ヒラタクワガタの産卵:夏に採集したヒラタクワガタを産卵させてみよう 【2019年度版】
【夏に採集したクワガタを産卵させてみよう】
今回は「ヒラタクワガタ」の産卵セット方法をご紹介してみたいと思います。
※この記事は昨年もほぼ同じ内容で掲載させて頂いております。今年より産卵を初めてする方も多くいらっしゃいますので改めて掲載させて頂きました。記事内容&画像が重複しますことをご了承下さいませ※
※ヒラタクワガタには沢山の亜種:ツシマヒラタやスジブトヒラタ等:がありますが、産卵方法に関しましては全て今回ご紹介するセット方法で産卵が可能です※
【飼育種】
和名:ヒラタクワガタ
学名:Dorcus titanus
ヒラタクワガタの場合、2つのセット方法があります。
①マットのみで産卵セットを行う方法
②材を使用して産卵セットを行う方法
です。
産卵セッティングは人それぞれお好みがあるのでしょうから、両方のやり方をご紹介したいと思います。
<産卵セット時の方法>
※野外品の♀を利用した産卵セットのご紹介になります※
★マットのみで産卵セットを行う場合★
【累代】
天然ものWD♀を使用
【お勧めのマット】
完熟マット
【お勧めの容器】
クリーンケースM~L程度
【水分量】
手で握って土団子が出来て、なおかつ水が染み出ない程度
【マットの詰め方】
ケース底面7割程度固く詰めて上部3cmはフンワリと。
【設定温度】
25~27℃前後
<セット手順>
まずは産卵セットに使用するケースを準備。
今回はクリーンケースを使用します。
マットを大きなケースに出します。
お勧めは完熟マット。
ケース底面を固めていきます。
固く詰めたマットの上にフンワリとマットを敷きます。
転倒防止のハスクチップを入れます。
ゼリーを入れます。
親となる♀(下記はヒラタクワガタ♀参考画像)を入れます。
クリーンケース使用の場合は間に新聞紙を挟んでセット完了
セット方法を図示するとこのような感じです。
★材を使用して産卵セットを組む場合★
【お勧めのマット】
完熟マット
【お勧めの材】
コナラ、クヌギ、レイシ、カワラなど
【お勧めの容器】
クリーンケースM~L
【産卵管理温度】
25~27℃前後
【水分量(湿度)】
多からず少なからず
【セット方法】
ケース底面を固くつめ、材を入れ、その回りも固く詰める。上部2~3cmほどは柔らかくマットを入れる。少し材の頭が出るようにセット。
まずは使用する材を用意。こちらはクヌギ材になります。
次に材の皮を剥きます。
材の皮は剥かない方もいらっしゃると思います。自然界では当然皮などは剥けていないので、より自然のままのセットをお好みの方はそのままセットするというやり方もありだと思います。
材を水に浸します。
あくまで私のやり方ですが、私は材を水に浸す時、そこまで長い時間はかけません。目安は水に浸している途中で材を取り出し、実際に持ってみて、重量的に十分に水分が含まれているかどうかをみて判断します。
実際に手に取って水分の染み込み具合を確認します。これは感覚的なものなので、どれ位とご紹介するのはとても難しいです。もし敢えて時間的に言うならば、早くて5分、長くても10分位といったところでしょうか。
水から出した材を縦に置き、陰干しします。
これも私的にはあまり時間はかけません。元々長く水に浸していませんので、陰干しもごくわずかの時間です。敢えて時間的に言うならばやはり5~10分程度でしょうか。
次にマットを準備します。
今回は材に産ませるようにセッティングしますので、マットはある程度なんでも可能ですが、幼虫が材から出て来て、こぼれ落ちてしまった場合、マットでも食せるように敢えて発酵マットを使用します。
お勧めは完熟マットです。
材を入れます。今回は2本のクヌギ材です。
材の周りをマットで埋め込みます。
上から見た画像
マット産みの傾向も強い種類では、材の横より下の隙間もマットを固く詰めると良い傾向があります。材に気に入らなればマットにも産んでくれますので・・・。
後は上に転倒防止のハスクチップを敷きます。
ゼリーを入れます。
後は親♀を入れフタをします。
セット方法を図示すると以下の様な感じです。(※図では2本の材は平行セットになっていますが、Tの字でセットでも構いません。)
産卵セッティングに関しては上記の2パターンの内のいずれかでセットを組めば大丈夫だと思います。
私の場合は主にマットのみの産卵で行っていました。ただ他の人に聞いてみると材を入れた方が良いという方もいらっしゃいました。その場合、材は柔らかめの材を使用する事をお勧めします。
次に産卵セットを組んだ後、今度はいつその幼虫の割り出し作業を行ったら良いのかについてご紹介してみたいと思います。
<割り出し、幼虫取り出しの時期>
基本的にはケース側面や底面に幼虫が見え始めてからになります。卵や幼虫が1~2頭見え始めたからといってで早期に割り出してしまうと、まだ産む気がある♀の産卵活動を一旦ストップさせてしまうことがあるのであまり好ましくありません。
側面から見た様子(※マットのみ産卵の場合)
上記画像は「マットのみの産卵」で産まれた幼虫達の画像ですが、上の数位見えてきたら、大成功!もう十分割り出しても大丈夫です。
あくまで私の場合になりますが、「マットのみの産卵セット」の場合、大体産卵セット開始して、約1ヶ月半~2ヶ月程度を目安に割り出すようにしています。
「材を使用したセットで産卵セットを組んだ場合」は、ケース側面などに幼虫が見えていれば、それを目安にすれば良いのですが、材に産卵していた場合は材に入り込んでしまっているので外側からは幼虫が確認出来ません。
その場合は2ヶ月ほどして一度材を掘り起こしてみて下さい。材に産卵の形跡があればそのまま割り出しを行ってもよいと思います。
ただし飼育ケース内の環境が急激に悪化したり、ケース側面や底面にまったく卵や幼虫が見られなかったり、♀が全く潜る気配を見せずマット上面を徘徊ばかりしている時は話は別になります。
今回は野外ものの♀はほぼ交尾が終了していると言っても過言ではないので、♀の持ち腹を期待して、そのまま♀のみを産卵セットに入れるやり方をご紹介しました。
しかし、♀がなかなかマットに潜る行動をしなかったり、何回かセットしても全く産まない場合は、♂がいるならば再交尾をさせた方が良い場合もあると思います。そのあたりは状況を見て臨機応変に対応してあげて下さいませ。
下の画像は過去に行ったヒラタクワガタ産卵セット割り出し風景です。
いかがでしたでしょうか?上記が私のヒラタクワガタの産卵セットの組み方です。ちなみに先日ご紹介したヒラタクワガタ産卵セット(途中経過)のセット方法は「マットのみ産卵」の方で行いました。
ヒラタクワガタの産卵セット時の管理温度は可能ならば25~27℃前後程度が望ましいので、少し気温が低くなってくる場合は温度対策などをして調整してあげて下さいませ。是非一度産卵セットを組み、幼虫飼育を挑戦してみて下さいませ。(^^)
※この方法はあくまでも私:Shihoの産卵セットの組み方です。やり方は人それぞれですので、あくまでご参考程度にご覧頂けますと幸いです。m〈_ _)m※
※現在、月夜野きのこ園のオンラインショップですがメンテナンス中で お買い物ができません。誠に申し訳ございません。 販売商品ですが、メンテナンスの間のみ、月夜野きのこ園クワガタ金賞販売部(仮)のWEBサイト:https://stag.tsukiyono.co.jp/でお買い物頂けます。
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2019年10月4日
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使用したアイテム
Basicプロテインゼリー(昆虫ゼリー), きのこMat(昆虫マット・発酵マット), 完熟Mat(昆虫マット・発酵マット), 産卵木, 飼育ケース, 黒土マット(昆虫マット・発酵マット)
shihoさん。こんばんは。いつも質問ばっかりで申し訳ございません。現在ヒラタクワガタの産卵セットを組んでいるのですが、20日近くたってもケース側面や底面には卵が確認できません。かといってメスはずっと潜り、餌も食べてない様子です。ケース側面や底面に卵が確認できなくても、産卵してるというケースはありますか?
Comment by nfc — 2019年10月21日 @ 10:59 PM
nfcさん
レスありがとうございます。
ヒラタクワガタ(本土産)の場合、マットのみでセットを組んでいれば、大体はケース側面や底面に卵が見えることが多い傾向が強いですが、外側から見えない場所にも産んでいることもよくあります。
この時期になると、寒くなってきますので、管理温度次第では産卵活動などは行わずに越冬状態に入ることも多いです。
もし♀を側面や底面から確認出来れば、それが移動している移動痕があればまだ活動している可能性はありますが、いつも同じ場所にじっと動かない、もしくは側面などには一切移動痕が見られない場合は、越冬状態に入っている可能性が高いと思われます。
一度越冬状態に入った個体に産卵スイッチを入れさせるのはなかなか難しいものがありますが、それでも産卵をさせたいのであれば、管理温度を少し上げるなどをして♀に「あっ、暑い、まだ夏なんだ!産卵出来る!」と思わせることがポイントかと思われます。
私もこの時期に産卵させる場合、管理温度は少し高めの「28℃」程度に設定します。
もし産卵させなくても良い、もしくは高温での管理が難しい場合は、そのまま静かに越冬させてあげて、生きていれば来年の春~夏位に再セットを組むのも良いかと思います。
あくまで私のやり方ですのでご参考程度に聞いて頂ければ幸いです。
宜しくお願い致します。
飼育日記担当:Shiho
Comment by tsukiyono — 2019年10月22日 @ 10:01 AM
回答ありがとうございます。来年採集せんでチャレンジしてみます。
Comment by nfc — 2019年10月22日 @ 9:34 PM
度々失礼します。先日のヒラタクワガタ産卵の件ですが、冬眠明けに春~夏に産卵セットを組む場合、再交尾は必要でしょうか?
Comment by nfc — 2019年10月24日 @ 7:59 AM
nfcさん
レスありがとうございます。
年が明けても種が残っていればそのまま産むことはありますが、出来れば再交尾させてあげた方が良いかと思います。
私も年明け産卵の際には再交尾させる派です。
ご参考程度に聞いて頂ければ幸いです。
飼育日記担当:Shiho
Comment by tsukiyono — 2019年10月24日 @ 9:37 AM
shihoさん、はじめまして。
私も宮崎にいた頃は、子どもと幼虫採取してました。
餌がいいのか、カブトもクワガタも丸々としていて、マットでも なかなかの個体が生まれてました。
しばらく、昆虫から遠ざかってましたが、今年の夏 自販機前で小さな雌のクワガタを見つけ、懐かしくなり 久々に産卵させました。
あまりの雌の小ささにコクワだと思いこんでましたが、先日体重測定したら15グラムと、雌らしき幼虫は8グラムありました。多分ヒラタだと思いますが、八月頭には幼虫を発見しマット飼育してますが、すでに雄すらも部屋を作ってるようです。4ヵ月で雄が蛹になるとは あり得ますか?冬眠しようとしてるだけでしょうか?
Comment by のん — 2019年11月7日 @ 7:25 PM
shihoさん、はじめまして。
7月に自販機前で小さな雌のクワガタを見つけて、久々に産卵させました。あまりの小ささにコクワだと思いこんでましたが、幼虫の体重測定したら15グラムと8グラムの雌らしき幼虫でした。成虫のメスは、ノコではなかったので、ヒラタかなぁと思ってますが。
ただ、八月には幼虫だったのですが、すでに幼虫雄が部屋を作ってるようです。雄が4ヵ月で蛹になるってあり得ますか?
それとも、冬眠しようとしてるだけでしょうか?
Comment by のん — 2019年11月7日 @ 7:30 PM
のんさん
初めまして、レスありがとうございます。
自然界で1年や1~2年かかるクワガタ達もブリード下ではエサや環境によってはとてつもなく早く羽化してしまうことはよくあります。
オオクワ等においても近年における高栄養のエサや環境のせいで、サイズを考えなければ菌糸瓶飼育においては半年で羽化してくるも結構あります。
のんさんの場合ですと、4か月で蛹になりかけ(蛹室を作る気配)ということは、羽化まで計算に入れれば、約6ヵ月(半年)程度ですので、考えらえる範囲であるのではないかと思います。
他でも聞いた話の中には、幼虫期間が2か月しかなく蛹になったという話も以前ありました。
生き物の世界ですので、絶対はないと思いますので、時にはこうした早期の羽化もありえるのだなぁ・・と深く考えさせられたこともありました。
あくまでも私個人的な考え方によるものです。
人によってはまた違う考え方もあるかとは思います。
あくまでもご参考程度に聞いて頂ければ幸いです。
宜しくお願い致します。
飼育日記担当:Shiho
Comment by tsukiyono — 2019年11月8日 @ 2:10 PM
返信ありがとうございました!
一通を誤送信してしまい、似たようなメールを2通も送ってしまい、申し訳ありませんでした。
なるほど、しばらく触らずに様子をみてみます。
蛹になる前は、フンを出してしまい黄色くなるんでしたよね?
毎日見たいですが、動かさずにそっとしておきます。
ありがとうございます。
Comment by のん — 2019年11月8日 @ 9:18 PM
のんさん
ご返信ありがとうございます。
蛹になる前、いわゆる3令の後期位からは幼虫は次第に白から黄色っぽい色に変わってきます。
そして蛹室を作り出し、部屋が出来た頃から、身体にシワが多く入りだして、手と口が完全に固まります。これが前蛹です。
その後、前蛹がさらに進み、シワがかなり多く増えていき、幼虫の皮を脱ぎ、やがて蛹になります。
完全に蛹になり固くなってからならば、多少動かしても構いませんが、前蛹状態の時と蛹になりたての頃は特に柔らかいので注意が必要です。
そっと見守ってあげるのが一番だとは思います。
ご参考までに聞いて頂ければ幸いです。
宜しくお願い致します。
飼育日記担当:Shiho
Comment by tsukiyono — 2019年11月8日 @ 11:01 PM
再度の返信ありがとうございました。
昔、オオクワの羽化したての時に 動かしてしまい、羽根に菌糸カスで穴が開いてしまったのを、思いだしました。気をつけます。
Comment by のん — 2019年11月8日 @ 11:13 PM