スマトラオオヒラタクワガタの飼育【幼虫飼育&産卵方法】【Shiho的見解:2022年度版】
今回はオオヒラタ種、スマトラオオヒラタの飼育方法をご紹介してみたいと思います。
【参考画像:スマトラオオヒラタ♂】
産地:アチェ産:人気の内歯下がりタイプ
【参考画像:スマトラオオヒラタ♂】
産地:ベンクール産:内歯上がりタイプ
【飼育種】
和名:スマトラオオヒラタクワガタ
学名:Dorcus titanus
産地:スマトラ島 ベンクール、パダン、リアウ、アチェ等
オオヒラタ種の中でもとりわけ人気の高いスマトラオオヒラタクワガタ。
同じスマトラ島の中でも採れる地域によって、内歯の形状が異なる傾向があります。
代表的な例を挙げると、
ベンクール産:内歯上がりタイプ
リアウ産:内歯中間タイプ
アチェ産:内歯下がりのタイプ
このように産地によりアゴ内歯の形状が違う場合があります。
とはいえ、絶対にそうだとは言えないらしく、例えばアチェ産でも内歯上がりのものや中間タイプのものも採れたりすることもあるそうです。あくまで傾向ということで考えていた方が良いでしょう。
その中でも特に人気が高いのが、
この内歯下がりのアチェ産タイプ。
極太タイプにもなりやすく、同じスマトラオオヒラタの中でも特に人気が高い産地です。
飼育は、幼虫飼育、産卵ともに至って容易な種だと感じています。
ではそれぞれについてご紹介してみます。
★★幼虫飼育★★
【お勧めのエサ】
菌糸(Basicでもelementでも可)、
きのこマット
【飼育容器:容量】
♂:1100~2000㏄程度
♀:800~1100㏄程度
(※3000~5000㏄クラスの容器を使用する方もいる)
【えさ交換回数】
菌糸ビン:途中2~3回程度
マット飼育:途中2~3回程度
菌糸ビンでの例(あくまでShihoの経験上)として、
♂:1100~1400~2000~2000㏄
♀:800~1100~1100㏄
(※幼虫の大きさ、性別、菌糸、マットの劣化により差異あり)
【設定温度】
20~25℃前後
【羽化までにかかる時間】
♂:約10~12ヵ月程度
♀:8~10ヵ月程度
(※あくまで目安です。♂♀、管理環境(管理温度、飼育するエサ等)、幼虫の大きさによって個体差があります※)
幼虫飼育はとても容易な種だと感じてます。
菌糸(Basicでもelementでも可)でもOK。
マットでも弊社のマットでは、きのこマットでよく育ってくれますが、私の場合は菌糸ビンの方が良い結果が出ています。
幼虫はかなり大きく育ちます。
この幼虫は52gですが、まだ白くまだまだ成長の余地があります。
大型の幼虫に育つので、幼虫もとにかくよく食べます。
エサを切らさずにタイミングよく、じっくり低温気味(20℃前後)で育て上げるとより大型が出やすくなる傾向があるように感じます。
管理温度は20~25℃程度 で管理。夏場の高温と冬場の極度の低温には注意が必要です。
では次に産卵セット方法についてご紹介してみたいと思います。
産卵セットはマットのみで産卵させるやり方と、材を入れたセット方法の2パターンがあると考えます。
★★産卵方法★★
<マットのみを使用した産卵方法>
【産卵に使用するお勧めマット】
完熟マット、黒土マット
【産卵に使用するケース】
クリーンケースM~L程度
【産卵管理温度】
25~27℃前後
【水分量(湿度)】
多からず少なからず
(※手でぎゅっと握って土団子が出来、少し揺らしても崩れない程。握った時指の間から水が染み出ない程度)
【セット方法】
ケース底面を深さ7割位で固く詰める。
残りの1割程度はフンワリと。
残りは空間。
画像でちょっと分かりやすく順をおってみてみましょう。
産卵セットに使用するケースの準備。
今回はクリーンケースを使用します。
クリーンケース使用の場合は間に新聞紙を挟んでセット完了
セット方法を図示するとこのような感じです。
次に材を使用した産卵セット方法のご紹介です。
<材を使用して産卵セットを組む場合>
【お勧めのマット】
完熟マット、黒土マット
【お勧めの材】
コナラ、クヌギ、レイシ、カワラなど
※なるだけ直径が大きい方が良い
【お勧めの容器】
クリーンケースM~L
【産卵管理温度】
25~27℃前後
【水分量(湿度)】
多からず少なからず
(※手でぎゅっと握って土団子が出来、少し揺らしても崩れない程。握った時指の間から水が染み出ない程度)
【セット方法】
ケース底面を固くつめ、材を入れ、その回りも固く詰める。
上部2~3cmほどは柔らかくマットを入れる。
少し材の頭が出るようにセット。
セット方法の具体例をご紹介してみます。
まずは使用する材を用意。
こちらはクヌギ材になります。
少し柔らかめの材がお勧めです。
材の皮は剥かない方もいらっしゃると思います。自然界では当然皮などは剥けていないので、より自然のままのセットをお好みの方はそのままセットするというやり方もありだと思います。
あくまで私のやり方ですが、私は材を水に浸す時、そこまで長い時間はかけません。
目安は水に浸している途中で材を取り出し、実際に持ってみて、重量的に十分に水分が含まれているかどうかをみて判断します。
実際に手に取って水分の染み込み具合を確認します。
これは感覚的なものなので、どれ位とご紹介するのはとても難しいです。
もし敢えて時間的に言うならば、あくまで私のやり方になりますが、早くて5分、長くても10分位といったところでしょうか。
これも私的にはあまり時間はかけません。
元々長く水に浸していませんので、陰干しもごくわずかの時間です。
敢えて時間的に言うならばやはり5~10分程度でしょうか。
次にマットを準備します。
今回は材に産ませるようにセッティングしますので、マットはある程度なんでも可能ですが、幼虫が材から出て来て、こぼれ落ちてしまった場合、マットでも食せるように敢えて発酵マットを使用します。
弊社のマットでのお勧めは、完熟マット、黒土マット。
材を入れます。今回は2本のクヌギ材です。
マット産みの傾向も強い種類では、材の横より下の隙間もマットを固く詰めると良い傾向があります。材に気に入らなればマットにも産んでくれますので・・・。
後は親♀を入れフタをします。
今回はコバエシャッターを使用してみました。
セット方法を図示すると以下の様な感じです。
(※図では2本の材は平行セットになっていますが、Tの字でセットでも構いません。)
産卵セッティングに関しては上記の2パターンのいずれかでセットを組めば大丈夫だと思います。
私は主にマットのみの産卵で行っていました。
ただ他の人に聞いてみると材を入れた方が良いという方もいらっしゃいました。
♀によってはマット産みを好む個体、材産みを好む個体がいるようです。
材を入れて産卵させる場合、材は柔らかめで、直径の大きめの材を使用する事をお勧めします。
特別難しい種ではなく、産卵も幼虫飼育も容易な種ですが、幼虫飼育ではとにかく大きくなりますので、エサ切れには注意しましょう。
100mmを超えた個体が羽化した際にはその大きさに驚くことでしょう。
皆さんも機会がございましたら、是非飼育に挑戦してみては如何でしょうか?(^^)
※ この日記で紹介したやり方や考え方はあくまで私:Shiho個人の考え方によるもので、それを押し付けるものではございません。あくまでご参考程度にご覧頂ければ幸いです ※
※ この飼育日記では過去にも同じ種類について飼育方法をご紹介しておりますが、過去で取り上げたデータと新しく公開したデータとでは、エサの種類、管理温度、羽化までにかかる日数などに差異が見られる場合がございます。
これは飼育をやりながら、私個人のやり方や考え方が変化しているということですので、今現時点での私のやり方や考え方を参考にして頂くならば、一番最新の日付のデータをご参考にして頂けますと幸いです。ご了承下さいませ m(_ _)m ※
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2022年4月5日
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使用したアイテム
Basicシリーズ(菌糸ビン・菌床ブロック), Basicプロテインゼリー(昆虫ゼリー), Elementシリーズ(菌糸ビン・菌床ブロック), きのこMat(昆虫マット・発酵マット), プリンカップ, 完熟Mat(昆虫マット・発酵マット), 産卵木, 飼育ケース, 黒土マット(昆虫マット・発酵マット)
先日スマトラオオヒラタのペアリング、産卵セット等について質問させていただきました。
本日ケース底面を確認したところ、まだラグビーボールのような形ではありましたが、無事卵を確認することができました!気になって1日1回ペースでケース底を確認していたので、最近産み付けられたものと見て間違いなさそうです。
またしても質問になってしまうのですが、スマトラオオヒラタは絶対に累代させたく、卵の状態で確保するか幼虫になってから確保にするか悩んでおります。
卵で回収すると孵化率が下がるとも聞きましたし、メスに卵の状態で踏み潰されたり、幼虫になったとしても食い殺されたりなどあるようですが、一番安定して累代させられる回収方法はどれになりますか?
確認しているのが一個のみなので、メスの産卵モードを切らせたくないのですが。
shihoさんの意見を教えていただきたいです。よろしくお願いいたします。
Comment by kabukuwa26 — 2022年10月20日 @ 9:19 PM
kabukuwa26様
レスありがとうございます。
【こまめに採卵する】か、それとも【しばらく放置してからの回収】にするか・・・
確かに悩むところではありますね。
あくまで私個人のやり方や考え方でお話しますが、正直どちらの方法を取ってもメリット、デメリット、どちらもあると考えています。
【こまめに採卵する】方法では、
<メリット>
・親♀の産卵徘徊中の他卵の潰しから守れる
・幼虫が孵化した際の子食いから守れる
・ブヨブヨ病などの予防につながる
<デメリット>
・産卵モードに入っている♀の行動を一旦ストップさせてしまう
・卵回収した後、孵化まで別に管理した際に卵がカビたり雑菌にやられることもある
【しばらく放置してからの回収】方法では、
<メリット>
・親が作った卵室(卵を囲む空間)が幼虫孵化には最適ゆえ孵化率が高い
・産卵モードに入っている♀を途中で止めさせずにすむ
<デメリット>
・孵化した幼虫等を子食いする可能性がある
・ヒラタ系は産卵セットを長期間放置するとブヨブヨ病の発生率が高まる
等の点が考えられます。
どちらの方法を取るかは、人それぞれであり、その方の考え方です。
ただあくまで私のやり方をご紹介するならば、
私はスマトラオオヒラタならばこまめな採卵ではなく、産卵セット後しばらく放置(1~1ヵ月半程度)してからの回収する方法を取っております。
ケース底や側面に幼虫が5~6頭程度孵化して来た頃合いを見計らって回収を行っています。
これは孵化率、♀の産卵モードを止めない、に重視を置いての考え方です。
どちらのやり方をやるにせよ、上記で挙げたメリット、デメリットが存在すると思っています。
あくまで私個人の考え方ですのでご参考程度にして頂ければ幸いです。
飼育日記担当:Shiho
Comment by tsukiyono — 2022年10月21日 @ 7:48 AM
ありがとうがざいました!
参考にさせていただきます。
Comment by kabukuwa26 — 2022年10月21日 @ 7:37 PM