日本のクワガタムシ♀の特徴(見分け方) 【Shiho的見解:2022年度版】
日本には色んな種類のクワガタが生息しております。
それぞれのクワガタムシ達は種類ごとに環境なり、時間帯なりと、比較的争いが起こらないように棲み分けや時間分けをしているのですが、時には同時に同じフィールド上に現れたりします。
クワガタの♂ならばどの種類なのかは外見上で大体は判断出来ますが、♀を捕まえた場合どうでしょう?
ミヤマクワガタやアカアシクワガタなどのように、はっきりと特徴が表れている種類ならば分かりやすいのですが、黒系のヒラタクワガタ、コクワガタ、スジクワガタなどはどれも似ているように見え、慣れていないと何の種類なのかよく分からない事が多いと聞きます。
今回はクワガタムシの♀の種類のおおよその見分け方、さらに採れる場所、有効な採集方法なども合わせてご紹介してみたいと思います。
※この見分け方はあくまで私、Shiho個人が行っている見分け方ですので、ご参考程度に見て頂ければ幸いです。
※サイズはあくまで目安。
野外ものサイズを基本としています。
※画像をクリックすると拡大して鮮明に見られます※
【国産オオクワガタ】
【体の特徴】
体は平べったく、楕円形。色は黒。光沢が強いです。背中にははっきりとした縦筋の線が数多くある。
【採れる場所】
クヌギやニレなどのウロ(穴)や樹皮裏などに潜む。
灯火採集も可能。多産地ならば灯火採集でもたまに見かける。
【有効な採集方法】
樹のウロ(穴)や樹皮裏などを見て、曲がった針金などで引っ張り出す方法。
樹を蹴って落とす方法。
灯火採集方法。
【活動期間】
4月下旬~10月下旬
【採れる時間帯】
基本的には夜活動を活発にする。
薄暗い所ならば場所によっては昼間も行動する場合あり。
【本土ヒラタクワガタ】
【体の特徴】
体は平べったく、楕円形。色は黒。光沢が強いです。
背中には薄い縦筋が見える。
足の頸節(けいせつ)の部分がわずかに曲がり気味で、前に向かって幅広になる。(※画像の赤い丸の部分)
【採れる場所】
クヌギやニレなどのウロ(穴)や樹皮裏などに潜む。
灯火採集でも可能。
【有効な採集方法】
樹のウロ(穴)や樹皮裏などを見て、曲がった針金などで引っ張り出す方法。
樹を蹴って落とす方法。
灯火採集方法。
【活動期間】
5月上旬~10月上旬
ベストシーズンは6月上旬~7月下旬
【採れる時間帯】
基本的には夜活動を活発にする。
薄暗い所ならば場所によっては昼間も行動する場合あり。
【本土コクワガタ】
【体の特徴】
体は平べったく、少し細長い楕円形。色は黒。
背中は基本的にはツヤ消し気味だが、真ん中の羽が合わさる部分は光沢が強い。背中には薄い縦筋が見える
足の頸節(けいせつ)の部分が真っ直ぐ直線的になっている。(※画像の赤い丸の部分)
ヒラタクワガタやスジクワガタとはここで見分けると容易。
【採れる場所】
クヌギやニレなどのウロ(穴)や樹皮裏、樹の上などに潜む。灯火採集も可能。
【有効な採集方法】
樹のウロ(穴)や樹皮裏などを見て、曲がった針金などで引っ張り出す方法。
樹を蹴って落とす方法。
灯火採集方法。
【活動期間】
4月下旬~10月下旬
【採れる時間帯】
基本的には夜活動を活発にする。
昼間でも比較的活発に行動する場合あり。
【スジクワガタ】
【体長】
15~25mm
【体の特徴】
体は平べったく、縦長の楕円形。色は黒。
背中には比較的濃い縦筋が見える。
足の頸節(けいせつ)の部分がわずかに曲がり気味で、前に向かって幅広になる。(※画像の赤い丸の部分)
【採れる場所】
クヌギやニレなどのウロ(穴)や樹皮裏などに潜む。
ボクトウガなどが入り込んだ樹皮裏などでよく見かける。
【有効な採集方法】
樹のウロ(穴)や樹皮裏などを見て、曲がった針金などで引っ張り出す方法。
【活動期間】
4月下旬~10月下旬
【採れる時間帯】
基本的には夜活動を活発にする。
薄暗い所ならば場所によっては昼間も行動する場合あり。
【本土ネブトクワガタ】
【体長】
15~18mm
【体の特徴】
アゴが独特の形をしている。
体は平べったく楕円形。
お尻の、色は黒。ツヤ消しの背中に光沢のあるはっきりとした縦筋が見える。
【採れる場所】
クヌギやニレなどの小さなウロ(穴)や樹皮裏などに潜む。ドロドロに樹液の出た樹液だまりに潜む傾向がある。なかなか♀の採集は少ない。
【有効な採集方法】
樹の小さなウロ(穴)や樹皮裏などを見て、曲がった針金などで引っ張り出す方法。
【活動期間】
4月下旬~9月下旬
【採れる時間帯】
基本的には夜活動を活発にする。
薄暗い所、樹液だまりなどのならば場所によっては昼間も行動する場合あり。
【アカアシクワガタ】
【体の特徴】
最大の特徴は裏側にした時の足の根元&腹部中心付近が赤い所。背中は光沢があり、ツルツルしている。
【採れる場所】
比較的標高の高い所に見られる。
クヌギやナラ、ヤナギなどの樹の枝状にくっついて、♂と交尾活動をしているか、もしくは樹液を食している。
灯火によく飛んでくる。
【有効な採集方法】
樹の枝回りなどをじっくりと見て網などで捕獲する方法。
樹を蹴って落とす方法。
灯火採集方法。
【活動期間】
5月下旬~9月下旬
【採れる時間帯】
夜間に多く見られるが、場所によっては昼間でも見かける場合あり。
【本土ノコギリクワガタ】
【体の特徴】
体格的にラグビーボールみたいに体高がある。
色的には真っ赤~茶色~黒と色彩変化がある。
背中はツヤ消し。
【採れる場所】
標高の低い場所~比較的標高の高い所でも見られる。
クヌギやニレ、ナラ、ヤナギなどの樹の枝状にくっついて、♂と交尾活動をしているか、もしくは樹液を食している。
灯火によく集まり、灯火採集は有効な手段。
【有効な採集方法】
樹の枝回りなどをじっくりと見て網などで捕獲する方法。
樹を蹴って落とす方法。
灯火採集方法。
【活動期間】
5月下旬~9月下旬
ベストシーズンは6月上旬~7月中旬。
【採れる時間帯】
朝方~昼間にかけて活発に活動するが、夜でも見られる。
【ミヤマクワガタ】
【体の特徴】
顎が独特な形をしている。
背中は茶色で光沢がある。
裏側にした時に足の付け根部分が黄土色をしている。
【採れる場所】
比較的標高の高い所で見られる。
クヌギやニレ、ナラ、ヤナギなどの樹の枝状にくっついて、♂と交尾活動をしているか、もしくは樹液を食している。
灯火によく集まり、灯火採集は有効な手段。
【有効な採集方法】
樹の枝回りなどをじっくりと見て網などで捕獲する方法。
樹を蹴って落とす方法。
灯火採集方法。
【活動期間】
5月下旬~10月上旬
ベストシーズンは6月上旬~7月中旬。
【採れる時間帯】
朝方~昼間にかけて活発に活動するが、夜でも見られる。
【ヒメオオクワガタ】
【体の特徴】
背中の両外側部分(前胸背板)が大きく内にくびれている。
手足が長い
※コクワガタに似ているが、上記の特徴より区別可能
【採れる場所】
1000~1500mクラスの標高の高いブナ帯に見られ、ブナやヤナギの木の枝状にくっついて木をかじり、そこから出る樹液を食している。
夜の灯火に飛んでくる場合もある。
【有効な採集方法】
樹の枝回りなどをじっくりと見て網などで捕獲する方法。
樹を蹴って落とす方法。
灯火採集方法も有効だが数はあまり多くはない。
【活動期間】
6~10月、活動が活発なのは8~9月
【採れる時間帯】
昼間に多く見られるので、昼間の採集が有効的。
夜間でも灯火などに集まるので活動していなくはないが、数は少ない。
【マダラクワガタ】
【体長】
4~6mm
【体の特徴】
全体的に卵型で、体高がある。
♀は♂のようにアゴが目立たない。
体色は黄土色~黒褐色系。
背中には金色の毛が生えている。
【採れる場所】
500~1500mクラスの標高の高いブナ帯に見られる。
成虫&幼虫共に赤枯れした朽木の中、もしくは周辺で生活している。
コナラ、ミズナラ、ブナ、アセビ、カツラなどの赤枯れした朽木より斧などによる材採集により採集出来る。
朽木の上を成虫が徘徊することもあるらしいが、とても小さく、保護色などにより見えにくいのでルッキングで成虫採集することは難しい。
【有効な採集方法】
コナラ、ミズナラ、ブナ、アセビ、カツラなどの赤枯れした朽木からの材採集がメインとなる。
【活動期間】
幼虫で1~2年を過ごし羽化した後、そのまま蛹室内で越冬する。
4月位から活動を開始する。朽木の外にはあまり出ず、朽木内で繁殖~羽化を繰り返すことも多い。
【採れる時間帯】
基本的に材採集なので、時間帯は問わないが、昼間が普通。
以上が、夏前~秋にフィールドで見かけるクワガタムシ♀10種の見分け方の特徴です。
皆それぞれ何かしらの特徴がありますよね。
じっくりと見るととても面白いです。
ピカピカの個体ならば、特徴もはっきりと見えることが出来ます。しかしたまに凄く擦れた♀個体を見ることがあります。
こんな個体です。
これ何の♀だと思いますか?
普通はまず背中の光沢や縦筋などを見て判断するのですが、この♀は背中も擦れきっていて光沢や縦筋などの特徴が見えません。
通常、ヒラタ、コクワ、スジクワのどれかと考えます。体長が32mmあったので、スジクワの可能性は消します。
体のラインも少し丸みを帯びていますしね。。。
となるとヒラタかコクワのどちらかになります。
この画像からはちょっと見えないのですが、上記で説明した頸節の部分がわずかに曲がり先に向かって帯広になっていました。
その特徴からいうとおそらくヒラタクワガタの♀でしょう。
他には採集した場所などによってもおおよそ判断出来る場合もあります。
こうやって消去法で判断していくと意外と分かりやすいものです。
※この見分け方はあくまで私が見て判断する時に基準としているもので、勿論その他にも違う特徴などがあるかと思います。あくまで私Shihoの個人的見解ですので、参考程度に見て頂ければ幸いです。m(_ _)m
4 Comments »
RSS feed for comments on this post. TrackBack URL
Leave a comment
2022年8月16日
カテゴリー
- Shiho的見解
- コクワガタ
- ネブトクワガタ
- 予備知識
- 国産アカアシクワガタ
- 国産オオクワガタ
- 国産カブトムシ
- 国産ノコギリクワガタ
- 国産ヒメオオクワガタ
- 国産ミヤマクワガタ
- 本土ヒラタ
- 野外採集
- 野外散策
- 2022年(年度別)
コメント失礼します。
国産カブト、3令幼虫が死んで、その死因がわからず、質問です。
マットは産卵セットと同種を継続使用、マットの水分量や再発酵など問題無し、多頭飼育で この1匹だけ上がってきて死んだ、死んだ幼虫は健康的な色、死にゆくにつれてブヨブヨに。。
という状態だったのですが、原因は何でしょうか?
今まで、こういうことがなかったので、要因不明です、、
Comment by まぼさん — 2022年8月23日 @ 1:14 PM
まぼさん様
レスありがとうございます。
まずお聞きしたいのは、弊社のマットにはきのこマット、完熟マット、黒土マットがあります。
どのマットを使用されていたのでしょうか?
また温度管理の有無、管理しているのであれば常時どれ位の温度だったかというのも教えて頂ければ参考になります。
飼育日記担当:Shiho
Comment by tsukiyono — 2022年8月24日 @ 5:04 AM
お世話になっております。
返信ありがとうございます。
マットに関しては、他社メーカーで初使用の完熟マットになります。
このマットへの加水は無し、カブトとの相性が 凄い量の幼虫が採れたくらい、良かったみたいです。
温度管理に関しては、自分が在宅中のみ クーラーが効いてる状態です。
クーラー無しの室温としても、高温にはならないといった感じです。
よろしくお願いいたします。
Comment by まぼさん — 2022年8月28日 @ 3:27 PM
まぼさん様
レスありがとうございます。
他社様のマットですと、実際使用したことがありませんので、エサ(マット)に関しては何とも言えないのが正直な所です。
あくまで私個人の考えですが、幼虫が上に上がってくる場合、私の場合まずは酸欠を疑います。
酸欠になった幼虫は身体に弾力が無く、指で押すとブヨブヨしています。傷等もありません。
酸欠の原因は通気の問題、高温多湿、等が考えられます。
ただ酸欠だと他の幼虫にも影響が出て来ると思いますので、もしかするとその幼虫だけ既に弱っていた可能性もあるかもしれません。それゆえに少々の酸素不足にも耐えられなかったのではないかと・・・。
あくまで推測で私個人の考え方ですのでご参考程度にして頂ければ幸いです。
飼育日記担当:Shiho
Comment by tsukiyono — 2022年8月29日 @ 8:13 AM