成虫の熟成について
先日の日記に「パプキンさん」より以下の御質問がありました。
いつも楽しく勉強させてもらってます。…最近、アウラタを入手しました。♀3月羽化、♂4月羽化で、別々にプリンカップにて飼育中。… 『熟成に1年もかかる個体』があるとのことですが、『熟成』の見極めるポイントはなんなんでしょうか?あと、『ニジイロ1♂2♀』も最近、入手したんですが、『2♀』は共に後食開始、『♂』は今朝現在、未後食です。…『ニジイロ』の『熟成の見極め』も併せて御教授下さい。よろしくお願いします。m(._.)m
今日は「パプキンさん」からご質問いただいた成熟についてちょっと私なりの考えを書いてみたいと思います。ちょっとややこしい内容になるかもしれませんがご愛嬌下さいませ。(^^)
『成熟』(羽化してから正常に交尾・産卵ができるようになる事)
私はクワカブをブリードするうえで、この『成熟』こそが一番重要だと思っています。
成虫の成熟が浅い場合には交尾がうまく出来ませんし、また仮に卵も産んだとしても無精卵ばかりになり孵化率がかなり悪くなってしまいます。ですので繁殖をさせる第1関門として、いかに成熟したもの同士を交尾させるかとうのはかなり重要になってきます。
通常自然界では羽化した後、羽化した成虫は熟成期間を土や木の中で過ごしてから地上に出てきますので、その時点で成熟はある程度なされ繁殖も可能と考えられます。
しかしブリード下においては人間が羽化後人為的に取り出したりするので、その時期が分からなくなることが多々あります。そこでまず目安にするのは「エサ食い(後食開始)」です。

後食が始まればある程度は成熟してきたといっても大丈夫だと思います。しかし中には後食を開始したからといってもう少し時間をかけなければ上手く繁殖しにくい種もあります。
そういう場合はどこで見分けるか・・・。
次は成虫(種)の寿命で見ています。成虫での期間が短いものは、自然界でも早く熟成して早く繁殖活動を行わないと次世代につなげられません。成虫期間の短いものほど早く熟成し繁殖活動を行うと考えられます。
この代表例が、パプキン、国産カブト、ゾウカブトなどです。
逆に成虫での期間が長いものは後食を開始したからといって交尾させるのは望ましくない場合があります。寿命が長い種はおおむね、完全に成熟するまでに少し時間がかかります。
よく寝かせるとよく産むという虫はこのタイプに当たると思います。
代表例でいうと、国産オオクワ、アンタエウス、ヘラクレスです。
しかし、同じような種であっても熟成期間が異なるものも存在します。
代表例としては、グラントシロカブト、ティティウスシロカブト。
パプキン、アウラタキンイロ、ミカルドキンイロなどです。
前者は同じシロカブト種ながら熟成期間の違いが見られます。後者の同じランプリマ種でありながらアウラタ、ミカルドはパプキンより熟成期間が長めです。ただしアウラタの中でもドリゴ産アウラタは熟成が早い事をよく言われます。一般的なアウラタ、タスマニアアウラタとはちょっと違うようです。
この違いはやはりそれぞれが生息していた環境によるところだと思います。
ですので種類別に区別するのもちょっと問題があり、やはり個別個別でその虫に関する特性を知っておく事が重要だと思っています。
話がややこしくなりましたが、^^;
パプキンさんの御質問に対する私なりの解答は
まずアウラタですが、一般的なアウラタならばおっしゃる通り成熟期間は少し長いです。ですが成熟した後は寿命は短いので後食を開始したら1週間程度でブリードに持ちこんでも良いと思います。
次にニジイロですが、こちらは成虫になってからの全体的な寿命も熟成してからの寿命も比較的長めです。わたしの場合は後食開始してから最低約3ヶ月程度は成熟期間を持ちます。昔半年以上寝かせたニジイロは驚くほどかなり沢山産んでくれました。
まとめると
【アウラタキンイロクワガタ】
♂♀がきちんと後食するのを待ってブリード。
♀が早く後食開始した場合は♀を低温、 ♂をすこし高温の所に置き成熟度のズレを修正するなどの対策を取るのが良いかと思います。
【ニジイロクワガタ】
♂♀がきちんと後食し、なおかつ3ヶ月程度はじっくりとエサを食べさせてからブリードに入ります。羽化ズレ対策はアウラタと同様に
♂♀の管理温度に差をつけて成熟のズレを修正します。
本当にややこしく長々と書きましたが、交尾時期を見極めるのは本当に難しいです。
私も昆虫に聞いたわけではないので(^^ゞ このあたりは今までやってきた感覚、友人、先駆者達の意見をもとに行っています。
くれぐれもあくまで私個人の考え方ですので、ご参考程度という事でお読み頂ければ幸いです。(^^)
7 Comments »
RSS feed for comments on this post. TrackBack URL
いつも楽しく拝見させて頂いてます。みなさんは大型ヒラタの幼虫を飼育する上でコスト面が大変だと思います。私がやっている事なのですが、蛹化前のビン交換時に1100PPを横に使って蛹室を作らせます。無駄に2000以上のビンを使うよりも綺麗に蛹室を作ってくれますよ!Shihoさんにも試して頂きたいのですが…。
Comment by ヒラちゃん — 2008年5月24日 @ 5:09 AM
ヒラちゃんさん レスありがとうございます。 蛹化時期のビン横倒し作戦ですね。 私も昔試した事がありますよ。その時はパラワンヒラタだったと思いますが確かにキレイに作ってくれました。100mm丁度だったと記憶しておりますが・・・。(^^)
Comment by shiho — 2008年5月26日 @ 1:15 PM
shihoさん、こんばんは!…お返事が大変遅くなりました。早々に応えていただいて、ありがとうございました。 m(._.)m すごく勉強になりました。これからの参考にさせていただきます。
Comment by パプキン — 2008年5月30日 @ 2:56 AM
ニジイロクワガタを娘にプレゼントするために購入しました。10月半ばに羽化した固体とのことでまだゼリーは食べないのですかね?
Comment by GUCCI — 2018年11月7日 @ 1:55 PM
外国産の昆虫を初めて買いました。ニジイロクワガタです。とても綺麗です。10月半ばに羽化した固体だとのことですが、後食はまだ先ですかね?
Comment by GUCCI — 2018年11月7日 @ 1:59 PM
GUCCI さん
レスありがとうございます。
10月中旬羽化ということならば、後食はおそらくまだだと思います。
ただもしかすると例外的な個体もあるかもしれませんので、絶対とは言い切れないとは思いますが・・。
あくまで参考程度に聞いて頂ければ幸いです。
コメントありがとうございました。
飼育日記担当:Shiho
Comment by tsukiyono — 2018年11月8日 @ 2:00 PM
GUCCIさん
レスありがとうございます。
管理する環境(温度&湿度)や個体差にもよりますが、常時25℃程度の環境だと、大体羽化して2か月くらいもあれば後食開始すると考えています。
あくまで私個人の考え方ですのでご参考までにして頂けると幸いです。
飼育日記担当:Shiho
Comment by tsukiyono — 2020年9月22日 @ 6:59 PM