人工蛹室(じんこうようしつ)の作り方 Ⅰ【Shiho的見解】
今回は前回の続き、
「人工蛹室」の作り方についてご紹介したいと思います。
※ 今回の記事は以前にもご紹介しております。重複引用しますことをご了承下さいませ※
クワガタ、カブトムシの幼虫を飼育していて、幼虫の状態が終盤を迎えた時、幼虫は蛹になる為に蛹室(ようしつ)というものを作り出します。いわゆる蛹の部屋です。
何かの理由で、自力で蛹室が形成出来なかった場合の対処方法として、いわゆる人工蛹室への移行させるという方法があります。
人工蛹室に幼虫を移し替えるには2つのタイミングがあります。
・前蛹状態での移し替え
・完全に蛹になってからの移し替え
です。
完全に蛹になってからの移し替えは比較的楽ですが、前蛹状態での移し替えの場合は、タイミングが重要になってきます。
一番重要なのは、完全に前蛹状態になってから移し替えることです。
前蛹の場合、完全に前蛹状態になると、幼虫の頭(アゴ)と手が完全に固まります。
人工蛹室に移し替えるならばこの状態で移し替えないといけません。
もし頭(アゴ)と手が完全に固まってしまう前に人工蛹室に移し替えてしまうと幼虫はまだ動けますので、その人工蛹室をバラバラに壊してしまう可能性があります。
なので、完全に固まってから移行する。これが私なりに思う鉄則だと考えています。
下の画像が前蛹、手と口が完全に固まった状態です。
この状態のようになってから移行させるのがベスト!
参考例:ヘラクレスの前蛹
では次にその移行させる人工蛹室ですが以下のようなものを準備して下さいませ。
※人工蛹室を入れる容器はプリンカップや飼育ケースなど様々です。あくまでも人工蛹室のサイズに合わせたサイズのものをご用意下さいませ。
スプーン | 園芸用スポンジ | 大きめプリンカップ等 | カッター |
【1】
ホームセンターや園芸店で売られている生花やフラワーアレンジ用の
園芸用スポンジを前蛹や蛹にあわせてカットします。
【2】
人工蛹室の大きさをある程度に決め、スプーンを使いあとをつけます。
幅の目安は蛹の幅の約1.3~1.4倍です
【あくまでの一例】
2cm(蛹の幅)×1.3 = 2.6cm
【3】
枠を決めたらスプーンで掘っていきます。
【4】
向かって左が「あたま」になります。
「あたま」上に少し傾斜をつけ「おしり」の方を少し深く掘り下げます。
【5】
水分を含ませ削った面を「指のはら」で
やさしく擦り表面を滑らかにします。
最後に水ですすげば人工蛹室の完成です。
【6】
前蛹を入れた様子。
【7】
蛹を入れた様子。
【8】
プリンカップなどの容器に入れ
通気用に穴を開けたフタをし管理します。これで完成です。
次にクワガタではなく大型カブト、ヘラクレス用の人工蛹室をご紹介します。
あくまで私の作り方ですが、私の場合、ヘラクレス用の人工蛹室は「あたま」側の返しを作らず、角が引っかからない様に作ります。 頭側を高くし角度をつける事と、同じく頭側に返しを作らない事で角曲がりを軽減する事ができます。
※ヘラクレスの人工蛹室は大きい為、プリンカップではなくプラスチック容器を使用します。あくまで人工蛹室に合わせた容器をご用意下さいませ。
如何でしたでしょうか?私の場合、上記のようなやり方で人工蛹室を作成しております。
本当は幼虫自らが作成した蛹室に勝てるものはないのですが、何らかの理由によって作成した人工蛹室が不完全な場合もあります。
そういう場合に上記のような人工蛹室を作成し利用するというのも有効な手段の一つだと考えております。
今回ご紹介しました人工蛹室の形状等はあくまでも私のやり方なので、ご参考程度にご覧いただければ幸いです。(^^)
また今回ご紹介したのはヘラクレス等のように横に蛹室を作る用の人工蛹室です。
国産カブトムシやヒメカブト種などは縦長に蛹室を作りますので、人工蛹室の作り方もまた変わってきます。
これはまた次回にご紹介してみたいと思います。
※ここでご紹介させて頂いた考え方や飼育方法はあくまで私Shiho個人のやり方&考え方であってそれを押し付けるものでは御座いません。あくまでもご参考程度にご覧頂ければ幸いです。よろしくお願い申し上げます。
4 Comments »
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はじめまして!
いつもきのこマットを使わせていただいております!
質問があるのですが初めての飼育で分からない事だらけなので教えて欲しいのですが、ヘラクレスオオカブトの♂の幼虫が約9ヶ月現在マット交換をしようとひっくり返してみたら脚をロックした状態になっており体もシワシワになっていました、ちょっと早すぎてビックリしているのですが大丈夫なのでしょうか?
まだモジモジと動いていているのですが新しいマットに戻しても自力で蛹室を作れるのでしょうか?人工蛹室を作った方がよいのでしょうか?
よろしければ教えて頂けると助かります!
Comment by YUUTA — 2019年12月23日 @ 8:46 PM
YUUTAさん
初めまして。
レスありがとうございます。
「脚をロックした状態、身体もシワシワ・・」
ご質問を聞く限りでは、おそらくですがそれは既に「前蛹」の状態にあると考えます。
実際に見ているわけではないので確言ではありませんが、前蛹状態になっていれば、おそらく口(アゴ)も固まってしまっていると考えます。
前蛹になってもクネクネと身体を動かすことは出来ますが、手も口も固まっているので、マットに潜ることも出来ませんし、ならば当然蛹室を作ることも出来ません。
マットから取り出した時、自作していた蛹室の部屋がありませんでしたか?
もしその部屋が完全なもので、完全な形が残っているのならば、そのままそこに戻してあげれば良いと思います。
もしすでに蛹室が無い場合には、そのままマットに入れず、人工蛹室に移した方が無難だと考えます。
あくまで私個人の考え方ですので、確言では御座いません。
ご参考程度にご覧頂ければ幸いです。
コメントありがとうございました。
飼育日記担当:Shiho
Comment by tsukiyono — 2019年12月24日 @ 8:59 AM
ご返信ありがとうございます!
自力で潜れない様子だったのでどうしていいかわからずとりあえずマットの中に入れて様子を見ていたのですが、グルグルと回ったりして全ては見えないのですが部屋?の様なものを作っているのですがやはり不十分な蛹室しか作れない可能性の方が高いですよね?
元々あった蛹室も壊れてしまっていて元に戻すことも出来ないので昨晩は一時的にマットの中に入れたのですが、人工蛹室を用意してそちらに出した方が良さそうなので準備します!(まさか8ヶ月で前蛹になると思っていなかったのでなにも人工蛹室に必要な物を用意していなかったので)
Comment by YUUTA — 2019年12月24日 @ 1:57 PM
YUUTA さん
レスありがとうございます。
そうですね、おそらくですが、おっしゃる通り幼虫はまた蛹室を作ろうとしているのだと思われます。
中途半端になってしまったせいで、不完全な蛹室を形成してしまうかもしれません。
また更に幼虫の体力も削られてしまうと考えます。
不完全な蛹室の形成、また幼虫の体力がないと高確率で蛹化不全になってしまう可能性が高いので、もうこれ以上は幼虫に体力を使わせない方が懸命だと考え、人工蛹室に移行させてあげた方が良いと考えます。
あくまで私の考え方ですので、ご参考程度にご覧頂ければ幸いです。
宜しくお願い申し上げます。
飼育日記担当:Shiho
Comment by tsukiyono — 2019年12月25日 @ 9:18 AM