等々・・のマイナス面も出て来ると考えてしまいますので、私が使用する場合には加水は行っておりません。
あまりお役に立たない回答で恐縮ですが、私はE-Blockについては、水分追加は試したことがないので何とも言えないのが正直なところです。
ただ使い方や考え方は人それぞれですので、私の考え方も当てはまらないこともあるかと思います。もしかしたら良い結果が出るかもしれないですからね。。
あくまで私個人の考え方ですのでご参考程度にして頂ければ幸いです。
飼育日記担当:Shiho
Comment by tsukiyono — 2021年8月10日 @ 8:33 AM
てつさん
レスありがとうございます。
オオクワガタGETおめでとうございます。
なかなか採集の難しいオオクワガタですから、その喜びようは凄く分かります。
私も最初に採集したオオクワガタの採集時の光景は今でも忘れられません。
オオクワガタってほんと特別ですよね^^
この度はおめでとうございました!
飼育日記担当:Shiho
Comment by tsukiyono — 2021年8月10日 @ 8:44 AM