
今回はカルコソマ属のアトラスオオカブトの飼育方法についてご紹介したいと思います。
夏になるとデパートやホームセンターでも気軽に見られるようになったアトラスオオカブト。この種は産卵&幼虫飼育共に非常に容易な種です。今回はアトラスオオカブトの中でも、一番多く見られるスマトラ島産のアトラスオオカブトをご紹介します。
【飼育種】
和名:アトラスオオカブト(スマトラ産)
学名:Chalcosoma atlas atlas
ではまずは幼虫飼育から見ていきましょう。
<幼虫飼育>
【お勧めのエサ】きのこマット、完熟マット
【使用した容器】1400cc~1800ccボトルの空容器
【えさ交換回数】途中2~3回程度程度
【設定管理温度】25℃前後
【羽化までにかかった時間】初令投入~合計約11~12ヶ月
幼虫飼育は容易な種です。1400~1800cc程度の容器にマットを入れて育てます。体が大きくなってくると糞が目立ってくるのでその際はエサ交 換をします。蛹室も横に作り、1400~1800cc容器程度の大きさならば問題なく無事羽化出来るでしょう。より余裕を持って飼育したい方はクリーンケースSあたりあれば十分でしょう。
<産卵セット方法>
【産卵セット内容】
【お勧めのマット】、黒土マット、完熟マット
【セット期間】
・採卵の場合:2~3週間ごとに採卵
・自然放置の場合:開始~約2ヶ月半日間
【使用するケース】クリーンケースL程度
【設定温度】25℃前後。
【産卵セットの内容】ケースの7割程度をほんのり固く詰める。残り2割程度はふんわりと。
水分量:適量(握って水が染み出ない程度)
図示すると以下の様な感じになります。
産卵の方法には、採卵する方法と、自然放置の方法があります。私は主に採卵する方法を行っています。産卵セット開始してから2~3週間ごとに割り出して卵を回収する方法です。
【採卵した卵の管理方法】
上記のようにケースに穴をつくって卵を落とし込み、その上をマットで軽く覆います。あとは孵化を待つのみです。管理温度は25℃前後にして管理しています。有精卵ならば孵化率も悪くなく結構沢山の幼虫が取れます。
採卵しない場合は、セット開始して約1~2ヶ月もすればケース側面や底面などに幼虫が見えてきます。沢山幼虫が見えてきたら回収しましょう。
また産卵セットを組んでいる期間中に♀が頻繁にマット上面に上がって来ていてなかなかマットに潜らない場合は、もしかすると既にマット中には卵を沢山産卵しており、もう産む場所がないので、仕方なく上がって来ているのかもしれません。
そういった場合は、産卵セットを別にもう一セット作って♀を再度産卵セットに移動させ、産卵をさせてやるなどして対応しましょう。
如何でしたでしょうか?外国産カブトの中で入門種としても最適なアトラスオオカブト。幼虫飼育も産卵も容易な種ですので、是非機会がありましたらチャレンジしてみて下さいませ。(^^)
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さぁ、いよいよ今回より2015年度の野外採集(昆虫採集)の様子をご紹介していこうと思います。
2015年クワガタ野外採集記(昆虫採集記)シリーズ。
第1回目のご紹介です。
いよいよ出発です。
時間はAM:8:00頃、ちょっと遅めの時間帯ですが、今朝はよく晴れています。
おっとその前に、
これは私が毎年行っている事なのですが、その年の採集の初めと終わりには必ずその採集ポイントの土地の山の神様に挨拶するようにしています。
ほんの気持ち程度の少量の清酒ですが、山の神様に届くように大地に染み込ませます。
「山の神様、今年もどうぞよろしくお願い致します」
さて、気を取り直して樹を見てみましょう。
樹液は少しですが、出ています。しかし、何もいないようですね。
ヒラタクワガタ♂が採れました。記念すべき今年の初採集個体です。
小さいですが、それでも立派なヒラタクワガタです。ボディの艶が光ります。体長は小さく30mm程度。
取り出してみると、
コクワガタ♂でした。体長は35mm程度。先程採集したヒラタクワガタ♂よりも大きいです。立派な大歯個体ですね。
要注意の危険生物の一つ。スズメバチがいました。大きいです。オオスズメバチでしょう。私は基本的にスズメバチがいたらその樹はスルーするようにしています。今の時期はまだそこまで気が荒くないので、多少近づいても襲っては来ませんが、それでも注意は必要です。ハチは黒っぽいものに襲ってくると聞きます。黒い帽子や髪の毛などは黒いので、なるべく白っぽい帽子をかぶるなどして対策をしましょう。
要注意の危険生物、その二弾。ムカデです。このムカデは樹を蹴ったら上から落ちてきました。結構大きく20センチ近くあります。幸いそのまま下に落ちましたが、落ちて来たその下にいたと考えたらぞっとします。帽子や首をまくタオル、長袖シャツは必需品です。
何かが樹を上っている、と思ってみたらオサムシ?系の昆虫でした。
それにしても、やっぱり山は気持ちがいいですね。空気もうまいですし、とても落ち着きます。
マイナスイオンをたっぷり吸いこんで今年最初の野外採集を3時間ほど楽しみました。結果はコクワ、ヒラタが計15頭ほど、まだまだ発生も少なく数は採れませんでしたが、とてもすがすがしく楽しかったです。採集はいいですね。また次回採集もご紹介したいと思います。(^^)
※この方法はあくまで私自身のやり方です。
人それぞれによって採集方法や採集条件などは異なると思います。あくまで参考として見ていただければ幸いです。
※採集はマナーが大事です。採集する場所が私有地の場合は、 無断では入らないようにしましょう。 必ず持ち主さんに断りを入れるのは必須です。あと、虫が木の穴の中に入って採れないからと言って、木を切ったり、 傷つけたりするのも好ましいとは言えません、自然にやさしく、モラルを守って採集を楽しみましょう。(^^)
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6月に入り、クワガタの野外採集シーズンが本格的に突入です。今年も野外採集の様子をお伝えしていきたいと思います。
今までは比較的寒さに強い、コクワ、オオクワ、ヒラタ、スジクワ、ネブトなどの黒系のクワガタは活動を開始していましたが、6月に入ると、ノコギリやミヤマクワガタもいよいよ本格的に発生の時期を迎えます。今年はどんな虫と逢えるか、とても楽しみです
さてその前に、今年初めて昆虫採集を行う方の為に、昆虫採集時にどんな道具を準備していけばいいのかをご紹介したいと思います。勿論既にそんなことはご承知の方々が大多数だとは思いますが、ここはご勘弁して敢えてご紹介させて下さいませ。よろしくお願い致します。
昆虫採集・・・う~ん聞いているだけで楽しくなってきますね。実際とても楽しいのですが、昆虫を採集する時、皆さんはどうやって捕まえますか?
そのまま素手で捕まえるという方もいらっしゃるでしょう。それはそれで十分よいのですが、採集するにあたり、少しの道具を使うことでより捕まえやすく、かつ安全に採集することが出来ると考えます。
今回ご紹介するのはあくまで私個人:Shihoの使用している道具等です。勿論人によっては自分に合った様々な道具が存在すると思いますので、あくまでご参考程度に読んで頂ければ幸いです。
<服装・身なり>
まずは道具というより、身に着けるものからご紹介したいと思います。
これはもう常識ですよね。自然の中には色々な虫がいます。人間の体に害を及ぼす虫も沢山存在するわけです。最近特によく聞くのが「マダニ」です。勿論マダニ以外にも蚊やアブ、ヒル、ハチ、など沢山の虫が寄ってきます。
そして虫だけではありません。草むらや木に登ったりする際に、身体を傷つける野バラや葉っぱ、木切れなど沢山の危険なものがあります。
また画像の服は少し黒っぽい服ですが、可能ならば白色に近い服だとより良いと思います。黒っぽい服はハチに狙われやすいと聞きます。
こういったものから少しでも身体を守るために肌を表に出さないように装備して出かけましょう。
・帽子
帽子、夏の山には必需品です。夏はとても日差しが強くなります。最近は夏になるとよく熱中症で病院に運ばれる方が多数いらっしゃいますので、しっかりと帽子をかぶって対策をしましょう。また帽子は日差し対策だけではなく、頭を防護してくるという役目ももっています。
・手袋
手袋、これも必需品ですよね。野外の草木は思ったより鋭くてすぐに手が切れてしまいます。普通の軍手でもよいのですあ、この画像の手袋は手のひらの部分がゴムで覆われている頑丈なタイプです。これならば多少のものならば安心して掴むことが出来ます。
・長靴
長靴。草むらには様々なものが潜んでいます。その代表格がヘビの「マムシ」です。近づいた覚えがなくても気づかずにそのテリトリーに入ってしまって攻撃を受けてしまう例は数えきれないほどあります。そういった意味でも長靴は必需品です。この画像の長靴はひざのすぐ下あたりまでくるタイプです。でもいくら長靴をはいているとはいえ、注意は絶対必要です。襲われないことにこしたことはありませんからね。
・タオル
タオル。これは言われなくても皆さん身に着けていくと思います。私は長めに折りたたんで首と服の回りに埋め込んで、首の隙間からの虫や草などの侵入を防ぎます。勿論、汗も吸い取ってくれるので、これも必需品でしょう。
<採集道具>
次に私が日頃使っている採集道具をご紹介したいと思います。
・補虫網(径大)
虫とり網です。よく100円ショップでも売られている大き目の網です。
こういう大きい網で捕獲する場合は、くっついている樹の下に網を受け皿のようにして置き、その上で網のへりで樹を揺すります。そうすれば振動を感知した虫が落ちてきて下にある大きな網に入る・・・そういう採り方をすれば良いかと思います。
・補虫網(径小)
上記網は私の手作り。4~5mの釣竿の先に幅15cm位のエビ取り用網をつけたもの。小さなエビ取り網の方が、 枝が分かれている間にいた時などの隙間に入り込みやすいので便利。なかり長く伸ばせることが出来ます。ルッキング採集の場合には必需品。
・懐中電灯(大)
懐中電灯(大)です。結構大き目の懐中電灯で、光の強さも強く、かなり遠くまで光が届きます。暗い所で回りを照らしたり、灯火採集の際にとても重宝します。
・懐中電灯(小):ペンライトタイプ
こちらも懐中電灯ですが、小さいペンライトタイプです。大きさは15cm程度。このライトは主に樹のウロ(穴)の中を照らす時に使用します。オオクワガタ、ヒラタクワガタ、コクワガタ、スジクワガタ、ネブトクワガタなどのウロや樹皮裏などに潜むクワガタの発見に重宝します。
・掻き出し棒
通称:掻き出し棒:これで樹のウロの中や樹皮裏を探ります。ウロや樹皮裏などに潜むクワガタを発見する時には、これは絶対必需品!
・ラジオペンチ
主にウロの中にいるクワガタを採集する際に使用します。先が真っすぐな物と、鍵状になっている物と2種類あるとより便利です。ウロの中のクワガタの顎を掴み、これで引っ張りだす事ができます。しかし結構力が入りすぎる場合がある為、引っ張る時はある程度の加減が必要。必要以上に力を入れるとクワガタのアゴなどが折れてしまうのでご注意を。
・スコップ
ハンドスコップ。日中に樹の根本などに潜っているカブトムシなどを掘り起こして捕まえる時に使用します。
・脚立
樹の高い所に登る時に使用します。樹のウロが手の届かないような高い場所にあった時、そーっと脚立を立てて静かに上ってウロを見ます。
・採集ケース(ルアーケース)
小さなマスに一頭ずつ入れます。入れられる数は限られていますが、個別に仕切られている為にお互いに噛み合うなどの喧嘩の心配はありません。一頭一頭をきれいな状態で捕獲したい時には便利。
・採集ケース(虫カゴタイプ)
まとめて大量に入れることが出来ますが、ルアーケースのように仕切りがない為、中で噛み合いや喧嘩が起こる可能性があります。それでも大量に入れられるのは便利ですね。
<予防薬>
いくら完全防備をしているからといっても、やはり虫などに刺される場合があります。そんな時の為に私は以下のようなものを常備持っていくようにしております。
・虫よけスプレー、虫さされ薬
虫よけスプレー(右2つ)、虫さされ薬(左)です。最近「マダニ」などで騒がれているように虫よけ対策は必要だと考えます。右2つの虫よけスプレーはマダニ対策にも適応したものらしいです。強力タイプ。
そしてそれでも刺された場合には、左の虫刺され薬を・・・。持っていれば安心ですので、なるべく常備するように心がけましょう。
・目薬
目薬。これ結構必需品です。
採集に行くと、なぜか必ず小さいコバエみたいなものが顔の回りにまとわりついてきて、スキあらば目の中に入ろうとするんです。ナゼなのか理由は分かりませんが、これがかなりやっかい。何度目の中に入られて嫌な思いをしたことか・・・。そういう時には目薬は必需品です。目に入った虫を排除した後に消毒するようなかんじで目薬をつけるようにしています。
<水分&塩分補給>
野外採集に行くときには、必ず水分補給や塩分補給が必要になります。日本の夏は30℃をも軽く超える炎天下になります。野外採集はとても楽しく、夢中になり気がつかないうちに水分や塩分がどんどん失われていきます。それらが不足してくると熱中症などを引き起こす原因にもなりますので、注意が必要です。こまめな水分補給、塩分補給を心がけるようにしましょう。
・水分&塩分補給用
私がよく持っていく補給用品です。
こまめな水分&塩分補給は絶対必要です。
如何でしたでしょうか?上記が私が採集に持っていく際の主な道具類です。勿論、脚立などは持っていくことも大変なので、そこは個人のお好みで・・・。しっかりと安全対策をして、野外採集を楽しみましょう。(^^)/
※上記採集用具はあくまでShiho個人のお勧めです。ご参考程度に読んで頂ければ幸いです。m(_ _)m
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昨年産卵セットしていた国産スジクワガタ。材が結構かじられていたので、産んでいることは分かっていたのですが、あえて割り出さずそのまま材で羽化させようと思い、放っておきました。冬場も加温飼育(25~27℃管理)していたこともあり、時期的にも、もう6月。材からはみ出た幼虫がケース側面で蛹室のようなものを作っているのが分かったので、思い切って割り出してみることにしました。今日はその時の様子をご紹介したいと思います。
まずは国産スジクワガタの個体画像と、その産卵させたセット方法についてご紹介します。
【飼育種】
和名:スジクワガタ
学名:Dorcus striatipennis
<産卵セット時の方法>
【累代】天然ものWD♀を使用
【使用したマット】完熟マット+クヌギ材2本
【使用した容器】クリーンケースL
【水分量】手でぎゅっと握って団子が出来て、 なおかつ水が染み出ない程度
【設定温度】25~28℃前後
【セット方法】ケース底面を固くつめ、材を入れ、その回りも固く詰める。上部2~3cmほどは柔らかくマットを入れる。少し材の頭が出るようにセット。
セット方法を図示してみました。以下の様な感じです。
(※図では2本の材は平行セットになっていますが、Tの字でセットでも構いません。)
では産卵結果ですが、
<産卵結果>
幼虫20頭、蛹1頭(蛹化不全)
今回のセットからは上記のような結果でした。
<全体の感想>
今回は国産スジクワガタ1セットを割り出しました。冬場温度管理もしていましたし、もう6月なのでてっきり成虫になっていることを期待していましたが、まだほとんどが幼虫でした。でも蛹も一頭いましたし、前蛹になりかけの個体も数頭いましたので、羽化まではもうすぐだと思います。
親♀も健在で元気いっぱい、一生懸命頑張ってくれました。毎回言いますが、本当に感謝、感謝です。
今回の産卵セットはマット+材を使用した産卵で行いました。材にもマットにも幼虫が確認出来ましたが、ほとんどが材の方に多く入っていました。 マットにいた幼虫は材の表面近くで孵化した幼虫が食していく内にマットの方に移行したのではないかと推測しております。
産卵設定温度は少し高めに設定しました。 25~28℃程度、ほとんど27℃帯でキープするように頑張りました。この時期は寒いので、エアコンは自動でつけっぱなしでした。
今回はまずまずの結果で満足しています。まだあと1セット産卵 セットしている国産スジクワガタがありますが、今回のセットに前蛹&蛹の個体もいましたので、もしかしたらこのまま産卵セット内で羽化させてしまうかもしれません。その ケースについては、また後ほどにはなりますが、改めてご紹介したいと思います。(^^)
さて割り出した幼虫ですが、マットに詰めることにしました。
使用したのは200ccプリンカップ、マットは くわマットを使用しました。ちょっとその時の様子をご紹介してみたいと思います。
プリンカップ200ccに「くわマット」を詰める。マットは勿論加水調整してあります。手でぎゅっと握って水が染み出ない程度で、土団子が作れる程の水分量です。
この時、あくまで私の場合ですが、私は一番底まで穴を開けます。マット下部での酸欠防止の為です。
マットをかぶせ、ふたを閉じて、四隅にキリで通気穴を開けます。
一頭だけ蛹で出てきた個体は同じようにプリンカップにマットにて管理します。ただし既に蛹なので、簡易的に人工蛹室を作ってやります。
フタをして、四隅と、蛹の上部に2ヶ所程の通気穴を開けて完成です。蛹の上部に2ヶ所ほど通気孔を開けるのは、カップ内で水滴が結露しないようにするためです。蛹に水滴は落としたくないですからね。
こんな感じで、完成しました。もうほとんどが3令後期なので、後は交換なしで羽化してくれるでしょう。立派な斧状の顎を持った大型個体が羽化するのを期待するとしましょう。(^^)
使用したアイテム
Basicプロテインゼリー(昆虫ゼリー), くわMat(昆虫マット・発酵マット), 完熟Mat(昆虫マット・発酵マット), 産卵木, 飼育ケース
2015年6月5日
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2015年クワガタ野外採集記(昆虫採集記)シリーズ。
先日、本格的なシーズンを前に下見も兼ねて今季初のフィールドに出ました。
着々と採集方法シリーズを書いている私ですが、ある方から以下のような質問を受けました。
採集の下見って何?何をするのですか?
なるほど、確かに初めて野外採集をする方達にとっては「採集の下見」って何のことか分からないかもしれませんね。今日の日記では「採集の下見」の必要性についてちょっと書いてみようと思います。
冬が明け、春が来ると、それまで枯れていたクヌギなどの葉が青々と生えてきて見事に生き生きとしてきます。それと同時にクワカブシーズンの到来でもあります。
あくまで私のやり方ではありますが、私の場合、本格的な採集シーズン(6月~8月)を迎える前には毎年必ずすることがあります。それが「採集地の下見」です。
なぜ下見が必要なのか?「採れる時期に来たら毎年採れている所にそのままいけば良いのではないか?」とおっしゃる方もいらっしゃるでしょう。確かにそれはそれでも良いのですが、もっとしっかりと採集をするためには、その年のフィールドに合わせた下見(調査)が必要だと私はそう考えています。
前年度の採集シーズンが終わるのは大体9月上旬あたり、それから今季の採集が始まるのは大体今位の5月下旬あたり、その間約8ヶ月程度採集フィールドを見ていないわけです。その間以外にも様々な変化があります。そういう所を事前に調べるのが下見というわけです。
では下見をすることで、何が分かるのか?
下見によって何をチェックするのか?私は以下のような所をチェックするようにしています。
・採集場所に向かう道のチェック
採集するポイントまで行く道を調べます。何もなければそのまま辿り着けますが・・・
このように崖崩れが発生して道路が寸断され、その先に行けないこともあります。こうなっては危険ですので、その先にある採集ポイントへは諦めなければなりません。
・採集フィールドにおける採集樹の有無チェック
毎年採集出来ていた樹も、今年も大丈夫かどうかは分かりません。樹が枯れていたり、人の手によって伐採されていたりと、そういうことは良くあります。また逆に昨年まで知らなかった新しい樹を発見出来ることもあります。採集出来そうな樹の場所をあらかじめ確認していくことで、スムーズな採集が出来ると思います。
・採集樹の今季における樹液の出る箇所
樹液の出る場所は年々違う事があります。ウロから流れ出す場合はそのウロが今年も存在していれば同じように出ている場合も多いですが、枝傷や樹皮傷から流れ出ていた樹液は、大体がその箇所を変えている事が多いです。
その樹液が出る箇所をあらかじめ覚えておくと採集する際にとても便利です。樹に近づいてまず最初はその箇所を見れば良いのですからね。
・採集樹のウロの有無、形状
樹のウロは毎年形状を変えます。樹自体が穴を塞ごうとしていくからです。狭くなったウロ、まったく穴がなくなったウロなど、様々です。もちろんウロが無くなれば、そこに入っていたクワガタなどは入れなくなり、そのウロでは採集が出来なくなります。
ウロ採集はすばやい作業が必要なので、あらかじめウロの形状を理解し、それに合わせた採り方を認識しておくこともとても大事だと考えます。
如何でしたでしょうか?上記が私が下見でチェックするポイントです。本格的な採集シーズンを前にその年のおおよその採集フィールドの情報を知るのと知らないのでは採集効率に大きく影響すると考えます。
勿論人によってはこの他にもチェックするポイントなど色々あると思います。あくまで私個人のやり方ですのでご参考程度に読んでいただければ幸いです。(^^)
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先日に続いて、吉原賢様よりまたもご質問がありました。
以下のものです。
マンディブの幼虫♀の3令が何度マットに埋め直しても地表に出てきてしまうらしいのです…。(´д`|||)マットが合わないのかと思い違うマットに替え てみても結果は同じで地表に上がってくるみたいです。地表に上がってきた幼虫はすり鉢状に周りを固めてご飯を食べ、糞もしっかりしています。マットも少し 水分が多目の方が良いと本に書いていたみたいでそうしているようです。この現象は何なのでしょうか?(; ̄Д ̄)?☆になってしまうのではないかと気にな り、心配でしょうがないみたいです。(T0T) shiho様御返答の方よろしくお願いいたしますm(__)m
毎回レスありがとうございます。
この手の質問は本当によくあります。
なので、今回も他の皆様にもご紹介する上で、あえて日記上で取り上げてみました。
幼虫を飼育していて幼虫がマットの上部に上がってくる点ですが、あくまで私個人の考えですが、まず考えられる事は幾つかあります。
・酸欠状態
・病気になった場合
・前蛹なる前
・マット内部が熱を持っている(再発酵)
上に上がってくる原因として一番先に考えられるのが「酸欠状態」です。マット内部で酸欠を起こすと幼虫は大体マット上部に上がってきます。通常酸欠になった幼虫はぐったりとしていてあまり動きません。幼虫を触ってもぐにゃぐにゃと弾力のない身体をしているのが主です。
でもマット上部でしっかりとエサを食べているのですよね?なのでこの状態だと酸欠は除外ということになりますか。。。
次に考えられるのは「病気になった場合」です。しかし病気になった場合も酸欠の時と同様に全く元気がない場合が多いので、しっかりエサを食べたりすることは少ないと考えますので、除外と考えれます。。。
となれば、「全蛹になる前」でしょうか?幼虫は3令後期になると蛹になる為に蛹室を作る準備をします。通常はマット内部で作るのですが、マット内部の状態が悪いとマット内部で蛹室を作るのを諦めて上部に上がってきてしまうことがあります。これは幼虫の状態が悪いというわけではありません。
あとは「マット内部が熱を持っている」ということも考えられます。この時期、もし常温飼育で管理されていれば状況によってマット内部の熱が上がり、それを嫌って上部に上がってくることがあってもおかしくはありません。
マット内の水分量は多めとありましたよね?マット内の水分が多ければ多いほど、マットの再発酵による発熱の可能性は高まっていきます。
一度マット内の温度を計測してみることをお勧めします。28℃以上になっていたら注意が必要です。理想は20~25℃、暑い時期でもギリギリ28℃程度にキープするようにしてみて下さいませ。
以上、幼虫がマット上部に上がってくる原因をいくつか考えてみましたが、まとめてみると
・マット内部が熱を持っている(再発酵)
・前蛹になる前
・軽い酸欠
上記の理由が考えられます。病気は除外です。病気の場合、ぐったりとしていてエサを食べるところではないと思うので・・・。
酸欠も本来は除外対象なのですが、マット上部に上がった時点で十分に酸素が供給されれば、その場で元気を取り戻す可能性もあります。
とりあえず対策としては
・マットの温度を計測して高いならば適温(20~28℃)をキープさせる
・通気を確保して酸欠の可能性がないか探る
・マットの水分量もチェック、マットを手で握って土団子が出来、その際に指から水が染み出ない程度が理想
上記が私がお勧めする対処ですが、勿論これ以外の要因で起こっている可能性も十分に考えられます。
これはあくまで私個人の考え方&対処方ですので、あくまでご参考程度に読んで頂ければ幸いです。頼りない回答で申し訳ございません。m(_ _)m
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いつもコメントを下さっている「吉原賢様」より以下の様な質問を受けました。本来はそのままコメント欄にてお返事するのですが、少し文面が長くなりそうなので、今日は本日の日記にて取り上げてみました。
吉原様より以下のようなご質問を頂きました。
shiho様こんにちは♪今回も質問なのですが、うちのセアカフタマタの娘なんですが一時と比べてご飯の食べ具合は少ないんですがあまり潜らずどちらかと 言うとウロウロしてケースから脱走しようとするのですが、この行動は新たな産卵する場所を求めているんでしょうか?今セットしている材(Mサイズ位)には 10ヵ所位産卵痕らしきものがあります。新たな材をセットし直してあげる方が良いのでしょうか。アドバイスお願いいたしますm(__)m
吉原様、いつもご質問&レス頂きありがとうございます。(^^)
セアカフタマタの質問ですね。
セアカフタマタはフタマタ種ですので、ご存じの通り基本的には材産みです。見えている部分の材表面に産む傾向があります。
すでに産卵痕が10ヶ所程あるということなので、その材を見てみて、他にあまり産むスペースが残されていなければ、吉原様のおっしゃる通り、新たな産卵場所を求めているのかもしれません。まだ続けて産卵をさせたいならば、続けて新しい材を入れてあげると良いでしょう。
その他に考えられることといえば、産卵中の休息を取っているのではないでしょうか?♀もずーっと一気に最後まで産卵を続けるわけではありません。産卵には相当な体力が必要なので間に休憩を入れて産卵を繰り返し行うパターンが多いです。
長い間(2~3週間ほど)上に上がりっぱなしならば、上記で説明したように「産む場所がない」などの理由も考えられますが、1週間程度ならば産卵の間の休憩ってことも考えられます。私のところでもしばらく産まなくなりマット上に上がっていた♀がしばらくすると再び産卵を開始するということは結構ありますよ。(^^)
次の質問は、
後、オオクワガタに関して質問なのですが、本やネット情報等で産卵材は硬めの表記が主体になっていますが柔らかいと産卵しないのですか?何故硬めの方が良 いのでしょうか?菌糸ブロックでの菌床産卵は硬くなくても産卵しますよね?菌糸を好んで産卵するので菌床セットは理解出来るのですが…。(; ̄Д ̄)?
なるほど!材の問題ですね。
オオクワガタ産卵に適する産卵材。確かに昔からオオクワの産卵材には硬いものがよいと良く聞きますね。ですが、私の経験上では、ある程度柔らかさをもった材の方が産むことが多いです。昔は硬い材が良いと聞いていましたので、ガチガチに硬い材を使用していましたが、産まないことはないのですが、あまり産卵数が伸びず、オオクワガタって産卵数が少ないんだな・・・と思っていました。
ですがその後柔らかめの材を使用したところ、硬めの材を使用していた時よりもはるかに多くの産卵を確認出来ました。それから私はオオクワガタにも柔らかめの材を使用するようにしています。
ただし、あまり柔らかすぎるのも良くはありません。オオクワガタはフタマタなどと違い、産卵材に穿孔して自ら体ごと潜って産卵する傾向があります。産卵材があまりにも柔らかすぎると穿孔された時点で材がバラバラになり、産卵が出来なくなってしまいます。
材の断面を爪で押してみて爪跡がしっかりと残るような材が良いです。しかし爪がどこまでも入っていくような材は柔らかすぎます。また全然爪跡が残らない&食い込まない材はちょっと硬すぎるでしょう。
硬すぎず、柔らかすぎない・・・。なかなかちょうど良い材を選ぶのは慣れてしまわないとなかなか難しいかもしませんが、そういう材が理想です。
ただこの考えはあくまで私個人が飼育して感じたやり方なので、他の方にとっては違うご意見もあるかと思います。ご参考程度に一意見として聞いて頂ければ幸いです。
吉原様、如何でしたでしょうか?クワガタ飼育、色々悩みやトラブルありますよね?でもそうやって試行錯誤して新たに挑戦してみるのもクワガタ飼育の醍醐味だと私は思います。これからもガンガン挑戦して大いに悩んで楽しんで下さいね。ご質問ありがとうございました。(^^)
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先日、あまりにも暑い日が何日か続いたため、下見の意味も含めて、今シーズンの初採集に行ってきました。今日はその時の様子をちょっとご紹介したいと思います。
さぁ、今シーズン初採集です。
まだ本格的な採集時期には少し早いかなと思ったのですが、今季採集する場所、樹の様子見も兼ねてやってきました。
採集下見は結構重要です。毎年同じ場所に同じ樹が残っているとは限りません。何だかの理由で伐採されていたり、枯れていたりすることもあるからです。また前年度樹液が出ていた場所から今年も同じように樹液が出るとは限りません。これは樹のウロの形状もそうで、微妙に変形してウロが閉じてしまっていることもよくあります。なので、私は本格的な採集シーズンの前にはこうした下見を行うことをするようにしています。運が良ければ今の時期でも活動が早いコクワガタやオオクワなどに逢えるかもしれませんしね・・・。
今年初お目見えのクヌギの樹
まず一本目、直径30cm程度のクヌギの樹です。
葉が青々と生い茂っています。
元気いっぱいなのが伝わってくるようです。
ちょうど葉っぱが落ちていたので、ご紹介します。
これがクヌギの葉ですね。
クヌギの葉の裏側部分、光沢のあるツルツルとした表側と比べて白っぽく見えます。
樹の胴回り部分、これがクヌギの樹皮ですね。表面はゴツゴツとして盛り上がりがあり、波打っているようにも見えます。
この樹はウロ(樹の穴)がないので、蹴ってみましたが、何も反応なし。まだこの時期は蹴り採集で主に落ちてくるノコギリやミヤマは時期的にちょっと早いのでしょう。コクワガタも落ちてきませんでした。
次にウロがあるちょっと太めの樹を見にやってきました。この樹もクヌギです。
ゆっくり近づいてウロの中を懐中電灯で照らします。時間帯は昼間ですが、ウロの中は真っ暗ですので昼間でも懐中電灯は必需品です。
奥から樹液は出ていますが、残念ながら何もいませんね。ウロの中にいなかったので樹を蹴ってみましたが、何も落ちてこず反応なし。。。この樹からは過去にヒラタ、コクワなどが採集出来ています。やはりまだもう少し早いのかな。。。
別のクヌギの樹のウロです。
こちらも樹液は出ていますね。前の方に流れ出しているのがお分かりでしょうか?
しかし残念ながらこちらにもいません。同様に蹴ってみましたが何も落ちてこず・・・。
このようなかんじで辺りの樹を見て回りましたが、結果は・・・収穫ナシ、0頭でした。下見を含めいるとはいえ、少しは期待していたのですが、甘くはありませんね。
とはいえ、樹液が出ているのも確認しましたし、見回った樹液の場所、ウロの有無なども確認出来ましたので、下見としてはこれで十分な成果です。また次の機会に逢えるのを楽しみにしておこうと思っております。(^^)
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2015年、野外採集方法シリーズ、今日は本土産カブトムシの採集方法をご紹介します。
※年々温暖化などの気象現象の変化などで虫の活動分布や時期なども微妙に変化が起こってきていると思います。採集方法のデータは前年度の採集データを基に記載しております。
採集方法シリーズは毎年掲載していくつもりですが、それゆえ毎年微妙にデータにズレや追記説明が加わっていきますことをご了承下さいませ。
【飼育種】
和名:カブトムシ
学名:Trypoxylus dichotomus
あくまで私の採集方法になりますが、どのようにして採集出来るのか、 紹介してみたいと思います。
(※あくまで私の採集方法ですので、人それぞれによって異なります事を、あらかじめ御了承下さいませ)
【採集時期】
7月中旬~9月中旬
※ベストシーズンは7月下旬~8月中旬
【採集場所】
沖縄、南西諸島などを除く、ほぼ全国に生息。平地性が強く、ほんの少しの雑木林が集まった所でも生息している場合があります。
また♂♀共に飛翔性が高く、灯火に非常に集まりやすい習性があります。裏山があるコンビニやガソリンスタンド、道端の自動販売機の光にもよく飛んできます。
【採集される木】
代表例:クヌギ、ニレ、タブ、ヤナギなど(※地域によって変わると思います)
【本土産カブトムシのいそうな場所】
標高の低い雑木林、近くに川や堆肥場などがあると更に良い
【採集方法】
樹液を舐めているのを直接採る採集が主です。
また飛翔性も非常に高いので灯火採集も有効的です。
【採集する時間帯】
基本的には早朝(薄暗い内)~夜間(日が沈んでから)
だだし、薄暗い雑木林では昼間でも活発に活動します。
【採集道具】
私は本土産カブトムシを採る時は一応以下のものを使用してます。
懐中電灯:カブトムシの場合、暗い時間帯や暗い場所にいる場合が高いので、ライトは必需品です。
脚立:高い樹に登るには必需品ですが、カブトムシは振動を感じるとすぐ飛んでしまったりするので必要性はまぁまぁといったところでしょうか。。。
網:伸縮出来そうな比較的長めの網がベスト
上記網は私の手作り。4~5mの釣竿の先に幅15cm位のエビ取り用網をつけたもの。小さなエビ取り網の方が、 枝が分かれている間にいた時などの隙間に入り込みやすいので便利。ルッキング採集の場合には必需品。
樹の高い位置に掴まっている本土カブトムシを採集するにはこの道具を使用しています。木々をすり抜けてターゲットの近くまで行ったら、思い切ってかぶせて網の中に掴まらせます。一度網を掴めば結構しっかりとしばみついてくれるので、あとはゆっくりと網を戻すだけです。
採集ケース:ルアーケース
小さなマスに一頭ずつ入れます。入れられる数は限られていますが、個別に仕切られている為にお互いに喧嘩の心配はありません。一頭一頭をきれいな状態で捕獲したい時には便利ですが、本土産カブトムシの場合、クワガタと違い体高や体格が大きいので大きめのルアーケースではないと入りません。またカブトムシはクワガタよりもかなり激しく動き回るので、複数頭を同時にルアーケースに入れることはなかなか難しいです。ルアーケースを使用する場合は、大きめの深いマスがあるサイズを用意したほうが良いでしょう。
採集ケース: 飼育ケース
私の場合、カブトムシの場合はクワガタのようにルアーケースではなく、こちらのケースを主に使用します。理由は捕まえた際に入れるのが楽だからです。複数頭入れるわけですから、喧嘩などをしないようにマット3割まで入れ、あとはとまり木や落ち葉などをいれて個体の接触を減らすと喧嘩も減らすことが出来ます。とまり木や落ち葉などがない場合は、新聞紙を手のひらサイズにちぎって丸めたものを複数入れると良いですよ。私はよくこの方法を使用します。
【その他の採集のやり方】
あくまで私のやり方ですが、まず樹を見てルッキングで直接採れるところは手、網などで採集します。それでも採れない位置にいる時や、もういないと思っていてもまだ見えない位置にいる場合があります。
その場合私は大型のライト(光が強ければ強いほどよい)を用意し、樹の上部を照らしたまま樹を蹴ります。そうすると振動にびっくりしたカブトムシが飛び立ち、そして更に今度は光のある方向に向かってくることがあります。カブトムシが飛び立った場合、かなりの羽音がするのでよく分かります。後はライトの光で後を追い、光で誘導して自分の手元や足元まで誘い落とす・・・といったようなやり方を良くします。あくまで私のやり方ですが、これが結構有効な時があります。
如何でしょうか?上記が本土産カブトムシを採集する際の私のやり方です。本土産カブトムシはクワガタシーズンが一段落した頃から始まります。そしてその期間はとても短く、成虫寿命はとても短い種です。クワガタより容易に見つけられ、個体数もとても多いです。とても格好良いですので、今年は是非採集してみてはどうでしょうか?(^^)
※この方法はあくまで私自身のやり方です。
人それぞれによって採集方法や採集条件などは異なると思います。あくまで参考として見ていただければ幸いです。
※採集はマナーが大事です。採集する場所が私有地の場合は、 無断では入らないようにしましょう。 必ず持ち主さんに断りを入れるのは必須です。あと、虫が木の穴の中に入って採れないからと言って、木を切ったり、 傷つけたりするのも好ましいとは言えません、自然にやさしく、モラルを守って採集を楽しみましょう。(^^)
使用したアイテム

2015年野外採集方法シリーズ、本日は本土ヒラタクワガタの採集方法についてご紹介したいと思います。
※年々温暖化などの気象現象の変化などで虫の活動分布や時期なども微妙に変化が起こってきていると思います。採集方法のデータは前年度の採集データを基に記載しております。
採集方法シリーズは毎年掲載していくつもりですが、それゆえ毎年微妙にデータにズレや追記説明が加わっていきますことをご了承下さいませ。
【飼育種】
和名:本土ヒラタクワガタ
学名:Dorcus titanus
あくまで私の採集方法になりますが、どのようにして採集出来るのか、 紹介してみたいと思います。
(※あくまで私の採集方法ですので、人それぞれによって異なります事を、あらかじめ御了承下さいませ)
【採集時期】
5月上旬~10月上旬
ベストシーズンは6月上旬~7月下旬
【採集場所】
南西諸島を除く西日本を中心に多く生息しております。近年では温暖化の影響もあり関東地方でも見かけることが徐々に多くなっているようです。標高の低い平地に近い所に多く生息しておりますが、地域によっては比較的高地にでも生息しています。
【採集される木】
代表例:クヌギ、ニレなど(※地域によって変わると思います)
【本土ヒラタクワガタのいそうな場所】
本土ヒラタクワガタの場合、多くは夜活動しますが、昼間でも薄暗い場所などでは活動します。樹のウロや樹皮裏を中心に潜んでいますが、枝先や樹の幹などにぽつんと付いている事もあります。
また大型の♂個体は大きめのウロに♀を伴って入っている場合が多いです。一匹の大型の♂に複数の♀が一緒に入っているのもよく見かけます。私が過去に見た中では65mm程度の♂1頭と♀8頭が同じウロの中にいたことがあります。まさにハーレム状態でした。やはり強い♂にはそれなりに力があるということでしょうか・・・。
【採集方法】
ルッキング(目で見て採る)採集、蹴り採集(木を蹴って落とす)
灯火採集(光に集まってきたのを採る)。
樹の穴(ウロ)から棒などを使って掻き出す採集方法。
樹の皮に潜んでいるのを採る採集方法。
私の場合、ほとんどが樹の穴(ウロ)か樹皮の裏側から掻き出す採集方法です。
ポイント:樹皮裏やウロを見るとき、既に道具を準備して、ウロを覗いた瞬間に逃げ道を遮断する事が大事です。
ウロの中はかなり深くなっていることが多いので、逃げられたらしばらくは出てきません。迅速さが命です。
後は蹴り採集。大型の個体は樹につかまる力も強いので、がっちり樹に掴まれたらなかなか落ちてきません。
灯火採集でも採れることはありますが、あまり飛翔性が高くないので効率はよくありません。大型♂の飛翔はとても低く、小型タイプが多いです。
【採集する時間帯】
基本的には早朝(薄暗い内)~夜間(日が沈んでから)。薄暗い場所ならば昼間でも結構採れることが多いように思われますが、夜間に活動が活発になる傾向が強いです。
【採集道具】
私は本土ヒラタクワガタを採る時は一応以下のものを使用してます。
網:伸縮出来そうな比較的長めの網がベスト
上記網は私の手作り。4~5mの釣竿の先に幅15cm位のエビ取り用網をつけたもの。小さなエビ取り網の方が、 枝が分かれている間にいた時などの隙間に入り込みやすいので便利。樹の高い所にいた場合に使用する。ルッキング採集の場合には必需品。
懐中電灯:周りが薄暗い時や草むらに落ちた時などの必要
ヘッドライト:木の上に登る時はこの手のライトが便利。
手が塞がる事が多いので。
通称:掻き出し棒:これで樹のウロの中を探ります。大型のヒラタは大抵ウロの中にいることが多いので、ヒラタ採集においてはこれは必需品です。
ピンセット:掻き出し棒との連携で使います。掻き出し棒で顎にひっかけて引っ張り、ピンセットで掴む・・・。あまり強く掴むと顎が折れてしまう事があるので注意!
脚立:高い樹のウロを見る際に登るに必需品。
採集ケース:ルアーケース
小さなマスに一頭ずつ入れます。入れられる数は限られていますが、個別に仕切られている為にお互いに噛み合うなどの喧嘩の心配はありません。一頭一頭をきれいな状態で捕獲したい時には便利。
採集ケース: 飼育ケース
まとめて大量に入れることが出来ますが、ルアーケースのように仕切りがない為、中で噛み合いや喧嘩が起こる可能性があります。それでも大量に入れられるのは便利ですね。
【その他の採集のポイント】
本土ヒラタクワガタの場合、前述でも書いたように樹のウロや樹皮裏にいる事が多いので意外に雨の日でも潜んでいます。
静かに近づき、サッとライトを当て、サッと逃げ道を塞ぐ・・・。これが私個人の本土ヒラタクワガタ採集のポイントです。また物音にも意外に敏感なので目的の場所に近づく際にはなるべく静かに近づくようにしましょう。
上記が私が本土ヒラタクワガタを採集するときに注意して行う事項です。最近ではなかなか大型の個体を見る機会が減ってきているように思います。でもそれゆえ、大型を採集出来た時の喜びは感動ものです。さぁ、皆さんも今年は本土ヒラタクワガタを捕まえてみましょう!!(^^)
※この方法はあくまで私自身のやり方です。
人それぞれによって採集方法や採集条件などは異なると思います。あくまで参考として見ていただければ幸いです。
※採集はマナーが大事です。採集する場所が私有地の場合は、 無断では入らないようにしましょう。 必ず持ち主さんに断りを入れるのは必須です。あと、虫が木の穴の中に入って採れないからと言って、木を切ったり、 傷つけたりするのも好ましいとは言えません、自然にやさしく、モラルを守って採集を楽しみましょう。(^^)
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