菌糸ビンの白い部分が無くなった場合:幼虫の暴れについて
幼虫を飼育している際に、この下の画像の様な感じになったことはありませんか?
【菌糸ビンAとします】
皆さんは菌糸ビンがこのような状況になった場合、どのような考えが浮かぶでしょうか?
①幼虫が菌糸を食べてしまい、白い菌糸部分がなくなった。
②幼虫が暴れてしまい、白い菌糸部分がなくなった。
この場合、私の考えではございますが、私は②を疑います。
なぜなら、この菌糸ビンの白くない部分(茶色いオガの部分)は、食べた後の糞等によって出来た食痕等ではなく、ただ単に幼虫が暴れて白い菌糸部分をぐちゃぐちゃにしてしまって出来た可能性が高いと考えます。
ちなみに通常にきちんと食して出来た食痕は下の画像のようなものになる事が多いです。
勿論全ての黒い部分が糞だけというわけではございませんが、菌糸ビン自体に落ち着きがあり、キレイな黒色をしているでしょう。
菌糸ビンAの状態を私は、「幼虫の暴れ(あばれ)」と言っています。
では「幼虫の暴れ」とは何でしょうか?
既に皆さんの中にもご存じの方もいらっしゃると思いますが、幼虫には「暴れ(あばれ)」という行動を起こす場合があります。
では、「暴れ」はどのような時に起きるのか?
①新しい菌糸ビンに投入後の暴れ
②エサが合わない事による拒食による暴れ
③ビン内温度が高くなり、苦しくなっての暴れ
④菌糸ビン内の酸欠(酸素不足)による暴れ
⑤幼虫が病気になって苦しんでいる時の暴れ
⑥3令後期幼虫による蛹化前の暴れ
等々「暴れ」には様々な理由があって起きています。
勿論上記以外の理由時にも「暴れ」が起きる事はあるとは思いますが、私的に考えて大体が上のような原因が理由で「暴れ」が起きると考えています。
問題の今回の菌糸ビンAについては
⑥3令後期幼虫による蛹化前の暴れ
をまず疑いました。
幼虫が3令後期になっていた場合、成長過程の行為として蛹化前にはほとんどの幼虫が少なからず「暴れ」を起こすと考えます。自分の周りを耕かし、キレイになめして、蛹室となる部屋を作る為の行為です。
②~⑤による暴れの場合は、幼虫の不具合の発生による暴れなので、それなりの対処が必要な場合もあります。
しかし①と⑥の暴れについてはこれは少なからず必ずしも起こる現象だと考えています。
今回は3令後期の幼虫ということもあって、そろそろ蛹になるのかもしれないと考え、⑥の「蛹化前の暴れ」を第一候補として疑いました。
この菌糸ビンAのような感じになった場合、いくら菌糸ビンの白い部分が無くなってしまったからといって、新しい菌糸ビンに交換することはお勧めしません。
もし新しい菌糸ビンに交換したとしても同じことを繰り返す可能性が高いと思うからです。
実際、交換をせずにそのままにしておいた菌糸ビンAの様子を追ってみました。
0日目
菌糸の白部分は耕かされ、茶色くオガ化状態になっています
↓
3日後
蛹室の部屋位置を決めたのか、ビン側面に沿って部屋を作り出しました感じがします
↓
6日後の様子
幼虫も蛹室の位置を決め、蛹室を作っています。すでにキレイな蛹室が出来はじめています。
この菌糸ビンAの幼虫はとりあえずこれで一安心です。後はキレイに蛹室を完成し、前蛹~蛹化~羽化という経路をたどってくれることでしょう。
如何でしたでしょうか?今回は「幼虫の暴れ」についてご紹介してみました。
簡単にまとめると、
・幼虫の暴れは様々な原因が元でなるパターンが多々ある。
・幼虫自体の不具合の場合には対処が必要な事がある。
・新しい菌糸ビン投入時や3令後期の暴れは、ビン交換等はせずに、そのまま見守った方が良い場合が多い。
ということでした。
飼育をしていると様々なパターンがあると思いますので、上記でご紹介したやり方には当てはまらないこともあるかもしれませんが、ご参考程度に読んで頂ければ幸いです。
※ここでご紹介させて頂いた考え方や飼育方法はあくまで私Shiho個人のやり方&考え方であってそれを押し付けるものでは御座いません。あくまでもご参考程度にご覧頂ければ幸いです。よろしくお願い申し上げます。
10 Comments »
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ご無沙汰しております。 11月に産卵レポートにも投稿しましたが割り出しが相次いで、その後は幼虫のお世話に追われていました。 6月に割り出して10月に菌糸ビン交換したニジイロクワガタ(ホワイトアイ)37頭ですが、換えて1か月ほどでこの記事のような状態になったものが半数くらいあって、「やけに早いなあ」と思ったのですが、暴れだったようですね。新しい菌糸ビンは用意したのですが、しばらく様子見ることにします。♀はこのまま羽化でしょうか。1月になったら残る個体を新しい菌糸ビンに移そうかととも思いますが迷うところ。如何でしょうか。 月夜野きのこ園さんの昨年の福袋に入っていたタランドゥスオオツヤクワガタ♂がまだ元気で、子孫を残せないままだったので、新しい♀を手に入れ交配・産卵床投入してみました。うちに来て1年がたちますが、ゼリー食いも旺盛です。バイブレートはあまりしなくなりましたが、大切にしてあげようと思います。それにしても長生きです。 今年も福袋買いました。アップされてあっという間に完売ですね。皆から信頼されている証でしょうか。今年もどんな個体が来るか楽しみにしております。 今後とも宜しくお願いします。
Comment by Puffin — 2016年12月11日 @ 2:31 PM
Puffinさん いつもレスありがとうございます。 ご無沙汰しております。 ニジイロクワガタは羽化までのスピードも速いです。特に菌糸で管理した場合には。 6月の時点で幼虫だったのであれば、今12月ですのでこの時点で6か月。そろそろ蛹化段階に入ってもおかしくない個体もいると考えます。 幼虫が大きく育ち、色合いも黄色味を帯びているようならば、蛹化前の暴れの可能性も十分にあると思いますので、しばらくそのまま見守ってあげた方が良いかもしれません。 ニジイロクワガタの幼虫は蛹化前の暴れがひどいことでかなり有名です。 どうしても暴れが治まらない場合は、ほんの少し管理温度を下げて様子を見てみると良いかもしれません。 また福袋お買い上げまことにありごうございます。 今年も既に師走ですが、色々と沢山のコメントありがとうございました。ご一緒に飼育を楽しめた感じがしてとても嬉しかったです。 またこれからも、来年度もどうぞよろしくお願い申し上げます。 飼育日記担当:Shiho
Comment by tsukiyono — 2016年12月14日 @ 10:13 AM
お返事有り難うございます。 前回、ニジイロクワガタの幼虫飼育した時も、確かに羽化までが早かったです。このまま、様子を見ることにします。ご教示有り難うございます!。 タランドゥスオオツヤクワガタですが、先週土曜に組んだ産卵床、月曜の夜にはセットした霊芝材が大量の木くずに埋もれんばかりになってました。しっかり♀が穿孔して材に入り込んでくれたようです。 昨年の挑戦では全くこうした現象が見られず産んでくれなかったので、今回は大いに期待が持てます。来年2月頃に産卵レポートできると良いなあ、とかすかに期待しております。 他にも、今は、フローレンシスヒメカブトやパウリアニヒメカブトも同様に産卵床を作ったばかりです。これらマイナーな種の飼育方法も、この飼育日記のバックナンバーにはしっかり記載されていたので、大いに助かっております。また、昨年の挑戦で爆産してくれたヤマトサビクワガタも産卵床作成、更に累代していこうと思っております。 こんどの福袋、2万円のレア個体を含むセットを購入したので、何が来るか到着楽しみです。サイトで追加を出してもすぐ完売、おめでとうございます。 今年は大変お世話になりました。 来年も是非宜しくお願い致します。
Comment by Puffin — 2016年12月14日 @ 12:59 PM
お久しぶりです!我が家のノコギリクワガタ幼虫達もすくすくと成長して前頭三令となりました!常温飼育の為色々大変な部分(菌糸瓶のキノコ)もありましたが、頑張って羽化目指します!
1番大きい三令幼虫が二頭いて、それぞれ1/29・2/10に加齢しました。まだ三令になって3ヶ月くらいでどうやら暴れ出したようなんですが、この場合は菌糸瓶の交換は避けた方がいいのでしょうか?三令後期に暴れるとは聞いてはいたもののまだ後期じゃないしなぁ、、と悩んでおります。それともマットへ移行しちゃった方がいいでしょうか?
1番大きい子なだけに対応に迷ってます。よろしくお願いします。
Comment by mira — 2020年4月24日 @ 2:12 PM
miraさん
レスありがとうございます。
国産ノコギリも菌糸ビンで加温管理の元で育てると意外に成長が早く半年~8か月程度で羽化してくる場合があります。
ですが、まだ3令後期でもなく、なおかつ菌糸の劣化がないようならば、しばらくはそのまま見守った方が良いのではないかと思います。
しばらく様子を見て、それでも暴れが治まらないようならば、少し管理温度を下げるか、もしくは思い切ってマットに移行するかの方法を取るかと思います。
あくまで私個人の考え方ですので、ご参考程度にして頂ければ幸いです。
飼育日記担当:Shiho
Comment by tsukiyono — 2020年4月24日 @ 8:50 PM
はじめまして。Sunと申します。
去年から本土ヒラタクワガタのペアを初めて飼育している初心者です。
今年の6月上旬に産卵セットの中から初齢の幼虫が2匹生まれていたのを確認し、現在は菌糸瓶を使い飼育中です。
ですが一週間ほど前に、その内の一匹が暴れと思われる行動を取り始めました。
最終的には、完全に菌糸瓶から出てきてしまいましたが、蓋を開けると潜っていきました。
そのため対処法を調べている内にこの記事に辿り着き、
まず記事にも書かれていた酸欠を疑い、蓋を開け、通気性を確保しました。
そのかいあってか、暴れ自体は現在収まっているのですが、菌糸瓶上部付近に蛹室にも似た空間を作り、そこから移動せず、見た目もなんだか萎んだようにも見えるのです。
ただ、動かないというわけではなく、体勢などを変えていたり、周辺の材自体も暴れの時のように粗い物ではなく、細かくなっているように感じます。
質問なのですが、上部に居ること自体があまり良くないということはあるのでしょうか?
それから、現在の状況は静観した方が良いのでしょうか?
自分も幼虫を育てるのは初めてで、心配な事が多く、過去の記事ですがコメントを残させていただきました。
ちなみに、初齢~3齢初期までマットで育成し、その後、8月5日に菌糸瓶に投入いたしました。初齢での菌糸瓶の育成はリスクが多いと聞いたので、このような形となっています。
リビングで飼育しており、クーラーをかけていますが、精密な温度管理は難しい環境です。
よろしくお願いします。
Comment by Sun — 2020年9月3日 @ 6:46 PM
Sunさん
はじめまして、レスありがとうございます。
まず初めに、弊社のどの種類のマットと、どの種類の菌糸をご使用になられて飼育されたのでしょうか?
また大体の管理温度の上限(MAX値)を教えてくださいませ。
マットや菌糸の種類によって、再発酵のしやすさやが違います。
またこの時期は、管理温度の上限によって再発酵しやすい温度帯もありますので、管理下の条件としてお教え頂ければありがたいです。
宜しくお願い申し上げます。
飼育日記担当:Shiho
Comment by tsukiyono — 2020年9月3日 @ 10:31 PM
Sunです。
返信ありがとうございます。
こちらのサイトが企業の方によって運営されているとは知らず、書き込みをしてしまいました。
申し訳ございません。
マットと菌糸瓶に関してですが、他企業のものを近所のペットショップにて、購入し使用しております。
その当時は知識が乏しく、店員さんに薦められたものを購入したので、下調べなしにヒラタクワガタに適したとされるものを使用しました。
温度管理に関してはMAX値が24度ほどですが、家庭の都合上、他の部屋を冷やさなければならない場合が多く21~22度ほどにまで下げ、エアコンを使用する場合もありました。
また、飼育しているリビングそのものが、直射日光を受けやすく、さらに熱を溜めやすい環境になっており、一番温度管理が可能ながらも暑くなりやすい場所で、特に8月中は先程提示した温度よりも高くなっていた可能性は十分にあったかと思います。
今日の朝、どうしても心配になり幼虫を取り出してみたところ、体が黄色味を帯び、全体的に一回りほど小さくなっていました。前ほどの活発さはなく、時たまもぞもぞと動く程度でした。
また、少し小さめ(判断はつかないですが)の蛹室のようなものも確認できました。その後もといた場所に戻し、菌糸瓶の蓋を閉めている状態です。
以上になりますが、こちらのサイトの認識を誤っていたこと、本当に申し訳ございません。
情報も少なく、判断材料に欠けると思いますが、もしアドバイスを頂けるのであれば、宜しくお願い致します。
Comment by Sun — 2020年9月4日 @ 10:16 AM
Sun さん
ご返信ありがとうございます。
弊社以外のマットや菌糸をご使用でしたら、成分内容などが詳しくは分からないので、それゆえ幼虫の成長度合いや、発酵するのに達する温度等のデータは、弊社の飼育用品とは異なる場合があると思います。
今回はあくまで弊社の菌糸とマットを使用したと仮定して考えてみると、もしかするとその幼虫は既に蛹化体勢に入っている可能性も考えられます。
幼虫が縮んだようになっているのは、「蛹化前の前蛹の状態」なのではないでしょうか?
私も過去に本土ヒラタ幼虫を飼育過程の中で、菌糸ビンに初令投入してから、約2か月半ほどで蛹化した経験がございます。(※この時の様子は、2017/1/17の飼育日記でご紹介しております。アドレスが長いですが、下記アドレスからその記事にリンク出来ます)
https://www.tsukiyono.co.jp/stag2/2017/01/17/%e6%9c%ac%e5%9c%9f%e3%83%92%e3%83%a9%e3%82%bf%e3%82%af%e3%83%af%e3%82%ac%e3%82%bf%e3%81%ae%e9%a3%bc%e8%82%b2-%e3%80%90%e5%b9%bc%e8%99%ab%e9%a3%bc%e8%82%b2%e7%b5%8c%e9%81%8e%e8%a6%b3%e5%af%9f%e3%80%91/
この時蛹化した幼虫は2頭いまして、どちらとも♀でしたが、♀ならば菌糸ビン飼育した場合、このように他では考えられないほど早く蛹化してもおかしくありません。
もし蛹化だった場合、そのまま動かさず蛹室を崩さないように見守ってあげれば、やがて蛹になってくれると思います。
実際見たわけではないので、あくまで推測になりますが、ご参考程度にして頂ければ幸いです。
宜しくお願い申し上げます。
飼育日記担当:Shiho
Comment by tsukiyono — 2020年9月4日 @ 4:18 PM
Sunです。
返信が遅くなってしまい申し訳ありません。
記事の方、拝見致しました。
まさに、記事にあるような、菌糸瓶上部のくびれの付近に、部屋を作っております。
他にも、蛹化までのスピードなど、様々なパターンが存在することなどが学べて、ありがたいかぎりです。
現在、これ以上の負荷をかけないよう、箱の中に安置しなるべく振動も避けるようにしております。
急な質問にも関わらず、情報も少ない中、ご丁寧に答えて下さり、ありがとうございました。
この先、どうなるかはわかりませんが、見守っていきたいと思います。
本当にありがとうございました。
Comment by Sun — 2020年9月9日 @ 11:24 PM