
最近の飼育日記では、飼育方法の紹介が減っておりましたので、今回からまた少しづつですが、様々な種の飼育方法をご紹介してみたいと思います。
今回はちょっとマイナーな種かもしれませんが、ブッダノコギリクワガタの飼育方法をご紹介してみたいと思います。
【個体参考画像:ブッダノコギリ♂】
【飼育種】
和名:ブッダノコギリクワガタ
学名:Prosopocoilus buddha
飼育方法もとても容易な種です。
幼虫飼育と産卵方法をご紹介します。
★★幼虫飼育★★
【お勧めのエサ】
菌糸、きのこマット、完熟マット
【飼育容器】
プリンカップ860㏄、ブロー容器500㏄程度、800㏄程度ボトル
【えさ交換回数】
途中1回程度(※マットの劣化や状況による)
【設定温度】
20~25℃前後
【羽化までにかかる時間】
2令投入して約5ヶ月(合計約6~9ヶ月)
※あくまで目安です。♂♀、管理環境(管理温度、飼育するエサ等)によって個体差があります※
幼虫飼育はとても容易な種だと感じてます。
菌糸(Basicでもelementでも可)でもOK。
マットでも弊社のマットでは、きのこマット、完熟マットでよく育ってくれます。
マットを入れる容器も 500cc程度もあれば十分。
より大型を作出させたいのならば、少し大きめの800㏄ボトル位を使うと良いと思います。
マットに劣化がなければ、2令投入位でほとんど羽化まで交換無しで羽化してくます。
管理温度は20~25℃程度 で管理。夏場の高温と冬場の極度の低温には注意が必要です。
では次に産卵セット方法についてご紹介してみたいと思います。
産卵セットはマットのみで産卵させるやり方と、材を入れたセット方法の2パターンがあると考えます。
★★産卵方法★★
<マットのみを使用した産卵方法>
【産卵に使用するオススメマット】
完熟マット、黒土マット
【産卵に使用するケース】
クリーンケースSS~S
【産卵管理温度】
25~27℃前後
【水分量(湿度)】
多からず少なからず
【セット方法】
ケース底面を深さ7割位で固く詰める。
残りの1割程度はフンワリと。
画像でちょっと分かりやすく順をおってみてみましょう。
産卵セットに使用するケースの準備。
今回はクリーンケースを使用します。
クリーンケース使用の場合は間に新聞紙を挟んでセット完了
セット方法を図示するとこのような感じです。
次に材を使用した産卵セット方法のご紹介です。
<材を使用して産卵セットを組む場合>
【お勧めのマット】
完熟マット、黒土マット
【お勧めの材】
コナラ、クヌギ、レイシ、カワラなど
【お勧めの容器】
クリーンケースS~M
【産卵管理温度】
25~27℃前後
【水分量(湿度)】
多からず少なからず
【セット方法】
ケース底面を固くつめ、材を入れ、その回りも固く詰める。
上部2~3cmほどは柔らかくマットを入れる。
少し材の頭が出るようにセット。
セット方法の具体例をご紹介してみます。
まずは使用する材を用意。
こちらはクヌギ材になります。
少し柔らかめの材がお勧めです。
材の皮は剥かない方もいらっしゃると思います。自然界では当然皮などは剥けていないので、より自然のままのセットをお好みの方はそのままセットするというやり方もありだと思います。
あくまで私のやり方ですが、私は材を水に浸す時、そこまで長い時間はかけません。
目安は水に浸している途中で材を取り出し、実際に持ってみて、重量的に十分に水分が含まれているかどうかをみて判断します。
実際に手に取って水分の染み込み具合を確認します。
これは感覚的なものなので、どれ位とご紹介するのはとても難しいです。
もし敢えて時間的に言うならば、あくまで私のやり方になりますが、早くて5分、長くても10分位といったところでしょうか。
これも私的にはあまり時間はかけません。
元々長く水に浸していませんので、陰干しもごくわずかの時間です。
敢えて時間的に言うならばやはり5~10分程度でしょうか。
次にマットを準備します。
今回は材に産ませるようにセッティングしますので、マットはある程度なんでも可能ですが、幼虫が材から出て来て、こぼれ落ちてしまった場合、マットでも食せるように敢えて発酵マットを使用します。
弊社のマットでのお勧めは、完熟マット、黒土マット。
材を入れます。今回は2本のクヌギ材です。
マット産みの傾向も強い種類では、材の横より下の隙間もマットを固く詰めると良い傾向があります。材に気に入らなればマットにも産んでくれますので・・・。
後は親♀を入れフタをします。
今回はコバエシャッターを使用してみました。
セット方法を図示すると以下の様な感じです。
(※図では2本の材は平行セットになっていますが、Tの字でセットでも構いません。)
産卵セッティングに関しては上記の2パターンのいずれかでセットを組めば大丈夫だと思います。
私は主にマットのみの産卵で行っていました。
ただ他の人に聞いてみると材を入れた方が良いという方もいらっしゃいました。
♀によってはマット産みを好む個体、材産みを好む個体がいるようです。
材を入れて産卵させる場合、材は柔らかめの材を使用する事をお勧めします。
特別難しい種ではありませんが、一つだけ私が感じたことは、ペアリング(交尾)の際の♀殺しが少なからずありましたた。
小型のノコギリですが、結構気も荒いので、交配の際にはその点を注意してやることも必要かと思います。
皆さんも是非飼育に挑戦してみては如何でしょうか?(^^)
※ この日記で紹介したやり方や考え方はあくまで私:Shiho個人の考え方によるもので、それを押し付けるものではございません。あくまでご参考程度にご覧頂ければ幸いです ※
※ この飼育日記では過去にも同じ種類について飼育方法をご紹介しておりますが、過去で取り上げたデータと新しく公開したデータとでは、エサの種類、管理温度、羽化までにかかる日数などに差異が見られる場合がございます。
これは飼育をやりながら、私個人のやり方や考え方が変化しているということですので、今現在での私のやり方や考え方を参考にして頂くならば、一番最新の日付のデータをご参考にして頂けますと幸いです。ご了承下さいませ m(_ _)m
使用したアイテム
Basicシリーズ(菌糸ビン・菌床ブロック), Basicプロテインゼリー(昆虫ゼリー), Elementシリーズ(菌糸ビン・菌床ブロック), Naturaシリーズ(菌糸ビン・菌床ブロック), きのこMat(昆虫マット・発酵マット), 完熟Mat(昆虫マット・発酵マット), 産卵木, 飼育ケース, 黒土マット(昆虫マット・発酵マット)
2020年1月9日
カテゴリー
使用したアイテム
Basicシリーズ(菌糸ビン・菌床ブロック), Basicプロテインゼリー(昆虫ゼリー), Elementシリーズ(菌糸ビン・菌床ブロック), Naturaシリーズ(菌糸ビン・菌床ブロック), きのこMat(昆虫マット・発酵マット), 完熟Mat(昆虫マット・発酵マット), 産卵木, 飼育ケース, 黒土マット(昆虫マット・発酵マット)
関連タグ
コメント[0]
ブックマーク・共有

昨年の2019年、梅雨前~秋口に至る約6ヵ月間に渡り野外採集を楽しませて頂きました。
そして今年も沢山のクワガタ、カブト達に巡り会うことが出来ました。
その中でも思い出深い個体、
【ミヤマクワガタ雌雄同体(モザイク)個体】
【ミヤマクワガタ♂77.0mm】
この個体達も寿命を全うしたので、想い出標本として残す作業を行いました。
この標本作成作業をしてくれたのは、月夜野スタッフの坂上氏。
作業段階での製作途中での様子画像はありませんが、
それぞれ綺麗に展足、ラベル作成も終わり、
ドイツ箱に収めて完成!!!
おおお、凄い!
かなり立派に出来上がりました!!
今年もこんなクワガタ達とまた出逢いたいものです^^
※ 標本の作り方や展示方法(ラベル表記等)は月夜野きのこ園のオリジナルによるものです。あくまでご参考程度にご覧頂ければ幸いです※
使用したアイテム

新年あけまして おめでとうございます!
皆様、お正月は如何お過ごしになられましたでしょうか?
本日(1/4)より月夜野きのこ園も仕事初めとなります。
この飼育日記も2003年より初めて、今年2020年ですから、なんと17年目になります。
結構長く続けているものだなぁ・・・と我ながら思っております。
今年も野外採集記事、イベント開催記事、飼育記事、質問内容の返答記事など、月夜野きのこ園に関する情報を盛りだくさんに詰め込んでご紹介出来ればと思う次第です。
今回はまずはご挨拶だけの文章になりますが、今年も月夜野きのこ園並びに、当飼育日記もどうぞよろしくお願い申し上げます。
飼育日記担当:Shiho
使用したアイテム

早いもので、もう年末。
今年も色んな出来事がありました。
【6/19:クワガタワイワイイベント】
盛り上がったクワガタワイワイイベント!
残念ながら私は不参加になってしまいましたが、来年は皆さんとまたご一緒できればと思っております。
【6/20:雌雄同体(モザイク)ミヤマクワガタ採集】
野外採集個体での雌雄同体(モザイク)ミヤマクワガタを採集!
長い採集人生で初めてのことでした。
【7/2:ミヤマクワガタ♂77.5mm 採集】
【7/14:ミヤマクワガタ♂77.0mm採集】
超特大の77mmUPミヤマクワガタとも一シーズンで2回も出逢うことが出来ました。
その他、多数の野外のクワガタ達とも出逢えることが出来ました。
【7/20~21:世界のクワガタカブト大集合イベント】
毎年恒例の夏のイベント:世界のクワガタカブト大集合、今年も沢山のお客様にお越し頂きました。
本当にありがとうございました!!
【7/22:NHK群馬放送テレビ収録】
群馬に来ると、毎年何かしらのテレビの収録があるのですが、今年はNHK群馬放送「ほっとぐんま」という番組内で流されるテレビ放送の収録がありました。
今年も振り返れば、沢山の想い出が出来ました。
微力ながら、来年はまた今年以上にクワガタ界を盛り上げて行けれればと思う次第でございます。
本日12/27とまだ少し今年も残っておりますが、月夜野きのこ園は本日で今年の仕事納めとなります。
年末年始は、
12/28~1/3:休業
1/4:仕事初め
のスケジュールとなっております。
今年も月夜野きのこ園並びに、当飼育日記をご覧頂きありがとうございました。
また来年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
では皆様、良いお年をお迎え下さいませ。
m(_ _)m
月夜野きのこ園スタッフ一同
使用したアイテム

前回に日記では横に蛹室を作る種用の人工蛹室の作り方をご紹介しました。
ですが、一部のカブトムシ種などには縦長に蛹室を作るものもあります。
【縦に蛹室を作った国産カブトムシの蛹】
国産カブトムシやヒメカブト種などが該当します。
今回はそういった縦長に蛹室を作る種用の縦長人工蛹室の作り方についてご紹介してみたいと思います。
作成する媒体は園芸用スポンジが一般的ですが、今回はトイレットペーパーの芯を使った作成方法をご紹介します。
まず、トイレットペーパーの芯とティッシュ、クリーンケースsサイズを用意。
トイレットペーパーの芯を約半分にカットします。
カットする長さは幼虫がはみ出ない程度でよいと思います。
カッターよりもハサミの方がやり易いじゃないかと思いました。
クリーンケースsにティッシュを2枚敷いて、 軽く、霧吹きで2,3回ふきます。
前蛹、幼虫をそっと持ち上げて、
丁寧に芯の中に移動させます。
ティッシュに加水したクリーンケース に入れます。
横からそっと、縦に置きます。
大き目の幼虫には芯をそのまま切らずに使いました。
こちらも、横から入れて、縦に置きます。
トイレットペーパーの芯がずれないように固定します。
今回はあまってた芯を詰めて固定しました。
前蛹や蛹も動きますのでトイレットペーパーの芯がずれないように上に何か重石を置くことをお勧めします。
フタとケースの間に新聞紙を挟んで出来上がりです。
無事に羽化してくれる事を願います。
如何でしたでしょうか?
この縦長の人工蛹室作成方法は、月夜野きのこ園:HPの「クワガタ・カブト飼育実験」のコーナーでもご紹介しております。
今回はトイレットペーパーでの作成をご紹介しましたが、園芸用スポンジで作成されても勿論問題ありません。
【参考例:園芸用スポンジで作成した縦長カブトムシ用の人工蛹室:真上から見た様子】
作り方や考え方は人それぞれです。
今回ご紹介したやり方、考え方はあくまでも月夜野流ですので、ご参考程度にご覧頂ければ幸いです。
※やり方には色々な方法があると思います。今回紹介したのははあくまでも私Shihoの考え方による管理方法についてのやり方&見解です。 あくまでご参考程度にご覧頂けますと幸いです。
使用したアイテム

今回は前回の続き、
「人工蛹室」の作り方についてご紹介したいと思います。
※ 今回の記事は以前にもご紹介しております。重複引用しますことをご了承下さいませ※
クワガタ、カブトムシの幼虫を飼育していて、幼虫の状態が終盤を迎えた時、幼虫は蛹になる為に蛹室(ようしつ)というものを作り出します。いわゆる蛹の部屋です。
何かの理由で、自力で蛹室が形成出来なかった場合の対処方法として、いわゆる人工蛹室への移行させるという方法があります。
人工蛹室に幼虫を移し替えるには2つのタイミングがあります。
・前蛹状態での移し替え
・完全に蛹になってからの移し替え
です。
完全に蛹になってからの移し替えは比較的楽ですが、前蛹状態での移し替えの場合は、タイミングが重要になってきます。
一番重要なのは、完全に前蛹状態になってから移し替えることです。
前蛹の場合、完全に前蛹状態になると、幼虫の頭(アゴ)と手が完全に固まります。
人工蛹室に移し替えるならばこの状態で移し替えないといけません。
もし頭(アゴ)と手が完全に固まってしまう前に人工蛹室に移し替えてしまうと幼虫はまだ動けますので、その人工蛹室をバラバラに壊してしまう可能性があります。
なので、完全に固まってから移行する。これが私なりに思う鉄則だと考えています。
下の画像が前蛹、手と口が完全に固まった状態です。
この状態のようになってから移行させるのがベスト!
参考例:ヘラクレスの前蛹
では次にその移行させる人工蛹室ですが以下のようなものを準備して下さいませ。
※人工蛹室を入れる容器はプリンカップや飼育ケースなど様々です。あくまでも人工蛹室のサイズに合わせたサイズのものをご用意下さいませ。
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
スプーン | 園芸用スポンジ | 大きめプリンカップ等 | カッター |
【1】
ホームセンターや園芸店で売られている生花やフラワーアレンジ用の
園芸用スポンジを前蛹や蛹にあわせてカットします。
【2】
人工蛹室の大きさをある程度に決め、スプーンを使いあとをつけます。
幅の目安は蛹の幅の約1.3~1.4倍です
【あくまでの一例】
2cm(蛹の幅)×1.3 = 2.6cm
【3】
枠を決めたらスプーンで掘っていきます。
【4】
向かって左が「あたま」になります。
「あたま」上に少し傾斜をつけ「おしり」の方を少し深く掘り下げます。
【5】
水分を含ませ削った面を「指のはら」で
やさしく擦り表面を滑らかにします。
最後に水ですすげば人工蛹室の完成です。
【6】
前蛹を入れた様子。
【7】
蛹を入れた様子。
【8】
プリンカップなどの容器に入れ
通気用に穴を開けたフタをし管理します。これで完成です。
次にクワガタではなく大型カブト、ヘラクレス用の人工蛹室をご紹介します。



あくまで私の作り方ですが、私の場合、ヘラクレス用の人工蛹室は「あたま」側の返しを作らず、角が引っかからない様に作ります。 頭側を高くし角度をつける事と、同じく頭側に返しを作らない事で角曲がりを軽減する事ができます。
※ヘラクレスの人工蛹室は大きい為、プリンカップではなくプラスチック容器を使用します。あくまで人工蛹室に合わせた容器をご用意下さいませ。
如何でしたでしょうか?私の場合、上記のようなやり方で人工蛹室を作成しております。
本当は幼虫自らが作成した蛹室に勝てるものはないのですが、何らかの理由によって作成した人工蛹室が不完全な場合もあります。
そういう場合に上記のような人工蛹室を作成し利用するというのも有効な手段の一つだと考えております。
今回ご紹介しました人工蛹室の形状等はあくまでも私のやり方なので、ご参考程度にご覧いただければ幸いです。(^^)
また今回ご紹介したのはヘラクレス等のように横に蛹室を作る用の人工蛹室です。
国産カブトムシやヒメカブト種などは縦長に蛹室を作りますので、人工蛹室の作り方もまた変わってきます。
これはまた次回にご紹介してみたいと思います。
※ここでご紹介させて頂いた考え方や飼育方法はあくまで私Shiho個人のやり方&考え方であってそれを押し付けるものでは御座いません。あくまでもご参考程度にご覧頂ければ幸いです。よろしくお願い申し上げます。
使用したアイテム

先日お客様より、
「大切に飼育して来た、ヘラクレスオオカブトが角曲がりになって羽化して来た」
とのお嘆きのお声をお聞きしました。
幼虫期間の長いヘラクレスオオカブト、管理温度によっては2年近く時間がかかる場合もあります。
その長い間、天塩にかけて育てて来たものが、角曲がり個体や羽化不全個体だと悔やんでも悔やみきれません。
かくいう私もかなりの数の角曲がりヘラクレスを羽化させた失敗例がございます。
今回の日記では、なぜ角曲がり個体になってしまったのか?
その原因と対策を私:Shihoの個人的見解では御座いますが、ご紹介してみたいと思います。
あくまで私:Shihoの飼育方法ですが、ヘラクレス種♂の場合、私はクリーンケースS程度の容器に入れて蛹化させます。
とても小さなケースですが、数やスペース的に考えるとこの方法が一番効率が良いからです。
※ もちろん大きなケースで管理すればするほど角曲がりの可能性は低くなると思われます※
その場合、幼虫がケースの長い部分や対角線状にキレイに蛹室を作ってくれれば、蛹室の形状としてはほぼ成功と言えます。
図的に説明してみると、

ケース底面の図

側面から見た図
小ケースや中ケースで蛹室を作った場合、ほとんどがケース底に作りますので蛹室の形がケース底から見えます。
両側面からみて蛹室の窓の様な空間が見えず、長い方向に作った場合には、幼虫が作った蛹室をそのまま使います。



側面から見た図
蛹室をケース底見て片寄った場所に作った時には大抵側面から蛹室の窓の様な空間が見えます。
その場合には角曲がりになってしまう可能性が高いので人工蛹室へ移し角曲がりを防止すると良いと考えます。
では、ここで実際の様々なパターンの蛹室画像がありますので、ご紹介してみたいと思います。
※ケースの対角線状に蛹室を形成した蛹室の成功例※
きちんと角曲がりなく羽化して来てました。
※ケースの長い方向に平行に蛹室を作った成功例※
こちらは蛹ですが、角曲がりなく綺麗に蛹化しております。
ただいつもこう上手く蛹室を作ってくれるわけではりません。
というか、このように上手く作ってくれる割合の方が低いと思います。
では、そのダメな蛹室はどのようなものなのか?
その例がこちら、
狭い窮屈な部分に不完全の蛹室を作ってしまいました。
ケース側面から見ると、まん丸の「窓」のような空間が出来てしまっています。
本来ならば、もっとその先に蛹室の完全体を作りたかったのに、製作途中でケース側面に突き当たってしまったため、その先が作れず窓のようになってしまったんです。
このように側面から「窓」のような空間が見えるように蛹室を作ってしまうと、高確率で角曲がりになる可能性が高くなります。
そして上記蛹室より実際に羽化して来た個体が、
こちらの個体になります。
胸角が先に伸びきらず見事な角曲がりとなってしまいました(泣
過去にも沢山角曲がり個体を出して来ました。
【ヘラクレス・オキシデンタリスの角曲がり個体】
【ヘラクレス・レイディの角曲がり個体】
体長100mm程位しかない小型のレイディでさえ蛹室の形状が悪いと角曲がりになってしまいます。
こちらの幼虫(前蛹状態)も不全的な蛹室を作ってしまっています。
側面から見ると、やはり「窓」のような空間を作ってしまっています。
これではこのまま蛹化した場合、蛹化不全(角曲がり)になる可能性はかなり高いと言えます。
ではどうするのか??
対策方法としては、前蛹状態になってから人工蛹室に移行させてやることをお勧め致します。
【ヘラクレス用の人工蛹室作成例】
人工蛹室に移したから100%大丈夫だとは確言は出来ませんが、そのまま蛹化させるよりもリスクは少なくなると考えています。
こちらの蛹室は、やはり狭い部分に作ってしまいましたが、よく見ると「窓」が出来ていません。
これならば蛹化した時、角曲がりの蛹になる可能性は低いと思われます。
一応成功例の蛹室だと思います。
さて、移行させるための人工蛹室ですが、今回はここまでで既にかなり文章が長くなってしまいましたので、人工蛹室の作り方については次回の日記でご紹介したいと思います。
※ 今回ご紹介した考え方ややり方はあくまで私:Shiho個人の考え方によるものです。人それぞれやり方も考え方も違うと思いますので、あくまでご参考程度に読んで頂ければ幸いです。ご了承下さいませm(_ _)m ※
使用したアイテム

先日、お客様とお話している時に♂と♀の交尾時期のタイミングについてご質問がありました。
この手の質問は結構よくあります。
以前もこの日記でご紹介しましたが、今回は再度ご紹介してみたいと思います。
【交配中のゴロファ・ピサロ】
クワガタ、カブトムシを飼育していて、同じ兄弟同士の配合で次世代を作出しようとする際に、♂と♀の交尾可能なタイミングが合わず、繁殖が難しくなってしまったケースが良くあります。
♂と♀の羽化のタイミングが同時期に合致しない事、そのことを私達は
羽化ズレ(うかずれ)
と呼んでいます。
今回はその羽化ズレをいかに少しでも防止するか、あくまでも私:Shihoの個人的な考え方&やり方では御座いますが、その対策方法等をちょっとご紹介してみたいと思います。
※ この内容は過去の日記でもご紹介しております。文章が重複しますことをあらかじめご了承下さいますようお願い申し上げます※
ブリードもの(養殖もの)においては、同じ環境&エサで飼育した場合、♀が♂よりもかなり早くに羽化してしてしまう場合があります。
特に♂が大型に成長するようなものについてはかなりのズレが生じるようです。(例:オオヒラタクワガタやヘラクレス等)
この場合の対策・・と言ってよいのか分かりませんが、私は以下の方法をとることがあります。
①温度差のメリハリをつける事
幼虫飼育時、♂♀の判別が出来るようになったら♂と♀の飼育環境の温度設定に差をつけるというやり方です。
♂を高めの温度の所に置き、♀を低めの所に置く
【具体例】
オオクワガタ♂:25℃管理
オオクワガタ♀:20℃管理
幼虫飼育の場合、管理温度の変化をつけることによって、幼虫の成長曲線は多少なりとも変わってくる傾向があります。
この方法を取ると、高温の場所に置いた幼虫は早く成長し、低めの幼虫はじっくりと時間をかけて成長し羽化する傾向があります。
この成長のスピードを利用したのがこの方法です。
※置き方によっては上と下の部分でかなり差が出る場合もある
※ 温室内でも上の方、ヒーターに近い部分などでは差が出ることも
しかしこれにはデメリットも存在します。
♂を高温でいち早く羽化を急がせた場合、♂の羽化体長はそこまで伸びません。あくまで繁殖専用の♂を作るという意味合いが強くなるような気がします。
体長よりもまずは次世代へのバトンタッチを優先を考えている方には良いかもしれません。
②孵化日の違う♂♀で繁殖を考える
早くに孵化した♂幼虫と、遅くに孵化した♀幼虫で羽化までの時間の差を合わせる
【具体例】
♂幼虫:1月に孵化~10月に羽化
♀幼虫:4月に孵化~10月に羽化
このような感じです。
これは同種であれば別血統(違う親♀)でもよいですが、その場合アウトラインブリードになってしまいます。
血の混濁などを考えると、本来はアウトラインブリードの方が望ましいのですが、同じ親♀(インラインブリード)でやるとすれば、産卵のセット時期をずらし、1回目の産卵セットと2回目の産卵セットの時期をずらすと良いでしょう。
ただ同じ親♀だと寿命もありますので寿命の短いものだと時間をずらした再セット方法は結構厳しい場合がありますので飼育する種類によっては注意が必要です。例を挙げると、パプキン等がそれに当てはまると言えるでしょう。
③♂♀幼虫を同じ容器内で羽化させる(多頭飼育)
※多頭飼育とは一つのケースで複数の幼虫を育てる事
これは昔から言われている方法のひとつですが、幼虫は複数での多頭飼育の場合、近くの幼虫が蛹化の準備を始めると、それに反応して自分も蛹化の準備を始めるという説です。
幼虫同士が同じ容器内で会話とは違う違う信号を出し羽化を合わせているとい説があります。
私もこの方法をやってみた事がありますが、正直実際には上手くいくものと、いかないもの、結果的にはバラバラでした。
しかも残念だったのは羽化時期が合った♂はかなり小型ばかりが羽化してしまい、ボリュームのある♂を求めるにはちょっと厳しい結果になりました。
上記の結果を見て思ったのは、本当は♂♀幼虫が信号を出して羽化を合わせているのではなく、小型の♂ばかり羽化してしまうから偶然にも♀との羽化時期が合ってしまうのではないかということでした。
この件に関してははっきりとしたことは断言出来ないという事が正直な感想です。
如何でしたでしょうか?
今回羽化ズレ対策の具体案として、3つのやり方を書きました。
正直なところ、上記のやり方を実践すれば、絶対うまくいくとは言い切れません。あくまで私が行っているやり方ですので、ご参考程度に聞いていただれば幸いです。
また本当ならば同血統、同兄弟同士の交配、いわゆるインラインブリードはあまりお勧め出来ません。
好みの形を子孫にも維持(遺伝)させる為にはインラインブリードはとても有効な手段ですが、近親交配なので血が濃くなってしまうというリスクがあります。
同血統同兄弟同士で累代を重ねていくと、どんどん血が濃くなりますので、蛹化不全、羽化不全、産卵数減少などといった障害が次第に多くなってきます。
健康をまず第一に考えるならば異血統、異兄弟同士のアウトラインブリードが無難といえるのではないでしょうか。
ご参考程度に聞いて頂ければ幸いです。
※ 今回ご紹介したやり方や考え方はあくまでも私:Shiho個人の見解であって絶対にこうだというわけでは御座いません。やり方は人それぞれですので、あくまでもご参考程度に読んでいただければ幸いです。ご了承下さいませ。
使用したアイテム

前々回の日記で「露天掘り(ろてんぼり)」とはどういうものなのか?
というお客様のご質問に対して実際の露天掘り画像をご覧頂きました。
では今回は、その露天掘りのやり方について手順を追ってご紹介してみたいと思います。
【露天掘りのやり方】
まずは、露天掘りを決行するに至った容器の管理状況についてご紹介。
1500㏄程のブロー容器に、ヘラクレス♀幼虫をきのこマットを入れて管理していました。
マットも少々劣化してきたようなので、そろそろ交換時期かと思っていた際に側面に窓のようなものが出来ているのを発見!
底面から確認してもお分かりにように完全に蛹室。
既に蛹化も完了している状態に見えました。
マット劣化も進んでいたので気になり露天掘りを決行することにし、内部の様子を確認することに。
【手順】
容器の蓋を開け、ケース側面と底面から見える蛹室の位置より蛹室の場所を特定します。
次に少しづつスプーンのようなもので、削っていきます。
あまり力を入れてやってしまうと、中は空洞になっているので蛹を傷つけてしまう場合がありまうので慎重に行います。
すると、蛹室の上部が開き、蛹の一部が見えました。
全体を確かめるために上部分の方だけマットを剥がします。
この時、あくまでも上部分だけを剥がして下さい。
側面まで崩してしまうと、羽化する際に蛹室横の引っ掛かりが無くなるため、起き上がりにくくなる場合があります。
そうなると蛹室の機能が損なわれ、人工蛹室に移動させなければならない場合も起こる可能性も出てきますのでご注意を!
蛹自体を上部よりそっと取り出してチェックしました。
マット劣化の影響もなく、見た目良い感じの蛹だと思います。
実際、この後このヘラクレス♀は無事に完品で羽化してくれました^^
本来は生体自体が作り出す蛹室形状が一番なので、そのまま触らずにしておくのが一番良いですが、止むおえない場合は露天掘りを決行せざるおえない状況もあります。
その際、露天掘りにもメリット、デメリットがあると考えます。
【メリットの一例】
・入れているマットや菌糸の状態が、水分過多や劣化等で蛹室内の湿度が高すぎる場合に露天掘りをすると湿気を逃がす事が出来ます。
・形成した蛹室の形状が悪く、このままでは蛹化時もしくは羽化時に不全を起こしてしまうのではと思われる場合、露天掘りにする事によって蛹室の様子をチェックできます。最悪の場合は人工蛹室に移行させる。
【デメリットの一例】
・蛹室内の乾燥
・露天掘りした蛹室内にマット破片などが落ちてしまう。
特に乾燥については蛹室がむき出しになっているので気をつけます。蛹といえど水分は必要ですので・・。
後は周りのマットなどが露天掘りした蛹室内に落ちて来ていないか・・。このようなチェックも行います。
破片があると、蛹化時や羽化時の柔らかい身体に当たってしまい、その部分がシワやディンプルなどを引き起こす可能性がある場合があります。
そのまま蛹室内に戻す時には、崩れたマットの破片がある場合には取り除き、水分等が溜まっている場合にはテッシュペーパー等で吸い取るなどをして蛹室内を綺麗にしてからもどしてやると良いと思います。
また、マットがコバエの幼虫などによって劣化している場合は、マットはどんどん劣化していきますので蛹室周りのマットが劣化していくようであれば、思い切って人工蛹室への移動をお勧め致します。
如何でしたでしょうか?
上記が私が行っている露天掘りのやり方、そして気を付けている注意事項です。
上記でも書きましたが、本来は生体が自ら作り上げる蛹室が一番良いのでそのままにしておくのがベストなのですが、何だかの理由でチェックしておきたい時にはこのように行っております。
あくまで私個人の考え方ややり方ですので、ご参考程度に読んで頂ければ幸いです。
※ 今回ご紹介した考え方ややり方はあくまで私:Shiho個人の考え方によるものです。人それぞれやり方も考え方も違うと思いますので、あくまでご参考程度に読んで頂ければ幸いです。ご了承下さいませm(_ _)m ※
使用したアイテム

昨日、山に散策に行って来ました。
今シーズン 5月~11月と約半年に渡り山に通っていた慣例はそう簡単には抜けきれないもので、先月採集納めをしたばかりだというに山の様子が気になっていました。
今回はその山散策のご紹介です。
【12/4の山散策】
山へ行く途中、
綺麗な紅葉がまだ残っていました。
とっても綺麗ですね~!
癒されます!
いつもの採集ポイントに到着してみると、
こちらは細いクヌギの木。
まだかろうじて葉が残っているものの、何とも寂しいお姿になっております。
木を蹴っても・・・当然のように反応なし・・
夏にはクワガタがよく入っていたウロも・・
何も見つかりません・・・。
まぁこの時季、クワガタがいることの方が珍しいんですが、やはり採集人の慣例なのか、木を見つけると、ついついクワガタを探し求めてしまいます💦
この時季は寒いのもありますが、山の空気が澄んでいてとても気持ちが良いです。
ふと地面を見てみると、
まだ実が入っている栗を見つけました。
もうこの時季はほとんどの栗の実はもう跡形もなく残っていないのですが、幸運にも一粒だけ残っていました。
柿の実もまだ残っていましたね~。
渋柿っぽいですが、もう既に完熟しているので甘くなっていることでしょう。
熟した柿はカラス達の大好物なので、じきに無くなることでしょう。。
こちらはフユイチゴ。
名前の通り冬に熟する野イチゴの一種で、こちらは今が旬らしいです。
少し食させて頂きましたが、甘酸っぱくてなかなか美味しかったです^^
このような感じで冬の山を散策させて頂きました。
クワガタはおろか、他の昆虫達の姿もほとんど見かけることが出来ませんでしたが、山のマイナスイオンに触れて心も身体もリフレッシュさせて頂きました。
山の神様ありがとうございました^^
またよろしくお願い致します m(_ _)m
※この採集方法はあくまで私自身のやり方です。
人それぞれによって採集方法や採集条件などは異なると思います。あくまで参考として見ていただければ幸いです。
※採集はマナーが大事です。採集する場所が私有地の場合は、無断では入らないようにしましょう。必ず持ち主さんに断りを入れるのは必須です。あと、虫が木の穴の中に入って採れないからと言って、木を切ったり、傷つけたりするのも好ましいとは言えません、自然にやさしく、モラルを守って採集を楽しみましょう。
また外国産や離島産等のその土地にいないクワガタカブトムシの放虫は厳禁です!
もともとその土地に根付いて生息している昆虫達の生態系を壊す原因になりかねませんので、意図的な放虫は止めるよう心がけましょう。
使用したアイテム
最近のコメント